武闘会参加〜開会式〜
サクラは会場に入り、開会式に参加していた。
「これより第10回倭国武闘会の開催に先立ちまして、倭国国王様より挨拶があります。」
司会の男性が、マイクを持って喋っていた。
師匠からの魔法講座で習ったが、この世界の科学はあまり発達しておらず、魔法で補っている。
先程司会が持っていたマイクには、音属性の拡声魔法が付与されているそうだ。
「倭国国王のテンノウ・リュウオウだ。今年も武闘会が無事に開催出来たのは、皆のおかげである。この武闘会の開催の主旨は単純だ。誰が一番強いかを決める。日頃の訓練の成果を存分に発揮して戦ってほしい。」
父さんの挨拶に拍手や歓声、雄叫びが鳴り響いた。
「ありがとうございます。続きまして、審判長からルールの説明です。」
審判長からは受付嬢から聞いた武闘会の仕組みの他に、勝敗についての話があり、
1.場外に落ちる
2.気絶する
3.降参する
4.相手を殺す
5.審判が試合続行不可の判断
以上5つで勝敗を決めるそうだ。
その他、武闘会の試合以外での不正も発覚した場合は、参加出来なくなるそうだ。
因みに4の相手を殺した場合は捕まるらしい。
その後はお偉いさん達の挨拶が行われ開会式は終わった。
「第1ブロックの選手は控え室でお待ちください。後程係りの者が呼びに行きます。」
俺は案内に従って控え室に向かった。
控え室はそれなりの広さがあったので、各々ウォーミングアップを開始したり、仲間なのか話をしているグループも見られた。
「……緊張して来たな。……俺もアップしよう。」
俺は控え室の隅でストレッチを開始した。
「おいおい? ここは子供が来る場所じゃぁねぇぞ! トイレと間違ってんじゃねぇか? あぁ!」
スキンヘッドのおっさんがガンを飛ばしながら文句を言ってきた、
「……ちゃんと受付しましたよ。」
俺は相手の方を向いて冷静に答えた。
「んなのと、どうでもいぃんだよ! てめぇ見てぇのがいると武闘会の価値が下がるんだよ!」
周りの人もこちらのトラブルに気が付き始めた。
「……良いんですか? こんな所でトラブルを起こせば参加出来ませんよ。」
「……チッ!」
おっさんは舌打ちして遠くへ歩いて行った。
「……もう少し大人にしとけば良かったな。」
俺は変化を少年風にしたのを少し後悔したが、直ぐに気持ちを切り替えて素振りを始めた。
「間も無く第1ブロックの試合開始時刻となります!選手の方は試合会場へ移動して下さい!」
係りの人の指示に従い、会場への移動を開始した。
「……勝つ!」
俺は気合を入れて会場入りした。




