あとがき
これにて、「悠久の少女」本編は完結しました。
最後までこの作品を追いかけてくださり、本当にありがとうございます。
完結の記念に、悠久を書き始めたきっかけを、少しだけ語らせてください。
数年前、「これが私の人生のどん底じゃないか」と思うような体験をしました。
それでも、やっぱり人生ってどうにかなるもので、それから1年くらいが経つ頃には、当時味わった喪失感も苦しみも悲しみも寂しさも、どんどん色褪せていきました。
それ自体は悪いことではないのですが、当時の感情が自分の中で風化していっている事実が、その時は何だかとても恐ろしく感じられて。自分が薄情な気がして。
それで、その当時に生まれた感情を可能な限り落とし込んだのが、本作です。
あと、この作品の構想を練り始めた頃、何だかこれを自分の最後の創作活動にしたいという思いもありました。
だから、自分にとって一つの節目になるような作品に仕上げたつもりです。
でも、いざ書き終わってみたら、もう少しだけこの作品を掘り下げたいなという気持ちが湧き上がってきました。
アレスとレナータの年相応に幸せそうな姿を、もっと書きたかった。ある登場人物の心情にも、もっと触れたかった。
そんな想いから、悠久の続編というか、後日談に当たるものを書き上げました。
早くて3月頃、遅くても4月頃には連載を始めたいと思います。
ボリュームは本編の3分の1ほどですが、もしよかったらもう少しだけ悠久の世界にお付き合いいただけたらと思います。
本作は、いくつかの賞にも応募しています。
結果がどうなるか、全く見当がつきませんし、何の手ごたえもないまま終わる可能性も充分高いですが、せっかくなので最後まで楽しみたいと思います。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
次は、悠久の後日談でまたお会いできたら、嬉しいです。




