知らない場所と決意
初めての投稿になります。
つたない部分はあるかと思いますが温かい目で見守っていただければと思います。
視界いっぱいに七色の光が溢れていた。
玲央はその光景に驚きすぎてしばらく声を出せないでいた。
その光が薄れていくと、目の前には青々とした草原が広がっていた。
「え、何処、ここ?」
目が覚めたと思ったら見覚えのない場所にいることに混乱し、思わず声をが漏れ出た。
混乱しつつも思い出したのは、妹の玲奈と腕を組みながらショッピングモールに向かう途中の光景で記憶だ。
記憶にはないがもしかして誘拐されたのだろうか?
ともかく最愛の妹である玲奈を探さなければ。
周囲を見回して玲奈を探すと、数メートル程の離れた所に誰かが倒れている。
草ではっきりとは見えなかったが、服装は玲奈が今日来ていた服のように見える。
「玲奈?!」
慌てて近くに寄ってみると、やはり玲奈だった。
「スー、スー」
倒れているがどうやら寝ているだけらしい。
見たところ怪我もしていなさそうだ。
玲奈を発見し、無事確も確認できたことでほっと息をつく。
だがまだ安心は出来ないと思い直す。
ここがどこだか分からないが危険な野生動物がいるかもしれない。周囲の状況を見て玲奈に対して脅威となるものがないか確認する必要がある。
立ち上がりぐるりと周囲を見渡して気がつく。
周囲に何もないのだ。建物はなく、動物も人もいない。見渡す限りの草原と少し遠くに山があるだけだ。
即座に脅威となるものはないようでまたほっと息をつく。
落ち着いた所でここがどこなのか本格的に気になり、スマホの地図アプリとGPS機能を使おうとして気がつく。
持っていたバッグがない。スマホはバッグの中だ。
周囲を探してみてもあるのは草だけだ。
玲奈を不安にさせたくなかったため、ある程度状況が分かってから起こそうと思ったがそうも行っていられない状況のようだ。
「玲奈、玲奈。ほら起きて。緊急事態よ」
そう言って揺すったり肩を軽く叩いたりすると、玲奈が目を開けて身体を起こした。
「ん…お姉ちゃん?どうしたの?緊急事態って……?」
どうやらまだ目が覚めきってはいないようで反応が薄い。
寝ぼけ眼でポヤポヤしている玲奈は大変愛らしかった。
思わず頭を撫でたくなってしまったがそんなことをしている場合ではないも思い直す。
「玲奈、ここがどこだかわかる?」
「へ?ここがどこかって?」
玲奈は立ち上がって周囲を見渡す。
「うーん、どこだろう?私も分からないよ。お姉ちゃんも分からないの?」
「私も分からないわ」
玲奈にもこの場所は分からないようだ。
「ねえ玲奈、何でもいいから持ってる物はある?スマホとかの通信媒体があるといいのだけど」
そう聞くと、玲奈は辺りをキョロキョロと見回す。
「あれ?そう言えばいつも持ってるバッグがないや。持ち物は基本的にバッグに入れてるから何もないね」
「やっぱりあなたもなのね…」
「やっぱりってことはお姉ちゃんも?」
「ええ、持っていたバッグがないわ」
私も玲奈も、今いる場所がわからず、スマホのような連絡手段もない。
周囲に何もない状況を見るに、二人でこの状況を切り抜ける必要があるようだ。
「玲奈、今後の事について話しましょう」
「お姉ちゃんの事だからどうするか考えてるんだよね?」
「ええ。誰か人に見つけて連絡手段を確保しましょう。でもまずはどうにか生き抜くことも考えないとね」
「生き抜く…となるとお水と食べ物が必要だね」
「そうね。出来れば火も欲しいわ。野生動物避けになるし、何より食べ物のエネルギー吸収効率が良くなるわ」
「そうなんだ。でもお姉ちゃん、火なんて起こせるの?」
「動画で見たことがあるくらいね…」
必要な事は想像できても、未成年の学生である未熟な私達にとってあまりにも状況は厳しいようだ。
「まずは生存に必要な水の確保が最優先よ。山なら川があるかもしれない。人を探しつつあの山の麓を目指しましょう」
「了解!それじゃあ行こっか!」
そう言うと反論もないのか玲奈は笑顔で手を繋いできた。
こんな状況でも私を信じて明るい表情を浮かべる玲奈を見つつ、この子を何としてでも守らねばと決意を新たにした。
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