護衛依頼の落とし穴
護衛依頼の集合場所である北門に辿り着くと、既に護衛対象の商人の方が居た。
「こんにちは! 護衛依頼を受けた者です。」
サクラは商人に声を掛けて、順番に軽い挨拶を交わした。
「サクラ、来たよ。」
アイリスの母に横を見ると、オオバコが歩み寄って来た。
「お〜久しぶりじゃね〜か? 今日はよろしくな。」
オオバコが握手を求めて来たので、俺は手を差し出して握手をした。
ミシミシミシミシ
この野郎反省してないな。
めっちゃ力入れて来やがった。
手の大きさが違うんだよ!
「よろしく!」
何事も無かったかのように答えてやった。
「じゃぁ出発しようか!」
商人の掛け声で俺達はシルビア村から出発した。
途中で、風狼というDランクの魔物2匹の襲撃が、一度遭っただけで順調な移動だった。
護衛状況は、俺が先頭、アイリスが右、カトレアが左、オオバコが後方に位置して商人の場所を囲って進んでいる。
ヒュン!
グチャ!
「なに!?」
カトレアが驚き声を上げた。
俺も音が聞こえ振り返ると、商人が馬車から落ちるのを目撃した……頭には矢が刺さっていた。
「アイリス!」
アイリスは俺の声に反応し、直ぐに商人に近づいた。
「ダメ。即死よ。」
アイリスは、首を横に振ってそう言った。
……何処から? 矢の先端は、俺の方を向いていた。
……まさか!?
「お前らは、そう簡単には殺ろさねぇよ。」
オオバコの横には弓を構えた小汚い男と槍を持った小汚い男が居た。
「なんてことを! なぜ殺した!」
俺はオオバコに向かって叫んだ。
「用済みだからに決まってんだろ。これで積荷は俺たちのもんだ。……お前らは奴隷として売り捌いてやるよ。」
「「ぎゃーはっはっはっはっ!」」
「ふん。たった3人で私達に勝てるとでも?」
カトレアが薙刀を構えた。
「誰が3人だって?……ああ、お前らのことか。」
俺達を囲むように30人くらいの男達が武器を持って現れた。
「なに!?」
こんなに大勢いやがったのか!?
「大人しく捕まれば痛い目に遭わずに済むぞ。クックックッ。」
ムカつく野郎だ。
あれから全く反省してなかったんだな。
「アイリス、カトレア行けるか!?」
「ええ!」
「もちろん!」
俺達は武器を構えて敵対の意思を示した。
「バカなガキだ。……売り物にするんだ。あまり傷つけるなよ。」
オオバコの指示に従って男達が武器を構えた。
「行くぞ!“雷光形態”」
「“雷鎧”」
アイリスも雷属性を身に纏った。
「“火鎧”」
カトレアも火属性を身に纏った。
「こいつらガキのくせに属性を纏えるだと!?」
男達が狼狽え出した。
「ビビってんじゃねぇ! 所詮はガキだ! 威力も体力も大したことねぇ! かかれぇ!」
オオバコが男達に発破を掛けたため、男達は武器や魔法で襲いかかって来た。
俺達の戦場は、金属音や魔法による破壊音が鳴り響いていた。
俺は、何とか10人目を斬り伏せたところだ。
アイリスもまだ、雷鎧を継続出来ていた。
次にカトレアに目をやると火鎧が解けた瞬間だった。
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「はぁはぁはぁ……」
不味い、魔力がもう……体も動かし辛い。
私は一瞬気を緩めてしまった。
「もらった“雷”」
「きゃーーーー」
私は背後からの雷で意識を失った。
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「カトレア!」
俺はカトレアが雷を食らって直ぐに向かおうとしたが、男達が間に入り邪魔された。
「くそぬ!そこをどけぇ!」
俺は、雷刃を無詠唱で放った。
「「「「“土壁”」」」」
男達4人が一斉に土属性の壁を作り出した。
バチィン!
「なっ!?」
俺の雷刃が弾かれた!
ガラガラガラガラ!
俺が次の手を考えている内に土壁が崩れ落ち、男達とカトレアの姿がなくなっていた。




