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第16話

明日、新しいエピソードを投稿予定です。

予想されていた通り、アコウの判断は完全に正しかった。イチカワの環境を利用することでアックの環境を無効化し、彼の能力を封じることに成功したのだ。


「つまり、今はアックの環境が完全に消されていて、彼は能力を使えないってことか?」


イチカワは念のため確認した。


アコウはうなずいた。「その通りだ。現在の状態では、アックは能力を一切使えない。だからこそ、最初から君に環境を維持するよう指示していたのさ。すべてはこの瞬間のためだったんだ。」


今、イチカワは自分の環境下でアックを完全に圧倒することが可能となっていた。


「ところで、君の環境にはどんな能力があるんだ?」


アコウは次の戦略を立てるために尋ねた。


イチカワは説明を始めた。彼の環境はやや複雑で、以前は元素が仙気の補助として使われていたが、今では環境内に限り、元素の力が圧倒的なものへと変貌していた。


具体的には、イチカワのオリジナル環境は、無限の白い剣を召喚することができる。これらの剣には数の制限がなく、連続して敵を攻撃することが可能だ。しかし、環境の外に出るとその数は十二本に制限され、効率よく使わなければならなくなる。破壊された場合、再生には時間を要する。


最も重要なのは、この環境が元素と融合することができる点だった。環境内に元素を作用させることで、イチカワはその元素を象徴する霊獣を召喚できる。この霊獣は非常に強力なスキルを持ち、時に世界の法則さえも揺るがす力を持っていた。ただし、すべての霊獣がそこまで強力というわけではない。


この話を聞いたアコウは判断を下した。「まずは基本形態の環境で攻撃してくれ。問題は君がこの環境をどれだけ維持でき、どこまで効果的に活用できるかだ。アックを即座に倒せるとは思えないから、あまり早く奥の手を見せるなよ。もし完全に力を出し切る前に環境が崩壊すれば、大きな不利になる。」


今のイチカワは無限の白い剣を使いこなしており、アックの時間能力が封じられたことで、完全に優位に立っていた。アックは苦境に立たされ、自分がここまで追い詰められるとは思っていなかった。


自害して戦いをリセットするという手もあったが、それではBlackWingsによって定められた計画が台無しになる。詳細は不明だが、ここに来る前に「できる限りのことをして、リセットせずに帰還する」よう指示を受けていたのだ。


ためらうことなく、イチカワは数百本の白い剣を召喚し、アックの位置を目がけて一斉に放った。その速度と数にアックは戦慄した。この環境下でのイチカワの攻撃は、彼の予想をはるかに超えていた。


アックは後退しながら避けようとし、剣で迎撃も試みたが到底追いつかず、イチカワに近づいて直接攻撃を止めるしかなかった。


彼が突進する道中、無数の剣が澄んだ水面に突き刺さった。いくつかの剣は彼の腕や脚をかすめ、血が流れ始める。アックは逃げ道を探したが、すべてのルートが剣によって封じられていた。


「これは……ひどすぎる……」アックは小声でつぶやいた。


しかし、異変が起きる。目の前でアックの傷が徐々に回復していったのだ。アコウはその異変に気づき、イチカワに説明した。


ここで「回復」という新たな概念が明らかになる。


これまでに語られてきた通り、「エネルギー」は個人の強さを示す指標であり、値が高いほど能力と身体能力が強化される。鍛錬と戦闘を重ねることで「爆破バースト」と呼ばれる攻撃力強化スキルが解放される。そして選ばれし者のみが「覇主の権能」を目覚めさせる。


さらに、ある一定のダメージを受けた場合、「完全回復」という新たな段階が解放されるのだ。


ただし、相手にバーストを使うと、回復速度は大きく低下する。回復速度は残りのエネルギー量に左右され、使用するたびにエネルギーの上限も消耗される。これを抑えるためには、攻撃者が相手よりも圧倒的に高いエネルギー値を持つ必要がある。


アコウはさらに続けた。「君は知らず知らずのうちに、この完全回復を使っていたんだ。君の色付きの瞳がそれを自動的に発動させていた。」


イチカワは最初、それが自分の能力だと思っていたが、実はエネルギーの新たな段階によるものだったのだ。


連続攻撃を受けてアックの身体は満身創痍となり、完全回復ですら追いつかなくなっていた。なぜなら、環境を二度展開したことで、アックはエネルギー上限4000のうち、合計で2400を消費していたからだ。しかも、それ以前の能力使用分は含まれていない。上限は時間とともに回復するが、激しい戦闘の最中では消費に回復が追いつかない。


イチカワはアックを仕留めようと、最後の連続剣撃の準備に入った。しかし、アコウがそれをすぐに制止した。飛翔する無数の剣がアックの目の前で止まる。アックの表情には安堵が浮かんだ。


「もし君が彼を殺してしまえば、彼はリセットしてしまう。」アコウが言った。


「じゃあ、どうすればいいんだ?」イチカワは尋ねた。


アコウはすでに対策を考えていた。アックが死ねないなら、封印するしかない。死は免れても、毒には耐性がない。戦闘を見守っている者がこのことを理解していれば、イチカワがアックを倒した直後に毒で彼を無力化し、永遠の眠りにつかせることが可能だ。それが唯一の対処法だった。


イチカワはその情報に衝撃を受け、表情が強張った。アックはその顔を見て笑った。会話の内容こそ聞こえなかったが、すべてを理解していた。彼自身、自分の弱点を最もよく知っている。


その隙を突き、アックは突然ものすごいスピードで突進し、バーストの拳をイチカワの腹部に叩き込んだ。黒い雷鳴が響き渡り、イチカワは即座に意識を失い、彼の環境も一瞬で崩壊した。


「最初からこうすることもできたけど……君が環境の中でどれだけやれるか見たくて、少し時間を稼いでいただけだよ。」アックはそう呟いた。


空は砕け散り、イチカワは胸を押さえながら後退した。アックは結界が崩壊するのを見て、自信に満ちた顔を浮かべていた。


「油断するな、イチカワ!」アコウの怒声が響いた。


環境が崩壊した瞬間、アックは再び突進し、バーストの蹴りを放った。イチカワはそれを受け止めようとしたが、地面を転がるように吹き飛ばされた。立ち上がろうとしたその瞬間、アックが再び迫ってくる。連続の拳撃に、イチカワは防戦一方となる。最後の一撃をバーストで放たれたが、イチカワは避けてアックの腕を掴み、地面に叩きつけた。アックはその成長に驚いた。


イチカワは全力を込め、バーストを上から叩き込もうとする。雷鳴が轟き渡る中、アックは両腕で防御したが、その衝撃で腕が腫れ上がった。


アックは立ち上がり、イチカワを見て言った。


「確かに……君がもっと強くなると面倒だな。でももう関係ない。俺の任務はここで終わりだ。」


イチカワは驚いて尋ねた。「君は俺を殺さないのか?」


そこでアックは真実を明かす。最初にイチカワを殺すと言っていたのは嘘だった。本当の目的は、彼を守るためだった。なぜなら、覚醒したイチカワはこれから狙われ、殺される運命にあるからだ。その相手は他ならぬヒトミだった。


通話先のヒトミはその言葉に驚愕した。彼女はイチカワを殺すつもりはなかったが、アックは確信していた。「今はそう思っていなくても、いずれ彼が真の力を見せた時、君は必ず彼を殺そうとするだろう。」


その理由はまだ説明できないが、アックはそれを信じて疑わなかった。彼はヒトミに警告した。「俺はリセットできる。だから軽はずみにイチカワに手を出すな。もし君が俺の計画を妨げるようなことをすれば、BlackWingsの全力と、俺のリセット能力で君を消しに行く。」


ヒトミはその言葉に腹を立てたが、ジークはただため息をつき、誰も死ななかったことに安堵していた。イチカワがさらに何かを聞こうとしたが、アックは笑って言った。


「この時間軸で……絶対に死ぬなよ。アコウにも伝えてくれ。この世界には、お前ら二人が必要なんだ。」


そう言って、アックは姿を消した。


戦いは終わり、力の嵐が吹き荒れた跡には、荒れ果てた大地が残った。


アコウは静かに座りながら、疑問を抱いていた。なぜヒトミはイチカワを殺そうとするのか。彼は彼女やSky Strikerにとって利用価値があるはずなのに……。

初投稿作品で、まだまだ拙い部分が多いかと思いますが、温かく見守っていただけると幸いです。

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