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サクラ3歳の誕生日

 誘拐事件からしばらく経ち、俺は今日3歳になった。


 身長も誘拐された時よりだいぶ伸びた。


 あれから師匠との修業も欠かさずこなし、魔力量もかなり増えた。


 3歳になったことだし、武器を持っての修業を開始する予定だ。


 今日は、日中の修業はお預けだ。


 俺はおめかしされて、いつもと違って桜の刺繍がされた豪華な感じの衣装を着ている。


 こっちの世界でも七五三みたいなのがあるんだな。


 今日は特別に豪華な食事になるんだとか……。


 俺は一人暮らしの時よりも格段に美味しいごはんをいつも食べさせてもらっているから別にいいんだけど……とは思いつつも美味しいものは大歓迎だ。



 俺は自室から両親の元へ向かった。


 俺の後ろにはアイリスが付いてきている。


 後ろを振り返りアイリスを見ると、出会った頃より少し背が伸びて、更に可愛さがアップしている。


 未だに名前以外の記憶が戻らないようだが、明るく笑うようになった。


 侍従の仕事も完璧にこなしている。


 俺がアイリスの方を見ていたのに気がついたのか、アイリスが首を傾げた。


「どうかしましたか?」


「何でもないよ。俺もアイリスも成長したと思ってね。」

 俺はアイリスに微笑んだ。


「とてもよく似合ってますよ。サクラ王子。」

 アイリスに笑顔で褒められ、サクラは頬を赤く染めた。


「あ、ありがとう。」

 俺は動揺を悟られないよう前を向いて歩き始めた。


「やっと来たか! サクラ!」

 王の間に入ると父さんが声を掛けてきた。


「サクラよく似合っているわ。」

 母さんに褒められて俺は頬を掻いた。


「ありがとう母さん。」


「よし! 主役も来たことだから、神社に行くぞ!」

 父さんが手を叩いて玉座から立ち上がった。


「サクラが今後も元気であります様に神様にお願いしないとね。」

 母さんも椅子から立ち上がった。


 俺は頷き両親の後を歩き、城の裏手にある神社に向かった。


 神社はそれなりに大きく、神聖な雰囲気を感じた。


 俺は立ち止まって神社を見渡して息を飲んだ。


「どうしたサクラ? 御参りするぞ。」

 父さんに促され俺は足を進めた。


「この神社にはスサノオ神が祀られているんだ。しっかりお祈りするんだぞ。」


「スサノオ神?」


「この国が発展したのもスサノオ神のお陰だ。凄い神様なんだぞ。」


「分かりました。」

 父さんが凄い神様と言うんだ、きっと凄い神様なんだろう。


 俺は、拝殿前で軽くお辞儀をして、賽銭を投げ鈴を鳴らし、2礼2拍手1礼をして、最後に軽くお辞儀をした。


 すると何処からともなく声が聞こえて来た。


《お主はなにを望む?》


 !? 俺は声が聞こえたため辺りを見回したが誰も声を発した様子はなく、両親やアイリスが動いていないことに気がついた。


「……どうなってるんだ?」

 俺は状況を理解できなかった。


《お主以外の時は止めてある。ワシはお主らが崇める神。スサノオである。》


 この声は俺の頭に直接届いているようだ。


《もう一度問う。お主はなにを望む?》


《……何を望んでもいいのですか?》


《……。》

 スサノオ神は、俺の問いに沈黙で答えた。


《強くなりたいです。自分だけじゃなく守りたい人を守れる強さが欲しい。》

 俺は自分の思いを告げた。


《……その気持ちを忘れるな。》


 スサノオ神の言葉を最後にまわりの景色が動き出した。


 そして、俺の目の前に一本の剣が現れた。


 !? 突然現れた剣に俺だけでなく皆んなが驚いていた。


 俺はその剣を掴んだ。


「……草薙剣(くさなぎのつるぎ)スサノオ神からの贈り物。」

 俺は剣を掴んだ瞬間、剣の名前と贈り主が頭に浮かんだ。


「……サクラその剣は一体!?」

 父さんが突然現れた剣を俺が手にしたため質問して来た。


「……スサノオ神からの贈り物だそうです。」

 俺はそう言って微笑んだ。


 その後、豪華な食事をみんなで食べて、ワイワイ騒いで俺の3歳の誕生日は終わった。

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