世界冒険者騎士養成学校〜入学式〜
俺、アイリス、カトレアの三人は無事に入学試験を突破した。
ついでに言うと、リンドウ、ボタン、ウメも合格していた。
俺達新入生は、入学式が始まるため、会場のある建物で、椅子に座って待っている。
「大変長らくお待たせ致しました。これより本年度の世界冒険者騎士養成学校の入学式を開始します。始めに、デルフィニウム学校長挨拶。」
……異世界でも、こういうのは同じ様に進行するのか。
……長い話とか眠くなるんだよね。
俺って、中学も高校も入学式とか寝ちゃってたし。
俺が考え事をしている最中に、学校長が前に出て来た。
……学校長?
……学校長って言うからには、お爺ちゃんを想像していたが、前に出て来たのは、20歳くらいのスレンダーな女性で、瞳と髪は白銀に輝いており、髪はポニーテールにしている、めっちゃ綺麗な人だった。
「新入学生諸君、この学び舎で、多くを学び、多くの仲間を作り、大きく成長し、羽ばたいてもらいたい。……以上!」
……短っ!?
でも、なんて生徒思いの学校長なんだ!
だらだら話されてたら寝る人ばっかりだよね。
周りを見回すと男子生徒は、学校長に見惚れている者が大半だった。
そして、俺は気づいてしまった。
……アイリスとカトレアが、恐ろしい笑みを浮かべて俺を見ていたのを。
「続きまして、在校生代表ダリア生徒会長挨拶。」
小柄だが大きい双丘を持っていて、ピンクと白のボブカットの童顔な女性が前に出て来た。
この学校は、なんてハイレベルなんだ!
……何のレベルかって?……聞くのは無しだよ?
「はっ!? 殺気?」
俺は背筋に寒気がして、アイリスとカトレアへと目を向けると、見ただけで相手が殺せそうな程冷たい瞳をしていた。
「新入生の皆さん。私は生徒会長のダリアです。学校では、規律をしっかり守って、皆んなで仲良くしましょうね。先生や先輩が優しく指導してくれますので、頑張ってね!」
これまた、見事な短さで新入生を寝かせませんね。
日本でも見習ってもらいたいよ。
周りの男子生徒の視線の多くが、ダリアの双丘に吸い込まれていた。
「続きまして、新入生代表挨拶。新入生代表サクラさんお願いします。」
……今なんて?
「サクラさーーん。居ますか? Cの200番で受験した方ーー!」
居ますけど……聞いてませんよ? 同じ名前の人かと思いたかったが、受験番号は俺のものだった。
何故!?
渋々俺は、みんなの前に出て、司会の人の所へ向かった。
「すいません。挨拶なんて聞いてないんですけど?」
俺の言葉に、司会の人は首を傾げていた。
「スイバさんが、今年の断トツ1位だーー!って言ってましたよ。チャチャっと挨拶しちゃって下さい。」
……スイバさんが仕組んだのか。
人前で喋るタイプじゃないんだけどな。
「新入生代表の挨拶を急きょするように言われた、サクラです。……俺は、目の前で両親を魔人に殺されました。俺は魔人を倒すためにここに来た! ……みんなも話ぐらいは聞いたことがあると思うが、魔人達は魔神を復活させようとしている。これは、俺が魔人から聞いたことだ! 魔神が復活したら、この世界は終わる。俺はこの世界を守りたい! ……一人一人の力は魔人に及ばないかも知れない! ……それでも仲間と共に戦えば勝てるはずだ! ここで互いに高め合い、魔人と戦う力や仲間を見つけたいと思う。俺は、一緒に戦ってくれる強き者を求めている。俺と一緒にここで成長し、魔人を倒そう!」
俺の言葉に、殆どの人が口を開けて固まっていた。
しかし、俺の言葉にアイリス、カトレア、リンドウ、ボタン、ウメ、デルフィニウム学校長、ダリア生徒会長、他にも多くの人が拍手を送ってくれた。
「これで、本年度の入学式を閉式致します。」
司会の言葉で入学式が終わり、次はクラス発表の時間となった。
クラス発表って、何歳になってもドキドキするね。
デルフィニウム→3月23日、4月19日の誕生花
花言葉は、清明
ダリア→6月5日の誕生花
花言葉は、華麗、優雅、気品




