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第14話

明日も新しい章を公開する予定です。

「お前、死にすぎて心の状態はどうだ?」


その声は、28歳くらいの男性から発せられ、緑豊かな森林の中で響いた。木々の間には、小さな村々が点在し、現代文明から切り離された場所だった。


隣に座っていたアックは、静かに頭を下げ、顔に憂いを浮かべていた。


「正直、あそこにいた時は、心にかなり影響があった。」


男性は軽く頷き、さらに質問した。


「ヒトミのせいで、人生で最も大事な人を失った。今、君はただ復讐したいだけなのか?」


アックは答える。


「復讐はそのうち果たすことになるかもしれない。ただ、まずは君と一緒にもっと大事なことを成し遂げないといけない。」


その言葉は、今もアックの頭の中で響いていた。現在、イチカワと戦っている最中でも…


---


現在、イチカワとアックは試験会場で戦っていた。小さなスクリーンからゼケの声が響いた。


「この戦いが終わったら、試験は続行するのか?」


無感情な声でヒトミが答えた。


「もちろん。でも、イチカワは参加しない。バランスが崩れるのを避けるためだ。」


戦闘はアックの不規則な攻撃から始まった。イチカワを包囲し、見えない角度から次々と攻撃を仕掛けるアック。しかし、イチカワはそのスピードと能力でほとんどの攻撃を防いだ。それでも、アックの速さに反応しきれない瞬間があった。


「ちゃんと聞こえてるか、イチカワ?」—アコウの声が、イチカワが前に投げ渡されたイヤフォンから聞こえてきた。


「聞こえてるよ。」—イチカワは驚きながら答えた。


倒壊した家の中から、ゾアとアコウが戦闘を見守っていた。イチカワがひとりごちるのを聞いたアックは、すぐにそれがアコウの干渉だと察したが、気にしなかった。


戦闘は続く。アックは一定の距離から現れては攻撃を仕掛ける。イチカワはその度に、元素の力で反撃し、強力な攻撃を繰り出してアックに回避を強いらせる。しかし、アックは突然、イチカワの周囲に時間の流れを遅くする空間を作り出す。イチカワはそこで、アックの本当の能力が移動ではなく、時間操作であることに気づく。


反応する暇もなく、イチカワはアックのキックを受け、吹き飛ばされる。アックはすぐにイチカワの背後に現れ、突進を仕掛けた。イチカワはその間に氷を使って壁を作り、その衝突を防ごうとしたが、アックはすでに予測していた。アックは跳躍し、氷の壁を越えて、イチカワが氷にぶつかると同時に、空中で横斬りの一撃を放つ。幸い、イチカワは白く輝く剣でそれを防ぐことができた。反撃のために剣を放つが、アックは消え、再び安全な距離に現れた。


「これが…覚醒したイチカワか?」—アックは驚きの声を上げた。


「俺のことを知ってるのか?」—イチカワは問い返した。


アックは答えず、攻撃を続けた。今度は、イチカワが両手を合わせ、大きな赤い火の玉を放つ。それは前方を焼き尽くす勢いだったが、アックは再び消え、すぐに背後に現れて爆発を伴う一撃を放ち、イチカワは再び吹き飛ばされた。


イチカワが反撃しようとしたその時、アコウが声をかけた。


現在、アックは時間に関わる技を使っている。時間を一時的に停止させて、相手の視界外から移動する能力だ。しかし、この能力には制限があり、アックとイチカワの間の距離が近すぎるとすぐに攻撃できない。そのため、木々の中を移動しながら攻撃を仕掛けている。アックは、エネルギーを持つ人間に近づくことはできないが、植物のような物体には近づける。


また、アックは相手の動きを遅くする空間を作り出すこともできる。しかし、その空間は視覚的に見えるため、回避可能だ。さらに、アックは未来を2〜3秒先まで予知する能力を持ち、これにより攻撃を避けることができる。しかし、この能力も連続的な攻撃には対処できない。


アコウはイチカワに指示を出す:もしアックの攻撃する「見えない点」を把握できれば、元素で反撃か防御ができる。もし場所が特定できない場合、そのエリアを氷で覆い、アックの接近を防げ。アックが時間停止技を使う間は、連続攻撃を放ち、アックが未来を予知しても反応させないようにせよ。


イチカワは理解し、防御の姿勢を取った。彼の目には、完璧な集中が浮かんでいる。アックが時間停止技を使い背後に現れたその瞬間、イチカワは剣を地面に突き刺した。周囲が氷で覆われ、アックは不意を突かれ、最初の一撃を受けた。イチカワは突進し、赤く燃える剣でアックに連続攻撃を仕掛ける。アックは氷を破りながら回避し、反撃しようとするが、両者の間で熾烈な短い剣の戦いが繰り広げられた。


アックは力が回復したと感じ、後方に跳躍して再び消え、再び安全な距離に現れた。この瞬間、アコウの分析が正しいことが証明された。


「だいぶ変わったな…アコウの仕業か?」—アックが尋ねた。


「アコウのことを知ってるのか?」—イチカワが驚きながら聞き返した。


アコウが電話の向こうから言った。


「こいつ、未来から来たんだよ、バカ。」


イチカワは驚き、もう一度尋ねた。アコウは説明した。アックは過去の時間軸を消し、新しい時間軸を作り出した。目的は不明だが、失敗した可能性が高いとのこと。


ゾアも確認した。アックは自分の未来に潜む危険因子を排除しに来ており、イチカワがそのターゲットだと。


それを聞いたイチカワは驚いたが、心の奥で、初めて認められたと感じた。


認められたことに満足しながらも、心の奥底で何かしらの脅威が忍び寄っていることを感じていた。


子供の頃から、イチカワは一度も危険に直面したことがなかった。両親はいつも彼を守り、どんな危険も回避してくれた。しかし今、力を手にしたイチカワは、もう逃げることはできない—すべての危険に立ち向かわなければならない。


もちろん恐れはあった。しかし、体の中で沸き上がる興奮がそれを上回った。


なぜなら、子供の頃から、イチカワはいつもこうなりたかったのだ—**生きている実感を得たい**、**向き合って**、そして目の前の挑戦を乗り越えたいという気持ちを。


しかし、その感情は長く続かなかった。アックは両手を合わせ、強力な技を放とうとしていた。アコウが反応する暇もなく、大声で叫んだ。


「今すぐその場所から離れろ、イチカワ!!」


イチカワが反応する間もなく、黒い幕が全てを包み込んだ。


「究極の力...」—アックは静かに呟いた。


ゾアはその黒い空間を見て驚愕した。


「これは…?究極の力か?」


この時、究極の力の概念が明かされる。それは能力者の最強の技であり、覚醒を必要とする力だ。二つの主な形態がある。


1. **環境の変化**—例:炎を操る者が焼き尽くす領域を作ること。

2. **状態の変化**—例:自分の体を炎に変えて強化し、飛ぶことができる。


究極の力は膨大なエネルギーを消費する(1200/4000)。使用者は一日に二回しか使えず、30分の回復時間が必要だ。特別な場合も存在する。


「今すぐお前を終わらせる。残念だな、イチカワ—惜しい才能だ。」—アックは冷たく言った。


その直後、黒い幕はガラスのように砕けた。セシリアがすぐに駆けつけ、キングは目を覚ました。二人は力を振り絞り、最強の一撃を放った—空間を破壊するパンチ、赤く輝く悪気を込めたパンチ。


衝撃の層が揺れた。どちらも疲れ果てていたが、全力を尽くしてもう一度繰り出す。最終的に、衝撃の層は完全に崩れ落ちた。


イチカワは意識を取り戻し、何が起こったのか分からぬまま、キングとセシリアが膝をつき、息切れしているのを見た。


セシリアは力を振り絞り、最後の言葉を吐いて気を失った。


「見つけたよ、アック…」

最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます!

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次回もよろしくお願いします!

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