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【5:お願いです御堂君。協力してください】

「恋人……ごっこ?」

「はい。そうすればドキドキ感とか、嬉しさとか、色々と体験できそうな気がして」


 少し目を伏せ、上目遣いで俺を見る堅田。

 眼鏡をかけているにも関わらず、可愛くてドキリとした。


 恋人ごっこかぁ……

 そういう体験、正直言って俺もめっちゃ興味ある。

 いったいどんなことをするのか、まったく想像はつかないけど。


「お願いです御堂君。私の執筆力を高めるために協力してください」


 執筆力か……


 俺には品川さんという憧れの人がいる。

 今は彼氏がいて絶対に手の届かない存在ではある。

 だけど堅田と恋人ごっこをすることで、少しは俺の男子力も磨かれるんじゃないだろうか。


 いずれチャンスが来た時のために、男子力を鍛えておくのはプラスになる。

 俺は男子力を伸ばし、堅田は執筆力を伸ばすことができる。


 うん、これはウィンウィンの関係だ。


 それに堅田だって、嫌いな男子にこんなことを頼みはしないだろう。

 だから好意とまでは言わないまでも、俺のことは嫌いじゃないくらいは思ってくれているってことだ。

 それはそれで、素直に嬉しい。


「わかった。協力するよ堅田」

「ホントですか! ありがとうございまちゅ!」


 堅田はにっこり微笑んだ。

 でも今、盛大に噛んだよな。

 なかなか可愛かった。


 それにしても堅田っていつも無表情だと思ってたけど、こんな表情もできるんだな。

 そして両手を前で組んだせいで、大きな双丘が一層強調されてる。


 あ、えっと……

 決して俺は、エロい理由でこの話を受けるわけじゃないんだからな。

 それはわかってくれ。(誰に向かって言い訳してるんだよ俺)


 それにしても。

 女子の部屋という密室で二人きり。

 しかも相手はエッチな小説を書いている妄想少女。(しかも巨乳)

 この状況が俺を熱くさせる。(どこを、とは言わないが)


「で、俺はいったい何をしたらいいんだ?」

「そんなの決まってるじゃないですかぁ……イイコト、ですよ。うふふ」


 くそ真面目な堅田の顔が、一瞬妖艶に見えた。

 いや、まさか違うよな。

 俺が変な期待をして、そう見えてしまっただけに違いない。

 堅田だって創作で仕方なくエッチなことを書いてるって言ってたし、マジでエロいことするはずはない。こんなに真面目な女の子なんだから。


 ……と思いつつも、ごくりと喉を鳴らしてしまった。


「あ、その前に御堂君。お茶も出さないでごめんなさい。喉乾きましたよね?」

「ああ、そ、そうだね」


 確かに緊張感マックスで、気がついたら喉がカラッカラだ。


「ちょっとキッチンから飲み物を取ってきます。ここで待っててくださいね」


 堅田はそう言うと、部屋から出て階段を降りて行ってしまった。

 遠ざかる堅田の足音を聞きながら、大きく息を吐いてひと息つく。


「うっわ、めっちゃ緊張した。どういうシチュだよコレ?」


 これから何が起こるのか。

 期待しちゃいけないって思いながらも、もしかして、という気持ちが湧いてくる。

 堅田が戻って来てから始まる『何か』が、なんなのか。

 期待と不安でドキドキして待っていると、ガチャリと扉が開いた。


 目を向けると、そこに立っていたのは堅田かただ 美玖みくとは違う女性だった。


 ──え? 誰?


 ゆるふわな茶色いパーマヘアにナチュラルなメイク。

 お洒落なデザインシャツと白いミニスカートの組み合わせもあって、大人っぽいエロさが溢れている美人。しかもクールな感じ。


 大学生かな?


 そんな女性が部屋の中に入って来て、俺を品定めするような目線で嘗め回している。

 緊張感が背筋に走る。


「えっと……誰……ですか?」

「キミが……ね。まあまあかな」


 俺が……なんなの?

 そしてまあまあってなに!?

 理解不能なんすけど。


 戸惑っていると、美人さんは俺に近づいてきた。

 呆然と立ち尽くす俺の頬に手のひらを当てて、サワっと撫でる。


 ──ゾクっ。ゾクゾクっ。


 頬を撫でられた感触が背筋に伝わり、痺れるような気持ちよさが走る。

 いや、なにこれ? ヤバ。


 そのまま彼女が俺に顔を近づけてきた。

 近くで見たら更に美人。クール美人だ。

 吐息がかかりそうなくらいの距離で囁く。


「ねえ。お子ちゃまな美玖みくなんかより、あたしとイイコトしない?」


 え? マジか?

 こんな美人が俺を誘惑してる?

 もしかして、今日の俺はモテ期到来ですかっ?

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