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第69話

二人が最強形態に入ったその瞬間、セシリアも姿を現す。


空高くから、彼女は矢のように戦場へ降下する。その目的は明白——イチカワを援護することだ。


「少し遅れてしまったようね」セシリアは声を上げ、混沌とした戦場を素早く見渡す。


「あなたとあの二人の戦いには…割り込む隙間すらない。」


イチカワは振り向き、冷たい瞳で見つめる。


「今の実力で、私を助けられると思うか?」


セシリアは目をそらさない。


「多くは助けられないかもしれないけれど」彼女は答える、


「赤毛のあの女を足止めしてみせる。あなたは思う存分、白竜に集中して。」


イチカワは肩を軽くすくめるだけだった。


その直後、彼は手をセシリアの肩に置く——仙気が溢れ出す。


白と青の光が全身を覆い、まるで見えないエネルギーの膜が振動するかのようだ。セシリアは驚き、自分の身体を見下ろす。


「これは…?」


ここで、イチカワの能力が明確に示される。


彼の力は、自身の権能の一部を指定対象に転送することができるもので、ゾーン効果を通じて発動される。選ばれた対象は一時的にイチカワとエネルギーを共有し、同時に彼の力の一部を利用できる。


唯一の条件は、対象がイチカワの支配範囲内に存在すること。


極めて強力だが、厳格な制限がある。


– 維持時間の最大:5時間

– 中途で解除されると再発動不可

– 1日1回のみ使用可能

– 各対象は一度きり、ゾーンを別の対象に適用すれば再使用可能


「こんな理不尽な能力が…?」


セシリアが言い終わる前に、海賊の少女が突進してくる。


一瞬のうちに、セシリアの戦闘本能が自動的に反応する。本人ですらなぜ反応できたのか理解できない。


空間を切り裂く一撃を放ち、相手を押し戻す。


セシリアは固まる。


この感覚…


覚醒者だけが持つ究極能力…?


イチカワの力によって、彼女はそれに触れたのだ。


発動しようとした瞬間、頭の中に声が響く。


「能力を無闇に使うな。

戦闘では、純粋な力よりもスキルの配分が重要だ。

今、再使用待ちに陥ったら面倒だ。」


セシリアはすぐに気づく——テレパシーだ。


口を開かずとも、イチカワと意思疎通が可能で、戦術や相手を欺く方法を即座に伝えられる。


白竜には全く気付かれない。


これこそ決定的な優位性。


セシリアは突進する。


爆発的な速度で、本人も目眩を覚えるほど。一直線に突き、空間破壊スキルを発動。


海賊少女は即座に反撃——紫の炎を纏った剣が閃く。


二撃が衝突する。


ドゴォ——!


空気が爆発し、空間は粉々に砕け、紫の炎が高潮の如く舞い上がる。二人は高速で攻撃を連携させる。


イチカワの無限エネルギーにより、セシリアはスキルを休まず使用可能——再使用待ちを待つだけでいい。


白竜は目を細める。


「この力…短時間で自然に得られるものではない。」


視線をイチカワに向ける。


「確実に介入したな。戦士であり、支援者でもある…

なんという理不尽な存在だ。」


イチカワは答えず、目の前に現れる。


片手で白竜の頭を掴み、地面に押さえつけようとする——しかしその身体は消えた。


白竜は後方に出現し、空間爆発球を放つ。


イチカワは吹き飛ばされるが、氷壁を展開して衝撃を和らげる。壁は無数の輝く破片に砕け散り——突然静止。


空間が凝固する。


渦巻きが出現し、全てを飲み込み、白竜の手中で小さな立方体に圧縮される。握りつぶす。


ドゴォ!


空間が破壊され、全てが現実に戻る。


しかしイチカワはすでに消えていた。


気づくや否や、背後から剣が振り下ろされる。


白竜は翼を広げ、無数の斬撃を放つ——イチカワの身体は氷の破片に砕ける。


…ダミーに過ぎない。


イチカワは目の前に現れ、剣を突き出す——だが光線が肩を貫き、穴を残す。


白竜は即座に標的を変える。


地面から手が伸びて足を掴む。


彼は巨大な光線を地面に放ち、深い穴を穿つ——しかし氷のダミーは瞬時に回復し、首を絞める。


その時、白竜は理解する。


イチカワはダミーと位置を入れ替えられるのだ。


イチカワは首を掴み、前方へ投げ飛ばす。


巨大な樹木が地面から芽吹く。


ドゴォ——!


白竜は幹に激突し、流血。蔓が絡みつく。竜の炎が襲いかかる。


彼は蔓を切り裂き、空間の盾を展開。


爆発が轟く。


煙が晴れると、空中に数百の氷の槍が浮かんでいた。


イチカワの命令で、全てが同時に降下する。


白竜は空間爆発を発動するも、手足を貫く氷には抗えない。


その時——


イチカワが究極スキルを発動。


白竜は凍りつく。


もし発動させれば…あの瞳に飲み込まれる。


彼は突進して拳を振るう——しかし氷のダミーのみ。


瞬時に地面は凍りつき、彼を封じる。


白竜が脱出を試みると、支配者の力が襲いかかり——全ての力を奪う。


イチカワは究極スキルを発動。


赤い瞳が開く。


勝利はほぼ手中にあった。



ドゴォ!


周囲の環境が崩壊する。


イチカワは目を見開く。


背後——変異する魔がすでに自身の究極スキルを発動していた。


双方の環境が互いを打ち消し合う。


理論上、二つの環境は重なり合っても能力は発動されない。しかし、変異する魔の特殊能力により、相手の環境回路を断ち切ることが可能。


両者が断たれた瞬間、彼は即座に全回復——ただし究極スキルは除く。


イチカワは異なる。


回復に15〜30分を要する。


変異する魔は狡猾に笑う。


「さて…イチカワ、お前はどうやって俺と白竜を倒すつもりだ?」



一方、セシリアとの連携は途絶える。


彼女は一撃を受け、身体が崖に激突。


血が滴り、息は重い。


セシリアは動けず。


戦局は——完全に逆転した。

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