第86話: 選ばれし運命を、拒絶する
「無意味だ。君たちの防御層では……耐えきることはできない」
その言葉が終わるや否や、遠方にいたツバサが弾丸のごとく肉薄した。覇者の権力と爆破が同時に解き放たれる。空間を切り裂く刃が、展開されていた二重の環境に叩きつけられ、薄い硝子のようにそれを粉砕した。
天地を衝く雷鳴。 猛烈な閃光が周囲を焼き、観測していた者たちは目を見開いたまま反応することさえできなかった。再び現れた「覇者の権力」――この世界でも一握りの者しか持ち得ぬその権能は、古代の龍誓であり強大な力を誇る白龍でさえ、決して軽んじることはできない。
「な……なら、どうすればいいってんだ?!」 変形する悪魔が、狼狽を隠しきれず声を荒らげる。
まさにその時、市川と白龍が互いに向かって地を蹴った。止めの一撃が放たれようとしている。もし何の介入もなければ――これは間違いなく「人間狩り」というゲームそのものを破壊し、ローマの闘技場さえ地図から消し去るほどの壊滅的な一撃となる。
ツバサは奥歯を噛み締め、自らの環境を展開しようと身構えた。 彼自身、これから起こる衝突の衝撃から生き残れる確信はなかった。 このまま続ければ、周囲のものは守れるかもしれない。だが、その代償は彼自身の命になる可能性が高い。この一撃の威力は、もはや教え子同士の戦いの次元を遥かに超えていた。それは、世界の頂点に近づきつつある二つの実体による激突であった。
誰もが惨劇を避けられないと悟ったその瞬間――。
見知らぬ人影が現れた。 時間が凍りついたかのように静止する。 宙空から、真っ白な髪と黄金の瞳を持つ少女が、あたかも時間の流れそのものを踏みしめるかのように、一歩、また一歩と降り立ってきた。
ツバサを含む、その場にいた全員が呆然と立ち尽くした。
「無意味な足掻きはやめなさい、ツバサ」 平然とした、しかし絶対的な威圧感を伴う声が響く。
「奇跡の世代……赤色国所属」 その一言が、静寂の中で空間を震わせた。
少女が片手を掲げる。明滅する白い光の粒子がいたるところに浮遊し、硝子のように透明で真っ白な空間の層が、一帯を完全に包み込んだ。 彼女が拳を握りしめる。
直後、ローマの闘技場が消失した。塵一つ、痕跡一つ残さず。建造物も、観客席も、石壁も――すべてが最初から存在しなかったかのように消し去られ、そこには砂に覆われた果てしない空き地だけが残された。
静止していた時間が解除される。 全員が動くこともできず、何が起きたのか理解できない眼差しで少女を見つめた。 その沈黙の中で、彼女はゆっくりと歩み寄る一つの影へと向き直り、口を開いた。
「この時間を止めてくれて、感謝するわ」 「奇跡の世代……ブラックウィングス所属」
アックが、いつものように冷静な面持ちで姿を現した。彼は少女を見据え、揺るぎない声で応えた。 「他人を二つ名で呼ぶのはよせ」 「俺たちには……それぞれ名前がある」
その瞬間、「奇跡の世代」という概念が正式に白日の下にさらされた。 世界の頂点に立つ者たちは、自らの存在に紐づいた称号を冠している。NGの地において、それは「十色座」――一国を統治する最強の十人。
かつて、NGが人類の中にも同等の力を持つ個人が存在することを認め始めた際、女王はそれに反対したという。しかし、一人の人間が立ち上がり、証明したのだ。人間という身分でありながら、首位のNGたちと肩を並べる資格があることを。 それ以来、人類もまた自らの最強の者に独自の称号を与えた。
彼らはその男を「赤の皇帝」と呼んだ。
だが、永久に続く時代など存在しない。頂点に立つ者もいつかは朽ち、あるいは後継者を選ぶ。その地位に取って代わる、あるいは引き継ぐに足る潜在能力を持つ個体――それらを総称してこう呼ぶ。
「奇跡の世代」。 世界の玉座へと登り詰める可能性を秘めた者たち。
現時点で判明している「奇跡の世代」は以下の通りである。
ツバサ ― 赤色国所属
白令嬢 ― 今しがた現れた、白色国所属
白龍 ― 白色国所属
アック ― 犯罪組織ブラックウィングス所属
そして今――。 市川もまた、疑いようもなく、 この時代の新たな「奇跡の世代」となるための 門戸を叩いていた。
ツバサは、ここでさらなる「奇跡の世代」が現れることを容認できなかった。彼の体内で覇者の権力が激しく膨れ上がり、周囲の空気を押し潰すような不可視の重圧となって伝播する。殺気が渦巻き、彼の表情は険しく沈んだ。瞳には隠しようのない怒りと不快感が宿っている。
「なぜ君がここにいる? 我ら二国間に紛争はないはずだ。だが、別の『奇跡の世代』の任務に介入するのは……宣戦布告と受け取るぞ」
その硬直した態度に対し、白髪の少女は微かに唇を吊り上げた。黄金の瞳は揺らがず、ツバサの放つ重圧など彼女には届いていないかのようだった。
「そう熱くならないで、ツバサ。貴方は知らないかもしれないけれど、女王陛下から命令が出ているのよ……『いかなる犠牲を払ってでも、市川を仕留めよ』とね」
その言葉に、ツバサの動きが止まった。覇者の重圧が一瞬だけ途切れ、彼の瞳に驚愕の色が走る。
「市川を仕留めるだと? あまりに性急ではないか」
少女は首を僅かに傾け、平然とした、しかし含みのある声で続けた。 「女王は、この少年の中に何か不吉なものを見たのでしょう。けれど……どうやら事は思い通りには運ばないようね。ブラックウィングスが、正式に阻止に回ったのだから」
ここに至り、全容がようやく姿を現し始めた。内部が混乱しているならば、外部はそれ以上に激動していた。ブラックウィングスの首領が自ら姿を現し、たった一人で「十色座」の十人全員を足止めしたのだ。そして、これ以上ないほど明確なメッセージを突きつけた。
――市川に手を出すことは、ブラックウィングスとの全面対決を意味する。
当初、一人の教え子を守るために彼がそこまで踏み込むとは誰も信じていなかった。しかし、十色座全員を相手取るというその行動は、女王に決断の再考を強いた。今、一人の少年――市川の名を中心に、大規模な会合が開かれようとしていた。
ツバサは驚きを隠せなかった。 「あいつ一人が、十色座の十人を止めたというのか? 狂ってるな」 彼は短く鼻で笑い、殺気を収めたが、その瞳には深い警戒が残っていた。
白髪の少女は視線を変形する悪魔へと転じ、その口角に奇妙な笑みを浮かべた。興味深げであり、同時に現在よりも遠い先を見通しているかのような笑みだ。 「ツバサは貴方のことを随分と真剣に見ているようね。もしかしたら……これは面白いことになるかもしれないわ。奇跡の世代最強の男が見る目に、狂いはないから」
変形する悪魔は、ただ立ち尽くすことしかできなかった。許可された者しか入れないはずの「人間狩り」の場が、今や怪物たちが平然と出入りする門へと成り果てていた。
その時、アックが静かに、しかし含みのある口調で言った。 「どのみち、彼は俺たちと同じ新世代の一員だ。だが、市川と肩を並べるというのなら……それは無理だろうな」
少女は微笑み、黄金の瞳に好奇心を宿した。 「貴方が経験した『未来』について、もっと詳しく知りたいわね。今の言葉……ただの失言ではないのでしょう?」
アックは微かに笑い、すべてが予定通りであるかのような悠然とした態度を見せた。 「俺が口にするのは、いずれ誰もが知ることになる事実だ。それに、ツバサのような先見の明を持つ者の予想は外れない。あいつが俺たちの列に加わることは、とっくに予見されていたことだ。問題が一つあるとすれば――あいつがそこに至るまで、生きていられるかどうかだ」
遠くからツバサが応えた。落ち着いてはいるが、断固とした決意の籠もった声だ。 「そのために私がいる。彼が絶対に安全であることを保証するために」
それを聞き、アックは短く笑った。その瞳に、いつもの冷徹な光が宿る。 「……本当に安全かな? 『あの男』が、いつ戻ってきてもおかしくないというのに」
瞬時に、ツバサの脳裏をアコウの姿がよぎった。自分を完全に無力化できるほど明晰な頭脳を持ち、最初から自分が勝者であるような戦場を描き出す男。アコウがゲームの中にいた時、彼は圧倒的な力を必要としなかった。完璧に計算された戦略だけで、白龍やツバサに勝利への道を一切見出させなかったのだ。アコウが観客席へ退いたことで、ようやくゲームは「均衡」を取り戻したに過ぎない。
ツバサの表情の変化を察し、白髪の少女が好奇心に満ちた声で割って入った。 「奇跡の世代にそんな顔をさせるのは、一体誰のことかしら? 興味があるわ」
ツバサは深く息を吸い、平静を取り戻すと、声を落として答えた。 「彼については知ろうとしない方がいい。どうせ……いずれ対面することになる。NG全体の、最大の敵としてね」
その言葉の後、アックは女王とブラックウィングス首領の交渉が妥結したことを告げた。必要な決断はすべて下された。もはやこの場に留まる理由はなく、一同はNG王国の中心に位置する古代の城へと急行しなければならなかった。そこは、すべての権力と至高の裁定が下される聖域。
この時点で、市川と白龍は完全に無力化されていた。
市川は冷たい石の床の上に、動くこともできず横たわっていた。体からはどす黒い血が流れ出し、死の淵を思わせる水溜まりを作っている。全身には数百もの深い斬撃が刻まれ、回復の兆候は微塵もない。見開かれた瞳は苦痛と驚愕に収縮し、呼吸は今にも途絶えそうなほど断続的だ。四肢は完全に切断されており、その切り口は恐ろしいほど鮮やかだった。拷問ではなく、絶対的な「制御」の結果。
対する白龍は、巨大な真っ白な柱に背を預けて座り込んでいた。柱には太い蔓が蛇のように巻き付き、怪物を幽閉しているかのようだ。彼の胸部には一撃の刺し傷が貫通しており、鮮血が服を染め、地面へと滴り落ちている。柱の背後には血飛沫が飛び散り、静寂の中に重苦しい滴りの音だけが響いていた。
その光景の中心で、一人の男が背を向けていた。 充血した赤い瞳を持ち、慈悲という概念を一切持ち合わせぬ冷徹な眼差しをした男が、ゆっくりと観客たちを振り返った。彼から放たれる気圧に空間が押し潰され、強者たちですら呼吸することさえ躊躇われた。
彼こそが、ブラックウィングスの首領。 言葉など不要だった。市川と白龍は抗おうとしたが――一瞬にして、彼らに一時的な無力化が施されたのだ。憎しみゆえではなく、威嚇のためでもない。ただ、この場所を乱すことは許されないという、それだけの理由で。
なぜなら、こここそが中心――NG女王が座す聖域。 そしてその地で、市川の運命を決する会合が正式に幕を開けた。
会合は極秘事項とされ、詳細は完全に封鎖された。残されたのは、後にアックからアコウへと語られた要約のみである。 そう、アックは今、人間狩りの観客席でアコウと対峙していた。目的は明確だ。情報の提供。アコウは単なる戦略家ではない。人類の未来そのものだからだ。たとえどれほど残酷であっても、アコウが知らねばならぬ真実があった。
提示された理由は、単純であり、かつあまりに冷酷なものだった。 「市川が人類側に存在する限り、NGはそれを絶対的な脅威と見なす」。遅かれ早かれ戦争は勃発する。ブラックウィングスの首領が介入したとしても、それは避けられぬ運命だった。もしNGが先手を打たなければ、市川が成長を続けた時、人類が主導してNGを転覆させるのは明白だからだ。
突きつけられた真実は明快だった。 現在は「NGが攻めていない」から平和なのだ。 もしNGが今この瞬間に開戦すれば、勝利する確率は極めて高い。しかし、唯一彼らを躊躇させている存在がいる――ブラックウィングスの首領だ。 現在、ブラックウィングスはNGと人類を隔てる壁となっている。どちらの側にも属さず、しかし双方が自制せざるを得ないほどに強固な壁。その壁が崩れた瞬間、両勢力は即座に殺し合いを始めるだろう。そしてその時、勝者となるのはほぼ間違いなくNGである。
ゆえに、誰も望まぬことではあったが、市川の「死刑」が決議されねばならなかった。 「人類の未来」であったはずの市川は、NGの目には世界を滅亡の淵へと追いやる元凶として映っていたのだ。
そして彼に残された道は二つ。 一つ――ブラックウィングスへの加入。 二つ――戦争を回避するための、即時の死刑。
もし市川がブラックウィングスの一員となれば、NGは組織の領域を攻撃できず、また攻撃しようとも思わないだろう。ブラックウィングスは中立の勢力であり、何よりその首領は支配を望まず、侵略の野心を持たないからだ。 市川が加入すれば、平和は維持される。 慈悲ゆえではない。 パワーバランスが保たれるからだ。
ここに至り、真の全体像が露わになった。 ブラックウィングス首領の計画は、最初から完璧に描かれていたのだ。彼がバーに姿を現したその瞬間から――人間狩りが始まる前から――市川を手に入れるという意図は存在していた。すべての事件、すべての衝突、すべての「偶然」は、彼の掌の上の出来事に過ぎなかった。 アコウはそれを知らなかった。首領の計画は、単にゲームを自然な流れに任せることだと思っていた。しかし、それは遥か先を見据えたものだった。
たった一手で、彼は「スカイストライカー」最強の駒を奪い、ブラックウィングスの戦力を強化し、同時に世界の均衡を維持した。 王座も、称号も必要ない。 ただそこに存在するだけで、世界を自分を中心に回らせる。
この場所には、世界の運命を決する会合に出席するため、市川の家族も姿をみせていた。 しかし、世間が抱く「名家」のイメージとは裏腹に、そこには涙も、哀願も、守ろうとする言葉もなかった。 あったのは、ただ冷酷で醜悪な呪詛の言葉だけだった。
市川が事態を飲み込む暇さえ与えず、彼らは声を上げた。一言一言が金槌のように市川の脳を叩く。躊躇もなく、慈悲も微塵もなく。 彼らはNGに対し、市川の即時死刑を要求した。再考も、猶予も不要だと。彼の生死に、価値など認めていなかった。 再び、あの家族が現れ……そして再び、彼をどん底まで見下したのだ。
弱かった時、彼は存在する価値のない無能だった。 強くなった今、彼は一族の名誉を汚す汚物となった。 彼らの目に映る市川は「人間」ではない。ただの「間違い」なのだ。 一族を苦境に立たせ、人類の未来を滅亡の危機に晒した罪を着せ、ただ「生まれてきたこと」への罪を認めさせ、跪かせようとしていた。
市川はそこに立ち、驚愕に満ちた耳でそれを聞いていた。 反論もしない。 怒りもしない。 ただ、胸の内に虚無感が広がっていくだけだった。
なぜなら、心の奥底で彼は理解してしまったからだ。――彼らの言うことが、正しいのかもしれない、と。 もし自分が存在しなければ、事態はここまで悪化しなかった。 もし名家に生まれなければ、世界の脅威になどならなかった。
市川は目を閉じた。 願わくば……この地に生まれ落ちなければよかった。 願わくば……名前も、重責も、運命に翻弄されることもない、ただの凡庸な人間でありたかった。
過去が、緩やかに脳裏をよぎる。 凍てつくほどに豪華で、冷え切った広い部屋。 一人の子供が、背筋を伸ばし、疲れ切った眼差しで座っている。 両親はあれこれと学ばせた。本人の望みではなく、「一族が必要とするから」だ。遊びも、無駄な時間も許されなかった。毎日、誰かに会い、何かを学び、記憶し、「彼らが望む形」へと作り替えられる日々。
市川は大きな窓の外を見た。 そこでは、他の子供たちが走り回り、笑い合い、泥に汚れながらも自由を謳歌していた。 彼は――黄金の籠に閉じ込められた鳥のように、決して触れることのできない人生をただ眺めることしかできなかった。
人生のすべてを管理され。 自由もなく。 選択の余地もない。 他人の都合に従って生きることは、何よりも苦痛だった。市川はそれを誰よりも理解していた。 だからこそ、彼は発狂しそうなほどに自由を渇望していたのだ。
スカイストライカーに加入したのは、栄光のためでも、力のためでもない。 ただ、一人の人間として、普通に生きたかっただけ。 たとえ危険であっても。 たとえ死ぬことになっても。 他人は彼を愚かだと呼んだ。だが市川は知っていた。それこそが自由であり、人間があるべき姿なのだと。
自由を奪われ。 世界の肌触りを知ることも許されない。 それらの抑圧が積み重なり、巨大な圧力となって彼の心を内側から磨り潰していた。
だが、一体何ができるというのか? 会議室の外には、世界の頂点たる「十色座」が控えている。 中にはスカイストライカーの首領、自らの家族……そしてブラックウィングスの首領がいる。 ブラックウィングスは何も語らない。ただそこに座し、市川の選択を待っている。 頷けば、すべては終わる。 拒絶すれば、この場で死ぬ。 生き残る道は、たった一つ。 そしてそれは、他者によって描かれたレールの上にある。
市川は深く頭を垂れた。 その身に纏っているのはボロボロになった外套と、戦火に染まった無惨な衣服――まるで処刑を待つ捕虜のようだった。 重苦しい沈黙が場を支配する。 やがて、市川が口を開いた。 声は掠れていたが、震えてはいなかった。
「……どいつもこいつも、あいつがどうだの、こいつがどうだの……」 彼は顔を上げた。瞳は赤く血走っている。
「あんたたちが死ねと言えば、俺は死ななきゃならないのか?」 「あんたたちがどこへ行けと決めれば、俺はそこへ行かなきゃならないのかよ?」
覇者の権力が、突如として爆発した。 赤黒い雷鳴が轟き、空間を切り裂き、地面を粉砕する。会議室全体が激しく揺れ動いた。瞬時に十色座の十人が姿を現し、溢れ出す気圧が市川を完全にロックオンした。
ブラックウィングスの首領は、振り返らなかった。 彼は結果を知っていた。 ただ静かに、制止の言葉一つかけずにその場を後にした。
市川は手枷を力任せに引き千切った。 「銀気」と「覇者の権力」が荒れ狂い、世界をなぎ倒さんばかりに渦巻く。学園の長であるヒトミも即座に歩み出で、参戦の構えをとった。 四肢を切断されてから三日――NGの至高の医術と自らの回復力により、市川は最強の状態を取り戻していた。
彼は外套を乱暴に脱ぎ捨てた。 足を踏みしめると、真っ白な床に広がる蔓が粉々に砕け散る。 市川は拳を固く握りしめ、十色座の十人を真っ向から睨み据えた。 その声に、もはや恐怖も躊躇もなかった。
「俺の自由は――俺自身が決める」 「どこにも属さない。どこへも行かない」 「そして、俺はここでは死なない」
激しい憤怒に満ちた顔に、歪んだ笑みが浮かぶ。
「……かかってこいよ」 「最強の怪物ども」




