武闘会参加〜第1ブロック第2バトル〜
「ちらほらと強そうなのがいるなぁ〜。」
俺は戦っている他の選手を観察していた。
「見てたぞ。」
声の方に視線を向けると俺の方に歩いてくる大剣を携えた白髪の大男がいた。
「……何をですか?」
俺は大男の方に体を向けた。
「お前がアリウムを倒すところだ。……奴は去年運良く一回戦を突破しただけの男だが、お前の動きはかなりのものだ。俺はアベリア。手合わせ願おう。」
アベリアと名乗る大男は、剣を構えた。
「……さっきの奴とはレベルが違うね。」
サクラも半身になり剣を構えた。
アベリアはサクラに駆け寄り大剣を上段から振り下ろした。
「くっ!」
サクラは、先程の様に横に回避するつもりだったが、アベリアの振り下ろした大剣が急に加速したため、回避を諦めて片手剣に左手も添えて何とか受け止めた。
「ほぅ。これを防ぐか。」
アベリアはバックステップでサクラから距離を取った。
「……あんたの大剣は、見た目より軽いのか? ……いや、僅かに風の魔力を感じた。……大剣に風を纏って加速させたのか?」
俺は自身の推測をアベリアに話した。
「……初見で見抜くとはやるじゃないか。」
アベリアは笑いながら再び大剣を構えた。
サクラも剣を構えた。
お互いに相手に詰め寄り、数合打ち合いが繰り広げられた。
「やるじゃないか。」
「あんたもな!」
お互いに剣を打ち付け合い、共に相手と距離を取った。
「これならどうだ!“風刃」
サクラは風魔法を片手剣に付与して、風の刃を飛ばした。
「!?」
アベリアは慌てた様子で大剣で風の刃を防いだ。
「こんなもの喰らうか!」
アベリアが防いだ直後に、サクラはアベリアに接近していた。
「本命はこっちだ!“突風”」」
サクラはアベリアに触れて、風魔法を発動した。
「がはぁっ!」
アベリアの巨体がサクラの風魔法により場外に落とされた。
「ふぅ〜。場外まで飛ばせて良かったよ。」
俺は風魔法にかなり魔力を込めたので一息ついた。
「風の刃はおとりだったのか。大したもんだ。」
アベリアは場外からそう言って、豪快に笑っていた。
第1ブロック会場、残り選手15名。




