武闘会参加〜受付〜
今日は待ちに待った武闘会の日だ。
倭国で開催される武闘会は、身分を問わず基本的に誰でも参加可能だそうだ。
流石に3歳の俺が参加すると言ったら断られるだろう。
俺が城の中に居ないのがバレると騒ぎになるかも知れないので、仕方なくシャクヤク師匠の部屋に朝から来ている。
「……王子本当に参加するんですか?」
師匠は呆れた様子で聞いてきた。
「勿論! 師匠の部屋で寝ていることにしておいて下さいよ。じゃないと探されちゃいますから。」
俺のアリバイ作りの為に師匠には犠牲になってもらった。
「……でも、王子は子供ですよ。いくら身分問わず参加と言っても子供は参加出来ませんよ。」
師匠は俺に参加を諦めさせたいようだ。
「ふっふっふっ。これを見てから言ってください。“変身”」
俺の容姿は、黒髪短髪に黒色の瞳の16歳くらいになった。
「なっ!? いつの間に変化の特殊属性を!?」
師匠は目を見開いて驚いていた。
「かなり練習したんですよ。この勾玉ネックレスに変身の魔法付与をしているので、これならバレないですよね?」
俺はニヤつきながら師匠を見た。
「……そこまでして出たかったんですね。」
師匠は溜息を吐いていた。
「とりあえず、そろそろ受付会場に行かないといけないので、師匠は誰かに俺が師匠の部屋で寝ているから起こさないように言っておいて下さいね!」
俺は師匠に念押しした。
「はぁ〜。分かりました。くれぐれも大怪我はしないように。それと武闘会は、武器持ち込みだから、草薙剣を使ったらバレますよ? 換えの武器はありますか?」
師匠の話に俺は衝撃を受けた。
「……武器のことを考えてなかった。」
俺は崩れ落ち、両手を床に付いた。
「……全く、仕方ないですね。少しお小遣いをあげるから受付を済ませたら手頃な武器を買って下さい。武闘会だから会場周辺でも武器屋があると思います。」
俺は涙を流して師匠に感謝した。
「やれやれ。」
俺は師匠からお小遣いを貰い、部屋から出て会場に向かった。
師匠は俺の両親と特別席から観戦するそうだ。
「父さん、母さん、師匠が見てるから恥ずかしい試合は出来ないな。」
俺は師匠と別れて一人、受付に向かった。
「武闘会の受付はこちらで〜す!」
若い女の子が案内をしていた。
「そこの美少年。君も武闘会に参加するのかな?」
俺は声を掛けられたため女の子に近づいた。
「はい。そこの列に並べばいいんですか?」
俺は数人が並んでいる列を指差した。
「そうです。受付では名前を書いて、クジを引いてもらうだけす。」
女の子は笑顔で答えてくれた。
「ありがとう。」
俺も笑顔でお礼を言うと女の子は顔を赤くしていた。
「が、頑張って下さいね! 応援します!」
女の子は俺の手を両手で握ってきた。
「はい。」
俺は女の子と別れて列に並び順番を待った。
「次の方どうぞ。」
受付嬢に呼ばれたので、受付嬢の前に立った。
「こちらの用紙に名前の記入をお願いします。」
俺は用紙に、ヤマトと偽名を書いた。
「……ヤマトさんですね。それではこちらの箱からクジを引いて下さい。」
俺は箱に手を入れてクジを引き、クジを開いた。
「……1。」
クジには、1と書かれていた。
「第1ブロックですね。第1ブロックの試合は、開会式の1時間後に始まります。……武闘会は初めてですか?」
「初めてです。」
「簡単に説明させていただきますね。武闘会は毎年多くの参加者がいるため、一回戦は1ブロック50名で戦い、3名残るまで終わりません。1ブロック毎に3名の者が二回戦に進出出来ます。二回戦からは1対1の試合になります。あと、武器は持ち込みでお願いしています。」
受付嬢は丁寧に説明してくれた。
「分かりました。ご丁寧にありがとうございます。」
俺は受付嬢にお礼を言い武器屋に向かった。




