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【29:この方が御堂君が喜ぶと思いまして】

 今まで果実を覆っていた包装紙……じゃなくて胸を覆っていたブレザーが無くなると、より一層たわわなモノが目に入った。


 これはヤバい。超強力な攻撃力。

 思わずホントにダイビングしそうになるのを、必死にこらえる。

 耐えろ! 耐えるんだ!


 ……ん? 堅田はブラウスのボタンにまで指をかけて、外し始めてる。


「ちょい待て堅田! なんでブラウスのボタンまで外すんだ!?」

「この方が御堂君が喜ぶと思いまして」


 そりゃ喜ぶ。

 俺は全身全霊で喜ぶよ!


 今、ホントにぐらっと来た。

 本日一番の危機到来だ。

 だけどそうじゃない。


 この流れをなんとか止めなきゃいけない。


「あ、そうだ! ところで堅田の好きな人って誰?」

「ひゃうっ……言わなきゃダメですか?」

「いや、無理には聞かないよ。誰なのかなぁ……なんて思ってさ」

「そうですか。えっと……みど……みど……」


 ええっ?

 まさか俺っ!?


「緑川君です」


 みどりかわ?

 そう言えば同学年にそんな男がいたような気がする。

 あれ? いたかな?


 一瞬俺かと思った。


 あれ? なんか堅田が青い顔してる。

 すっげえ『やっちゃいました顔』だ。

 そっか……言うつもりがなかった名前を、つい言っちゃったのかも。


「なあ堅田。その緑川に告白してみたら?」

「え? なぜ……ですか?」

「だって堅田だって俺なんかと恋人ごっこするより、ホントに好きな人と本物の恋人になった方が嬉しいよな」

「えっと……あの……それは……」


 かなり抵抗があるみたいだ。

 そりゃ勇気がいることだよな。


「わ、私みたいなダサくて、可愛くない女子には無理ですから、やめておきます」


 そっか……やっぱり自信がないんだな。

 ホントはめちゃくちゃ可愛いんだし、みんなからもそう言われたんだから自信を持てばいいのに。


 でも身体に染みついたコンプレックスは、なかなか抜けないのだ。

 なんとかしてやれないかな……


「そうだ堅田。お洒落したらどう? 素材はすごくいいんだからさ」

「私、センスないので無理です。それに素材も大して……」


 センスない?

 いつもウチのカフェに来る私服は清楚な白いワンピース。俺は嫌いじゃない。

 だけど確かにお洒落って感じでもないから、可愛い服装だったらもっと堅田は映えるよな。


「素材は間違いなくいい。俺が保証する」

「ふぇっ……あ、アリガトゴザマス」


 なぜかカタコトになってる。可愛い。

 あとはお洒落か……

 でも俺もセンスないし、どうするか。


 ──あ、そうだ。従姉弟いとこ亜子あこに聞こう。


 大阪に住むかつら 亜子あこ

 俺に『ボケるな、ツッコめ』という金言をくれた女子高生。

 コミュニケーションモンスターでお洒落な彼女なら、きっといいアドバイスをくれるに違いない。


「俺がアドバイスするよ」

「御堂君が……ですか?」


 とんでもなく不安そうな顔された。

 少しショックだけど、わからなくもない。


「いや、親戚にファッションに詳しい人がいるから、その人からアドバイスをもらう」

「なるほど。グッドゥ・アイディーアです」


 なぜそこだけ発音がいいのか。


「あ、そうだ。一人じゃ不安なので、一緒に服を買いに行ってもらえませんか?」

「あ、いや……」

「それがいいです。グッドゥ・アイディーアです」


 堅田一人なら、確かに物おじして、結局買い物に行かないってこともあり得る。

 染みついたコンプレックスを払拭するのに、お洒落は重要なポイントだ。

 女の子と買い物なんて恥ずかしいけど、俺が力になれるならそうしよう。


「よしわかった」

「ありがとうございます! 一緒に買い物行けば、デート体験もできますしね、えへへ」

「あ……そ、そうだね」


 堅田に本物の恋人ができたら、俺との『恋人ごっこのデート体験』なんてしなくてもよくなる。

 だけどそれまでは協力しないとな。それが彼女との約束だし。


 それと正直に言うと、俺自身もデート体験してみたいって思いもある。


「あ、そうだ。堅田の写真を撮らせてもらっていいかな」


 亜子にアドバイスを求めるなら、どんな子なのか写真を送った方が、より適切なアドバイスをもらえる。


「ふぁっ? しゃ、写真でしゅか?」

「うん、いいかな?」

「ヌード写真……ですよね?」


 堅田はヌードモデルにノリノリなのか?

 お尻を突き出して腕を前で寄せる色っぽいポーズ。


「なんでやねん! 違う。服着てる写真だ」


 なんで俺がいきなり女の子にヌードモデルを要求するのか。

 んなわけあるか。


「あ、なるほどですね。御堂君は着衣プレイがお好みでしたか」

「着衣プレイって?」

「それは服を着たまま、×◎※$(ピーッ自主規制)することです。その方が興奮する男性もいらっしゃるとか」

「ぶふぁっ……」


 思わず吹いた。


「か、堅田。その知識は……?」

「もちろん小説で学びました」


 基礎編を学ぶ前に応用編を学ぶのはよくないぞ。

 やはり何ごとも基礎からだ。


「あのさ、写真を撮りたいのは、アドバイスをもらう親戚に見せるためだよ。その方がより良いアドバイスをもらえるはずだから」

「あ……そうなのですね。私てっきり御堂君が、秘蔵版として私の写真が欲しいのだと思いました」

「いや、仮に写真が欲しいとしても、いきなりヌード写真を撮らせてくれなんて言わないしっ!」

「写真……欲しいのですか?」


 ──うん、欲しい。


 いや、思わず心の中で本音が漏れた。

 でもそんなことを言ったら変態だと思われる。

 文芸部に変態は堅田一人でいい。


「あ、いや、そうじゃなくて、『仮に』っていったよな。とにかく行き先と待ち合わせ場所を決めようよ」


 俺が冷静に対応すると、堅田は少し寂しそうな顔をした。

 スマン。だけどそうでもしなきゃ、いつまで経っても話が進まない。


 こうして次の日曜日の午前中に、ターミナル駅前にあるショッピングモールで待ち合わせする約束をした。

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