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カトレアの決意!

 サクラとアイリスが決意を固めた翌日、2人はキャトレイ辺境伯の下を訪ねていた。


「何か用かな?」


「今後のことを昨日2人で話し合って決めました。俺達は国に帰りません。魔人を倒せるくらい強くなって、魔神の復活を食い止めます!」


「…なにを馬鹿なことを! 子供が勝てる相手ではない! 魔人の恐ろしさを知らないからそんなことが言えるんだ!」

 キャトレイは魔人と対峙したことは無いが、魔人による被害から魔人の恐ろしさを少しは分かっているつもりだ。

 そんなキャトレイだからこそ、サクラ達を引き止める言葉を返した。


「……魔人の強さは知っています。魔人アネモネに挑みましたが、軽くあしらわれて死にかけましたから。」

 サクラは魔人アネモネとの戦いを思い出し、キャトレイに言葉を返した。


「なんだと!? 魔人と戦った!? ……よく生きたいられたものだ。」

 キャトレイはサクラの言葉に驚愕した。


「……生かされたんですよ。大人になった俺と戦いたいと言って。」

 俺は悔しさが込み上げて来たが、同時に俺を生かしたことを後悔させてやるとも思った。


「……信じられんな。魔人にそこまで言わせるとは。」

 キャトレイはサクラの今の年齢で、どうして魔人にそこまで言われたのかが気になった。


「……キャトレイ辺境伯様、いつまでもここに置いて貰う訳には行きませんので、自分達で稼いで生活していこうと考えています。……この村には冒険者ギルドはありますか?」

 強くなることも大事だが、魔人を倒すためにはそれまで生きていなければならない。

 冒険者になり、稼ぎながら強くなるのが俺達の考えだ。

 ここにギルドがなければ、別の場所に移動するしか無いな。


「ギルドならこの村にもあるぞ。……ただ子供で登録出来るかどうか。冒険者になっても宿代すら稼ぐのは難しいぞ。」

 俺はギルドがあると聞いて安心した。

 後の問題は、依頼がある程度あることや、魔物が近場にいること。

 ……子供の俺達が冒険者になれるかどうかだ。


「分かりました。とりあえずギルドへ行ってみます。」

 サクラ達はキャトレイの部屋から立ち去った。



 サクラ達がキャトレイの部屋に訪ねる少し前、キャトレイの部屋にサクラ達が入るのをカトレアは見ていた。


「盗み聞きじゃなくて、これはたまたま聞こえたのよ。」

 カトレアは自分にそう言い聞かせ、キャトレイの部屋の扉に耳を当てた。


「魔人と戦った!? 冒険者になる!?」

 会話を聞いていて、カトレアは興奮していた。


 私は父上の話を聞いて、魔人が恐ろしい存在と知った。

 簡単に国を滅ぼす力を持った魔人。

 いつこの国に来るかもしれない恐怖。

 私は魔人に襲われても死にたく無い。

 誰かに守ってもらいたいと考える人も居ると思う。

 でも、私は魔人の恐怖に負けたくなかった。

 私は魔人を倒す力が欲しいと思っていた。



 しばらくして、2人が出てくると分かり、カトレアは急いで隠れた。


 そして、キャトレイ邸宅から出て行く2人の後を追った。


「……アイリス姉さん。やっちゃたよ!……ギルドの場所聞いてなかった!」

 俺はギルドの場所を聞いておけばよかったと項垂れていた。


「私もうっかりしてた。……誰かに聞いてみようか?」

 アイリスも苦笑いして周りを見回した。


「何処かに行きたいの?」

 カトレアは2人の行き先を知っていたが、知らないフリをして2人に近づいた。


「カトレア!? 丁度いいところに! 冒険者ギルドを探してるんだけど、場所が分からなくて困ってたんだ。」

 俺はカトレアの両肩に手を置いてそう言った。


「え、ええ。分かるわよ。……付いて来て。」

 サクラの行動にカトレアは頬を赤くして答え、2人の前を歩き出しギルドへ向かった。


「ここがギルドよ。」

 カトレアが案内により、サクラ達は無事にギルドへ辿り着けた。


「助かったよカトレア。ありがとな。」

「ありがとうございましたカトレアちゃん。」

 俺とアイリスはカトレアにお礼を言って、ギルドへ入ろうとした。


「ち、ちょっと待って! 私も行くわ!」

 2人の背中に向かって、カトレアはそう叫んだ。


「「えっ!?」」

 俺とアイリスは、驚いて振り返りカトレアを見た。


「俺とアイリスは、冒険者登録してもらうんだよ? カトレアは見学したいの?」

 俺はカトレアにここへ来た目的を告げ、カトレアが見学したいのかと思いそう言った。


「違うわよ。私も登録してもらいたいの!」

 カトレアはここへ来た目的を答えた。


「……何で? 辺境伯令嬢なら冒険者になる必要ないんじゃないの?」

 俺は、何故カトレアが冒険者になりたいか分からず疑問をぶつけた。


「……強くなりたいの。」

 カトレアは答えた。


「……何のために?」

 俺は自分で言うのも何だが、何故カトレアが強くなりたいのか気になり質問した。


「私は魔人に襲われても返り討ちに出来るぐらい強くなりたいの!」

 カトレアはサクラの質問に答えた。


「……別にカトレアが戦わなくても、誰かが倒してくれるかも知れないよ。」

 俺はカトレアにそう言った。


「そんなの当てにならないじゃない! 誰も勝てる人が居なかったら死んじゃうんだよ! だったら私自身が強くなって魔人を倒す!私はメロヴィング王国が魔人に襲われた話を聞いて3歳から魔法の練習も始めたわ。」

 カトレアは強い意志の篭った目でサクラを見た。


「その歳でそこまで考えられるなんて、カトレアは凄いな。」

 俺は感心してカトレアの頭を撫でた。


「〜!? サクラだって同い年でしょ!」

 カトレアは頭を撫でられて顔を赤くし、サクラの手を払いのけて言い返した。


「じゃ〜一緒に行こうか。」

 俺はそう言ってギルドの扉を開けた。


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