ギルマスへの報告
サクラ達がEランクのギルドカードを受け取った後のギルドでは、受付嬢のアロニアがギルドマスターの部屋を訪ねていた。
コンコン
「マスター。アロニアです。」
私は、ギルドマスターの部屋をノックして名乗った。
「どうぞ。」
私のノックにギルドマスターのクフェアが応えた。
「失礼します。」
私は扉を開けて中に入った。
部屋の中には、赤のロングヘヤーに紫の瞳をしたスレンダーな女性、ギルドマスターのクフェアが椅子に座って、書類に目を通していた。
「何かあったのか?」
「クフェア姉さん! 聞いてよ! 凄い新人の子達がいるのよ!」
私は、ギルドマスターであり、私の姉であるクフェアに詰め寄った。
冒険者や他の人が聞いている可能性のある場所では、話し方に気を遣っているが、二人きりの時は、家と同じ様に砕けた話し方にしている。
「新人? ああ、あの3人の子供のことか?」
クフェアは記憶を辿り、数日前に冒険者登録に来た3人を思い出した。
「そうなんだよ。初日にCランクのオオバコを瞬殺した男の子のパーティーなんだけど。今日は、薬草採取依頼で魔力草の採取に行っていたの!で、さっき帰ってきたんだけど、毒草とか余計なものなしで、魔力草50本だけを持って帰って来たの!」
「ほぉー。それは凄いな。鑑定眼持ちなのかな。」
「多分ね。……でも、それだけじゃないの!なんと、土猪」を3匹も仕留めてきたのよ!」
私は、あの子達が魔物を倒してきてことを報告した。
「何!? 子供がか? しかも三匹だと! ……誰か付き添ってたのか?」
クフェア姉さんが凄い驚いてる。
「誰も付いて行ってないわ。さらに、男の子のサクラ君って子がいるんだけど、あれは将来絶対かっこよくなると私は見たね! サクラ君は、ネペンテスを持っててね! なんと、サクラ君はそのネペンテスから魔物三匹を取り出したのよ!」
私は、サクラ君の将来有望性をクフェア姉さんに伝えた。
だって、サクラ君絶対かっこよくなるもん。
……私が後10歳若かったらな〜。
「……アロニア。そんなネペンテスが有る訳無いだろ。夢でも見たんじゃないか?」
クフェア姉さんが私のことを、残念な人を見る目で見て来た。
「姉さん!? 何よその目は! 本当のことだもん! 朝だと思うなら解体中の土猪を見てきなよ!」
私は、クフェア姉さんの態度にプンスカ怒ってやった。
「……アロニアがそんなに怒るってことは本当なんだね。……そんなネペンテスを持っているなんて、何者なんだ?」
クフェア姉さんは、サクラ君に興味を持ったみたいだ。
「詳しくは知らないけど、サクラ君のパーティーの一人は、キャトレイ辺境伯の娘さんのカトレアちゃんだから、キャトレイ辺境伯なら何か知ってるんじゃないかな?」
まだギルドに来て数日だから、プライベートに深入りしてないのよね。
……少しずつサクラ君を攻略して上げるわ。
私は頭の中で、サクラ君ってをどう手玉に取ろうか考えて、舌舐めずりをした。
「アロニアがその顔をする時は、良くないこと企んでるな。……子供でありながらそれだけの実力があるんだ、訳ありなんだろう。あまり詮索してやるなよ。」
クフェア姉さんは鋭い目付きで私を見ていた。
「は〜い。善処しま〜す! お姉さんは悩める子供の味方で〜す。」
私は敬礼して、クフェア姉さんの前から足早に立ち去った。
長居すると、説教が始まっちゃうからね。
早く明日になって、サクラ君来ないかなぁ〜。
「全くあの子は。……それにしても気になるな。」
クフェアは、サクラ達の行動に目を光らせようと決めたのだった。
クフェア→7月11日他数日の誕生花
花言葉は、家庭愛、見事、立派などです。




