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キャトレイ辺境伯領〜シルビア村到着〜

 ここは倭国から遠く離れた国、国名をグラナダ王国という。


「グラン国王に申し上げます。数日前、ここより南東にある倭国が魔人及び竜5匹の襲撃を受け、王都は崩壊。死者は数万に達しており、国王及び王妃の死亡が確認されています。」

 倭国の情報を掴んだ大臣が王の間にて報告を行った。


「なんだと!?」

 グラン国王はその報告に驚愕した。

 王の間にて控えていた他の大臣なども騒いでいた。


「数年前にはメロヴィング王国、そして今回は倭国が……。」

 グラン国王は、いつ自国が魔人の脅威に晒されるのか気が気でなかった。




 グラン国王にて、倭国滅亡の報告を聞いたキャトレイ辺境伯は、自分の住まいに帰宅した。


 キャトレイ辺境伯の治めるキャトレイ辺境伯領は広大な土地を有しているが、山や森、川を隔てて他国と面しており都市と呼べるものは無く、辺境伯領内には村が10村しかない。

 そんなキャトレイ辺境伯は、一番北側にある森に面した村の1つであるシルビア村に居を構えていた。

「メロヴィング王国に次いで倭国も魔人による襲撃を受け、多くの者が亡くなったそうだ。」

 白髪に黄色の瞳をしたキャトレイ辺境伯は、妻のオルキデアと娘のカトレアに王の間で聞いた話を伝えた。


「あなた……この国は大丈夫でしょうか?」

 紫色のロングヘアーに赤色の瞳をした30歳くらいの女性オルキデアは不安顔でキャトレイを見た。


「父上。魔人は何か目的でもあるのでしょうか?」

 紫色に白色が混じったロングヘアーに赤色の瞳をした6歳の可愛らしいというより、大人びた女の子カトレアがキャトレイに質問した。


「……分からない。何か目的でもあるんだろうか。」

 キャトレイはカトレアの質問を受け、魔人の目的について考えるも、全く検討も付かなかった。




 一方その頃、森を彷徨うサクラとアイリスは道無き道を突き進んでいた。


 俺は森を彷徨っていながら考え事をしていた。


 今まで俺は、この世界に転生されたことを心の中で小説に出てくる主人公のように自分を置き換えていた。


 漠然と強くなりたいと思ったのも、そんな気持ちが心の中にあったからだろう。


 俺が間違いだった。


 この世界で俺は生きている。


 小説のようにトントン拍子に、強くなって敵を倒せるなんてことなかった。


 師匠に修行を付けてもらっていたが、いつも甘えがあった。


 このままじゃいけない。


 俺は()()()()


 今までみたいな漠然とした気持ちじゃなく、俺の意思で。


 サクラは自分の気持ちが整理出来たのか、力強い目で前を見据えていた。


 そんな決意を新たにしたサクラは、森を抜けてようやく木の柵に覆われた村を見つけることが出来た。


「アイリス姉さん。人が住んでそうだよ!」

 サクラはアイリスに振り向いた。


「やっと休めるね。……サクラ。」

 アイリスはぎこちなくもサクラの名を言った。


「アイリス姉さんもっと自然に言ってくれないと違和感しかないよ。」

 俺はアイリスに駄目出しした。


「……頑張ります。」

 アイリスは苦笑いしながら答えた。


「じゃあ、予定通り俺は変身で髪と瞳の色をアイリス姉さんに合わせるね。」

 サクラはそう言うとアイリスと同じ金髪に黄色の瞳に変身した。


「どうかな?」

「うん。バッチリ!」


 サクラ達は、自分たちの現在地が分からないため、サクラの桜色の頭髪では身分がバレることを考えアイリスと姉弟を装うことに決めたのだ。


「問題無く中に入れてもらえるといいんだけど。」

 サクラ達は村の入り口を探した。


 サクラ達は、しばらく外周を歩くと鎧に身を包んだ門番と思われる人を発見したため近づいた。


「君達見ない顔だね? 俺はここの門番だから出入りは確認してるけど君達は他所から来たのかな?」

 サクラ達を警戒しながら門番は尋ねてきた。


「ここが何処だか分かりません。道に迷ってしまって、森をずっと彷徨っていました。お聞きしたいのですがここは何処でしょうか?」

 アイリスは丁寧に答えた。


「……森をずっと?子供の足で行ける距離に村は無い筈だが? 何処かの村の子かい?」

 門番は警戒を強めながら尋ねてきた。


 サクラとアイリスはお互いを見合い、どう答えるべきか悩んでいた。


「どうかしたのか?」

 門番とサクラ達がやり取りしている所へ、キャトレイ辺境伯が現れた。


「キャトレイ様!? どうなさいましたか?」

 門番は慌てたように敬礼した。


「なに、辺境伯として村の門の様子を見に来ただけだよ。そしたら、何やら見ない子供がいたから声を掛けただけだよ。」

 キャトレイはサクラ達に目を向けた。


「何やら事情があるのかな?」

 そう言うなりキャトレイの黄色の目が光を放った。


「「!?」」

 俺とアイリスは身構えた。

 なんだ? スキル眼? 属性眼? それとも他のスキルが?

 俺は一瞬で色々考えたが答えは出なかった。


「……ばかな!?」

 キャトレイは驚愕した。

 キャトレイが使用したスキルは観察眼であった。

 観察眼では、そのものの本来の姿が見えたり物の素材や魔法の構成などを視ることが出来る。

 キャトレイは観察眼により、サクラの髪が桜色だと分かり驚いたのだ。


「……何故君が生きている!」

 キャトレイはサクラを見てそう言った。


「……何故って!?」

 俺はキャトレイが何を言っているのか最初理解出来なかったが、キャトレイの目が光、何かしらの眼のスキルを使用して俺の素性がバレたのだと思い至った。


「……。」

 この人に素性が誰たのか!? 逃げるか?

 サクラはこの場をどうするか考えていた。


「ペッサム少し外してくれないか。」

 キャトレイは門番をしていたペッサムに離れるよう告げた。


「分かりました。」

 ペッサムはキャトレイに言われた通り、その場から離れた。


「……あなたは倭国の王族の方かな?」

 キャトレイはサクラに目を向けて質問した。


「……どうでしょうか?何故そう思われたのですか?」

 俺は質問を質問で返した。


「私の観察眼であなたを観させてもらった。あなたの髪は桜色。その髪色は倭国の王族のみだ。……数日前に倭国は魔人の襲撃を受け、国王及び王妃は亡くなっているのが確認されたと聞いている。」

 キャトレイはサクラを倭国の王族と判断した経緯を話した。


「……成る程。やはりスキルでバレてしまいましたか。……俺をどうするつもりですか?」

 ここが何処だかまだ分からないが、相手の出方次第だな。


「何かされるのを心配しているなら何もしないよ。……ただ倭国から遠く離れた、このグラナダ王国キャトレイ辺境伯領のシルビア村に来た経緯は聞きたい。私の家まで来てもらえるかな?」

 キャトレイの言葉にサクラとアイリスは頷いた。


 こうして、サクラとアイリスは倭国から遠く離れたグラナダ王国にあるシルビア村に到着したのだった。


グラナダ王国(旧コロンビア)

カトレア(花)の発見者→キャトレイ


カトレアはコロンビアの国花です。

カトレア→10月14日誕生花

花言葉は、魔力と魅惑的です。



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