逃走劇④
「……誰だ? うちのギルド前で騒いでるアホは?」
ギルドからは、年齢30歳くらいの眼鏡を掛けた青紫色の髪をした男性が出て来た。
「マスター! 良いところに!」
サイネリアさんが出てきた男性に声を掛けた。
「!? ギルマスのスターチス……。」
兵士達が後ろを振り返り震え出した。
この人がギルドマスター!? みんなビビってるけど、インテリ系であんまり強そうには見えないけど?」
「……状況的に言って、サイネリアといる子供達とこの方達でトラブルがあったのかな?」
スターチスは、俺達を見た後に奴隷商に視線を向けた。
「……私はこの子供二人を買ったんだ。子供が逃げたから捕まえようとしただけで何が悪い!」
奴隷商は額に大量の汗を浮かべ、スターチスに説明した。
「……買った、ねぇ〜。」
スターチスは奴隷商の言葉を疑うように答えた。
「この子達は攫われたと言っていたわ! 攫った奴から買い取ったのならこの子達は悪くないじゃない!」
サイネリアは反論した。
俺とアイリスは黙って成り行きを見守っていた。
「子供の言うことなど真に受けてどうする! 売られたくないから嘘を言っているだけだ!」
奴隷商はサイネリアに怒鳴りつけた。
「……成る程ね。よく分かったよ。」
スターチスは奴隷商達を通り過ぎて俺達の前に立った。
「私達は嘘つきじゃないです!」
アイリスはスターチスを見上げて言い切った。
スターチスは、笑顔でアイリスと俺の頭を撫でた。
「分かっています。」
スターチスは、奴隷商達に振り返った。
「あなた方には聞かなければならないことがあるので、大人しく投降しなさい。」
スターチスさんの体から魔力が溢れている。
「……すげぇ。」
俺はスターチスさんの溢れる魔力を見て小さく呟いた。
「「っ!?」」
兵士達はその魔力を前に動けなくなった。
兵士達が武器を下ろして投降の意思を示す中、一人奴隷商だけがこの場から逃げようと走り出した。
「捕まってたまるか!」
「……氷縛!」
スターチスが魔法を唱え奴隷商を拘束した。
ギルドの扉が再び開き、数名の冒険者が奴隷のと兵士達をギルドへ連行した。
サクラ達が無事に保護されて良かったです。




