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初クエスト

 俺、アイリス、カトレアの3人は、宿の手伝いをする依頼を受けて、シルビア村の北側に位置する宿屋に来ていた。


「ここがそうなのか?」

 俺は、建物を見上げてそう言った。


 宿屋の建物は3階建てでそこそこの広さがあった。


「ここで合ってるわ。」

 カトレアの返事を聞いて、俺は宿屋の扉を開けた。


「……あれ?」

「……誰もいないね。」

「……そうね。」

 俺、アイリス、カトレアの順に声を零した。


 しばらく待っても、誰も来る気配が無かったので、大声で呼んでみることにした。


「すいませーん! ギルドの依頼で手伝いに来たんですけど〜!」


「おぉ〜来てくれた!? 神様はうちの宿を見捨てていなかった!」

 奥の方から男の声がして、しばらくすると40歳くらいのおじさんが出て来た。


「……あれ? ギルドの依頼を受けてくれた人は何処だ? 君達見なかったかい?」

 宿屋の店主は、サクラ達が依頼を受けた冒険者と気付かずに声を掛けた。


「……俺達が依頼を受けた冒険者です。」

 俺は、まぁ子供だから分からなくても仕方ないのかと思い、店主に答えた。


「えっ!? 君達が? ……嘘はいけないよ。よく見たら一緒にいるのは、キャトレイ様のとこの娘さんじゃないか。」

 店主は、サクラ達の言葉を信じなかった。


 俺は、無言でギルドカードを提示した。


「ん!? 冒険者なの? 本当に依頼を受けて来たんだね。……まぁ子供でもいないよりはいいかな。」

 店主は、渋々納得してサクラ達に仕事を与えた。


 アイリスとカトレアは、部屋の清掃と調理の手伝い。

 俺は、宿の受付となった。


 しばらくして、俺の所に店主が現れた。


「アイリスちゃんとカトレアちゃんは、仕事が早いし丁寧で助かるよ。バイトの子が体調不良で、人手が足りなくて困ってたんだよ。」

 店主はアイリスとカトレアの仕事に満足そうな顔をしていた。


 俺は宿屋の受付なので、外出や戻られた客に鍵を渡すなどしていただけで、大した仕事は無かった。


「人手が足りないから受付も不在が多くてね。サクラくんが居てくれてよかったよ。」

 店主は、俺に気遣いそんなことを言ってくれた。


「そろそろお昼休憩にしようか。頑張ってくれてるから、報酬とは別でご飯も出すよ!」

 店主の好意に甘えて俺達は店主の作ってくれた食事を、宿屋の店主であるガウラさんと奥さんのルナリアさん、宿屋の娘のアヤメちゃん3歳と一緒に食べた。


 午後の仕事は、アヤメちゃんが俺の横に座っていたので、神様からの知識で得た、前の世界の絵本の話をしてあげたらもの凄い気に入ってくれた。


 俺の本来の記憶では、絵本の話は完結出来なかっただろう。

 だいたい、絵本の話を全て言える人なんてほとんど居ないはずだ。

 ……神様からの知識がこんな所で役に立つとは思わなかったが。


 その後も問題は起きず、宿屋の仕事を終えた。


「いやぁ〜最初はどうなることかと思ったけど、アイリスちゃん達が来てくれて本当に良かったよ!」

 ガウラさんがホクホク顔でお礼を言ってきた。


「私もこの仕事楽しかったですよ。」

「私も楽しかったわ。」

「俺も。」

 俺達は、この依頼を受けて良かったと思っていた。


「依頼達成報酬は、ギルドから受け取ってくれ。それと、遅くなっちまったが夕飯も食ってくか?」

 俺達は、ガウラさんの厚意に甘えて、夕飯もご馳走になることにした。


 俺達は、ガウラさん達と夕飯を食べ始めた。


「ん〜〜〜。」

 ガウラは、食事しながら何か悩んでいた。


「どうしたんですか?」

 俺は、ガウラさんに唸っている理由を聞いてみた。


「いや〜。お客さんに出す新メニューを考えている所でな。安くて、早くて、美味いもんが作れないかと思ってよ。……そう簡単には思いつかないか。」

 ガウラは。苦笑いしながらサクラの質問に答えた。


「成る程。……安くて、早くて、美味いもんかぁ〜。たまごかけご飯、牛丼、サンドウィッチとかじゃダメなんですか?」

 俺は、前の世界でよく食べていたものを言ってみた。

 俺的には、たまごかけご飯は最高だ! いや、最強だ! TKG万歳!


「んんん!? 何だいそのたまご何チャラとか、牛丼? サンド何とかってのは?」

 ガウラは、俺の言ったことに食いついてきた。


 俺は、ガウラに口頭とイラストで説明したところ、作ってみると言い出し、夕飯そっちのけで作り始めた。

因みに、調味料の分量などは神様から貰った知識頼りだ。

本当に神様から良いものを貰った!


「……で、出来た! 食べてみてくれ!」

 ガウラは、俺が言った3品を完成させた。


 俺は、たまごかけご飯を一口食べた。

 ……ガッガッガッガッ!

「たまごかけご飯めっちゃウメェ〜! 懐かしい味だ!」

 牛丼とサンドウィッチも美味かった。


 俺が余りに美味そうに食べていた為、ガウラは、みんなの分も作り、みんなで食べた。


 みんなも美味さに驚いていた。


 特に一番人気は、たまごかけご飯だった。


 さすが、たまごかけご飯! 異世界でもその力は最強だ!


 こうして俺達の初クエストは、たまごかけご飯で完結した。


その後、この宿屋の朝食が美味いと話題になり、たまごかけご飯が人気メニューになったのだった。

たまごかけご飯好きなんです。

読んでくださった方も食べたくなりましたか?

たまごかけご飯!



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