誕生
声を出そうとして分かったことだが、俺は
「どうも。天王桜です。」
と挨拶をするつもりでだったが、
「オギャーオギャー!」
となってしまった。
流石に生まれて直ぐだと、言葉を発することは出来ないか。
しばらく俺の前にいる人達の話を聞いていて分かったが、理由は不明だが会話を理解することが出来た。
その結果、この男性は倭国という国の国王様でテンノウ・リュウオウというらしく、俺の父になるようだ。
そして、女性の方は王妃様でテンノウ・キクというらしく、俺の母になるようだ。
……まだ目も殆ど見えないが、優しそうな人でよかった。
王様が、俺を抱き上げて、
「お前の名前はサクラだ。俺の名前が入ってるぞ!」
王様は嬉しそうに言った。
……言葉が出ないとはこのことなのか、何故転生してまで俺の名前は変わらなかったんだろうか?
王妃が王様に向かって、
「本当にサクラにするのね?」
王妃は苦笑いしている。
王様は、
「ずっと名前を考えて、こんなに子供の名前付けが大変だと初めて知ったよ。まぁ男でも女でも俺の名前竜桜の字を入れてやりたくてな。」
と苦笑いしている。
……あれっ?王様の名前は、リュウオウだった筈だけど? なんでサクラなんだろ? 竜に桜でリュウオウなのか? でもそれなら、男ならリュウで、女ならサクラで良かったんじゃないか?
するとその場にいた高齢の女性が、
「王様が《俺の子の名前はサクラと決めた》と既に皆の前で発表しなければ、男の子ならリュウと付けられたのに。」
と呟いた。
……ちょっと待て王様!いや、親父!あんたが先走った性で俺の名前がサクラになったのか!名前付けが大変とか言ってたのに……ヤラカシタな!まぁサクラって名前は気に入ってるし、今までと変わらないから有難いけど。
高齢女性の呟きが聞こえたのか王様は、
「王が一度口にしたことだ。簡単に変えるもんか。それに、サクラの髪色も桜色なんだからいいじゃないか!」
王様は拗ねていた。
王様は頑固なのかな?
これからの人生が楽しみだ!
こうして、俺の第2の人生がスタートした。
……俺って王子じゃん!
だいぶ経ってから知った事だが、倭国では、王様と王妃になると、名前に漢字が与えられるんだそうだ。
日本の国花は、桜と菊だそうです。
名前を漢字にした場合、
主人公サクラ(桜)
国王リュウオウ(竜桜)
王妃キク(菊)
になります。
桜→染井吉野だと3月28日、4月1日です。
種類で違うようですね。
花言葉は、精神美、純潔。
菊→10月1日等の誕生花 色で変わります。
花言葉は、高貴、高尚です。