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剣術修行

 今日は、剣術の師匠であるフリージアが修行に付き合ってくれることになっている。


「やっと剣術を教えてもらえるよ。」

 俺はウキウキしながら訓練場に向かった。


 師匠は既に木刀を片手に持って訓練していた。


 流れるような動きで、まるで踊っているようにすら感じられた。


 俺はしばらく師匠の動きに見惚れていた。


「……来たましたか。」

 師匠は動きを止めて俺に近づいて来た。


「……! 今の何ですか? 流れるような動きでめっちゃ綺麗でした。」

 俺は師匠に詰め寄った。


「……ありがとうございます。サクラ王子の剣は直線的過ぎるので、今俺がやっていた様な動きを取り入れてみては? 王子の今の体では豪剣を教えても効率は良くないですから。」


 師匠に若干の毒を吐かれるもそんなこと御構い無しに俺は目をキラキラとさせた。


「よろしくお願いします!」

 俺は師匠に深くお辞儀した。


 それからはひたすらに動き回った。


 基本的には円を意識して、自然に流れるような動きを行った。


「……はぁはぁはぁ……きゅう、けい!」

 俺は師匠の地獄の修行により、地面に倒れこんで白旗を上げた。


「まだ動きはぎこちないですが、最初の頃よりはマシですね。」


 何てこと言うんだこの鬼師匠は。


「……この鬼。」

 俺はボソッと呟いた。


「……まだ元気ありそうだな?。」

 鬼師匠は鬼の形相で俺を見下ろしていた。


口調変わってますよ!


「ひぃ! 無理! 休憩!」

 俺は地面に寝転がった。


「……全く。少し休憩したらもう一度です。」

 師匠は訓練場から出て行った。


「はぁ〜。この体、疲れるの早いんだよな。早く大きくなりたい。」

 俺は愚痴をこぼしていた。


「……言っても仕方ないし。鬼が来るまで練習するか!」

 俺は立ち上がり、先程行なっていた修行の復習を開始した。


「……他の兵と同じかと思いましたが、あいつらよりやる気がありますね。」


 訓練場の入り口で、水を持ってきたフリージアはサクラが一人で修行しているのをしばらく見守っていた。


 それから再び二人で修行を行い、サクラが動かなくなるところで終わりにした。


「……もう、本当に、動け、ない。」

 俺は大の字で仰向けになった。


「最初はこんなもんですね? お疲れ様です。」


 鬼……師匠はそう言うと俺にタオルを投げて来た。


「ありがとうございます。……師匠は凄く強いですけど、いつから剣を振っているんですか?」

 俺が質問すると師匠は空を見上げた。


「……俺の住んでた村が山賊に襲われたことがありました……その時、俺は一人村から出ていた。俺が村に戻ると村人は全て殺されていた。両親も。奴らに復讐したくて剣を振り始めたのは、今の王子と同じ頃です。」


 俺は師匠の顔が見えなかった。


「……復讐出来たんですか?」

 俺は師匠を見上げて尋ねた。


「いや。山賊の頭がドクダミという者だとは分かったが結局居場所が掴めず。自由のある冒険者として追っていたが、今は軍に入り奴らの情報を集めています。」


「……何で俺にその話を?」


「……昔の俺に見えたから、かな。復讐を諦めた訳じゃないが軍の方が……妻が安心出来るからな。」

 師匠は優しい目で俺を見ていた。


「……じゃぁ俺が大きくなる前に師匠が山賊をやっつけて無かったら、代わりに俺がやっつけてやりますよ!」

 俺はドヤ顔で師匠を見上げた。


「……ふっ。その前に見つけ出します。」

 師匠は笑いながら俺に手を差し出した。


 その後も二人の剣術修行は、フリージアの仕事の合間に度々行われたのだった。

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