帰還①
ギルマスのスターチスさんの登場により、穏便?に戦闘が終了し、俺とアイリスとサイネリアさんはギルマスの部屋へ呼ばれていた。
「ソファーに座ってください。」
スターチスさんに促され、俺達はソファーへ腰を下ろした。
「今、別の者にあいつらからの聞き取りをしてもらっているところなんだが、君達からも話を聞かせてもらえるかな?」
スターチスは机に両肘を付き、手を組んだ状態で質問してきた。
サイネリアさんが俺達に視線を向けた。
俺はスターチスさんなら普通に話しても大丈夫な感じがしたので、喋ることにした。
「……俺は倭国の王子でサクラと言います。寝室で寝ていたところ、伯父のゲッケイジュに誘拐され、奴隷商に売られました。奴隷商の荷台の檻には、アイリスが先に捕まっていて、森に居たところを攫われたそうです。俺達はこの街に着いたタイミングで荷台から逃げ出して、ギルドに助けを求めるつもりでした。」
とこれまでの経緯を説明した。
俺の話を聞いて、サイネリアさんは涙を流していた。
この人は、本当に優しい人だと感じた。
スターチスさんは俺の話を聞いて、
「……随分しっかり話せるんですね。ですが、なるほど。やはり王子でしたか。私の知る限り桜色の髪の持ち主は倭国の王族のみだったので、そうだと思いましたよ。」
とスターチスさんは納得したような顔をした。
「少し前に、私の知人から王子が誘拐されたと極秘に連絡がありましたので、王子の件は伏せたままにギルドの緊急依頼を発令するところだったんですよ。」
スターチスさんは、ソファーの背にもたれ掛かりそう言った。
「そうだったんですね。……ところで、スターチスさんの知人と言うのは?」
俺はスターチスさんに情報提供した者を聞いた。
「倭国の筆頭魔法使いのシャクヤクですよ。」
「シャクヤク師匠が?」
「シャクヤクは王子の師匠なのですか?」
俺は頷いた。
「とりあえず、倭国に使者を送るので、直ぐに迎えが来るでしょう。」
俺はスターチスさんの話を聞いて、俺は両親の顔が浮かび、心配してるだろうなと考えていた。
「アイリスと言ったね。君はこれからどうする? 当てはあるのかな?」
スターチスはアイリスに今後のことを話し出した。
「……名前は覚えているのですが、それ以外の記憶が無くて。」
アイリスは俯き、小さく答えた。
「……ならうちに来なよ。両親には俺が説明する。一緒に誘拐された仲間だし。」
俺は笑ってアイリスに手を差し伸べた。
「……いいのかな? 迷惑じゃない?」
アイリスは俯いたままだ。
「大丈夫だよ!」
俺の言葉にアイリスは顔を上げ、泣きながら抱きついて来た。
「!?」
「ありがとうぅ。」
アイリスのお礼に俺は顔を赤くして頬を掻いた。
アイリスお持ち帰り計画始動!
スターチス→5月7日等の誕生花
花言葉は、紫が上品、ピンクが永久不変、黄色が誠実です。




