カトレア救出〜変身がバレる!?〜
俺は洞窟内を進んで行った。
暫く歩くと道が左右に分かれていた。
「……どっちに進むべきか。」
俺は悩んだ末に、左の道に進んだ。
「……ぁ〜スッキリしたぜ。やっぱ戦闘の後は女だな。」
「ちげぇねぇ!」
男達がゲラゲラと会話している声が聞こえて来た。
俺は、姿を見せないように隠れながら、男達のいる方を確認した。
(……山賊が1、2、3......全部で10人。奥の牢屋に女性が数名か。……こっちはここで行き止まりみたいだから、カトレアは別の道か?)
さっき倒した奴らと同じ強さなら、俺一人でも勝てそうだけど……女性を人質に取られると身動きが取れないな。
……右の道も確認しに行くか、俺はそう思って後ろを振り返った。
「……お前……。」
俺の後ろにはオオバコとフードを被った者が立っていた。
……不味い。
挟み撃ちにされた!?
どうする?
オオバコは恐らく直ぐに倒せるが、もう一人は未知数だ。
「……。」
俺はあれこれ考えてしまい、場を沈黙が支配した。
「……死んだフリでもしてたのかよ。帰りが遅いから、他の奴らはお楽しみを終えちまったぞ。」
オオバコは笑いながら俺れ肩を叩いて行った。
フードの人物は、無言で横を通り抜けた。
「……バレなかったか?」
俺は口の中の唾を飲み込み、喉を鳴らした。
俺は、オオバコらの背中を見送り、音を立てないようにして反転した。
「……上手く誤魔化せて良かった。」
何故オオバコに俺とバレなかったかというと、俺は変身の魔法と隠蔽スキルで、洞窟を案内させた盗賊に変身していたのだ。
「今の内に……。」
俺は急いで右側の道を確認するために駆け出した。
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「ま、魔法が使えない?」
私は、魔法で手枷や鎖を外そうと思い、魔力を練ろうとしたが魔力が上手く練れず、魔法が発動しなかった。
「なんで? 魔力が少しは回復してるはずなのに?」
その後も何度挑戦しても魔法は発動しなかった。
「……魔力を封じ込められてるの?」
私は一つの結論に達した。
「せめて鎖が切れれば……。」
私の手枷の真ん中部分から鎖が伸びて固定されている。
「……やらないよりマシね。」
私は手枷の部分で鎖を擦った。
「……痛!」
上手く擦れず、手枷がズレて手首に血が滲んできた。
「負けるもんか……。」
その後も、手首が傷付くのも顧みず、黙々と擦り続けた。
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「……おぃ。さっきのは誰だ?」
フードの人物がオオバコに声を掛けた。
「コザって奴です。さっきの襲撃の時に、逃げてくるのが遅れたんでしょう。」
オオバコは何でも無いように答えた。
「……コザって奴は、暗殺要員か?」
フードの人物がオオバコに質問した。
「いえいえ。ここにはそんな暗殺なんて器用なこと出来る奴いませんよ。」
オオバコは笑いながら答えた。
「……立ち去り際、先程の者は明らかに身のこなしが良かったが?」
フードの人物が疑問に感じたことを伝えた。
「えっ!?」
オオバコは冷や汗を流して言葉に詰まった。
「確認に行くぞ。」
「は、はい! おい!野郎ども! 侵入者だ!」
オオバコは男達に声を掛け、来た道を急いで戻った。
「……何者か知らんが、楽しめそうだな。」
フードの人物はそう言うと、ゆっくりサクラの方へ歩き出した。
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俺は先程の分かれ道まで戻り、別方向に入った。
(カトレア。無事でいてくれ。)
暫く走ると、開けた場所に出た。
「カトレア!」
開けた場所に出ると、奥の方に手枷と鎖で繋がれたカトレアを見つけた。
「えっ!? 誰!?」
俺はカトレアに駆け寄った。
「俺だよ。サクラだ。」
俺はカトレアの手枷と繋がっている鎖を見た。
「さ、サクラなの!? でも姿が?」
カトレアは、理解出来ないのかあたふたしていた。
「取り敢えず手枷を壊そう。“ブロッサム”」
俺は草薙剣を取り出し、カトレアの手枷を破壊した。
「ありがとうサクラ。助けに来てくれて。」
カトレアは微笑みながらお礼を言ってきた。
「ここから早く脱出しよう。……カトレア、その手首!?」
カトレアの手首は手枷を壊そうと何度も擦れたため、血だらけになっていた。
「あぁ〜これね。……諦めたく無かったから足掻いてたのよ。」
カトレアが苦笑いしながら答えた。
「すぐ治すよ。“回復”」
俺は回復魔法を使用して、カトレアの手首を元に戻した。
「あ、ありがとう。」
カトレアは手首を触って感触を確かめた。
「よし。それじゃ出よう。もう時期アイリスが応援を連れてここに来てくれる。」
俺はそう言って、カトレアに手を差し伸べて立たせた。
「ここから逃げられると思ってんのか?」
振り返ると、オオバコと山賊10名が出入口を塞いでいたのだった。
次回はバトルが始まります!




