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祝福で呪われて七度目の転生!今度こそ風の聖女を護りたいのに、あほの子に育って俺を邪魔してくる  作者: 笹色 ゑ


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12 ヴァーナードの義母妹

 ユナはハールヒット侯爵がメイドに手を付けて産まれた。


 ヴァーナード様の母君と違い、何の後ろ盾も持たない母は、身重で帰る家もなく、侯爵家で働かざるを得なかった。


 幼いころから、ずっと酷い扱いを受け、この世に地獄があると知っている。


 私を守るために侯爵夫人の残酷な行為を耐え忍ぶ母を、幼いながらに私は馬鹿だと思っていた。


 抜け出す方法はいくらでもあった。


 我慢すればいつか妾になれるとでも思っていたのかと。娘を認知してくれると、そんな期待を持つから逃げることすらできなかったのだ。


「ヴァーナード様の、ご婚約者様の、お友達役に?」


 荷造りの理由を母に話すと、年齢よりも年老いて見える母が絶望したような顔をした。


「駄目よ。お断りなさいっ。もし、気に障れば、何をされるかっ。ヴァーナード様が慈悲深い方とは言え、そのお相手がそうとは限らないのよ」


 義母兄であるヴァーナード様が独立する際、屋敷のメイドとして雇い入れられた。救われたと思ったが、母はヴァーナード様の情報をハールヒット侯爵家に流すことを命じられ、本当にそれを行っていた。


 私がそれを告げ口して、今では母は洗濯場のメイドをしている。それでも、誰かに殴られることもなく、正当な賃金を与えられ生活ができている。ヴァーナード様の慈悲に報いる行いをすれば、もっとやりがいのある仕事を任されたかもしれない。それをこの人は棒に振った。


 私は、種を蒔いた男よりも、産んだ母の方が嫌いだった。そもそも、私は父親とまともに会ったことすらなかった。


「私は、しばらく忙しくなるから、家には帰らないから。それと、これもあの家に伝えるなら、もう私はあなたとは縁を切るから。娘の私を不幸にするつもりなら、それくらい覚悟の上よね」


「でも、もしあなたに何かあったら、助けてもらわなくてはならないじゃない」


「……母さん。ヴァーナード様と違って、私は私の邪魔をする人に慈悲は与えられないの。だから、母さんを別荘の管理に回すように進言したわ」


「そんな。それでは、あの人が、息子の近況を知る事もできなくなってしまうわ」


 スパイではなく、息子のことを知りたいと言われ、得た事を伝えていただけだとは知っている。


 ヴァーナード様から切り捨てられ、経済的に困窮しているハールヒット侯爵家はどうにかしてヴァーナード様の弱みを見つけて金を強請りたいだけだというのに。


 これまで、危険性は報告していたが、ヴァーナード様は慈悲をかけてくれていた。けれど、今回、辺境の地に持っている別荘の一つへ母を移動させることになった。理由はご婚約者様が屋敷に滞在するようになったからだ。私が進言したと言ったのは、ヴァーナード様を恨ませたくなかったからだ。これ以上、迷惑はかけたくない。


 あまり帰ってこなかった家だけど、ここもヴァーナード様が準備してくれた場所だ。


 大きくはないけれど、清潔で安全な地区の一室だ。私も昔はここから通いでメイドの仕事をしていた。


 住み込みにしなかったのは慈悲か警戒かはわからない。


「母さん。体には気を付けてね。私は、自分の生きる道は自分で決めるから」


 旅行鞄を二つ抱え、家を出た。


 今日からは、スオウ男爵家で住み込みになる。


 迎えの陣車に乗り、屋敷に向かう。それほど遠くないので歩ける距離だが、手配してくださった。


 スオウ男爵の屋敷は、ヴァーナード様が爵位を得て間もなく買い付けた貴族の邸宅だ。そこから周囲の土地を買い足して今の規模になった。


 屋敷自体はそれほど新しくないが、金をかけ修繕しているので綺麗なものだ。一階の使用人部屋の一つは以前から与えられていた場所で、実家の荷物を置いただけで代わり映えはしない。


 着替えをして、身なりを整え、太ももをぱしりと叩く。


「大丈夫」


 婚約者様に媚び諂ってでも気に入られて、ヴァーナード様に認められる。うまく行けば、今の以上の仕事を任せてもらえるようになるかもしれない。


 ヴァーナード様は、金はあるが他の貴族と繋がりが薄い。生家を切り捨てたから尚更だ。


 認知されていないから、妹としては書類上認められないが、妹を養子にして貴族席を与えられる可能性はある。他の貴族に嫁がせるために、妾の娘を正式に子とすることは珍しくない。


 貴族が作った不義の子なんて立場では終わりたくない。そのためならば、どんな仕打ちも耐えて見せる。


 呼び出しが来て、三階へ上がる。


 ご婚約者様が来られてからは、シファヌの指示がない限り使用人は誰も上がってはならない場になった。


 ご婚約者様が庭に出ている間、メイドが掃除に入りシファヌだけでは行き届かない場所を清めていると聞く。


 余程、気難しい人なのだろう。


 ヴァーナード様が応接室に使う部屋の前に立ち、前を歩いていたシファヌがノックをする。


 シファヌもハールヒット侯爵家で働いていた。そしてヴァーナード様が助けたひとりだ。母と違い、忠誠心が高い。だから、気難しい婚約者様の対応も任されたのだ。


「失礼いたします」


 部屋に入ると、アリア・アリスティーネがソファに座っていた。





腹違いの妹ユナちゃん。結構顔のタイプはヴァーナードに似ています。


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