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必ず倒す

「居場所を知ったところで、ここで死ぬ貴方には関係のないことです。」

 サクラの攻撃を防ぎつつ、アリドオシが言葉を返す。


「お前なんかに負けない。俺の大切な人を奪ったアイツだけは必ずこの手で倒す!」

 サクラは更に力を込めて、アリドオシを弾き飛ばす。


「……。」

 アリドオシは周囲を見回し、引き連れて来た魔物の大群や主力の魔物の大半が討伐されているのを目にし、人間の力を侮っていたと気がつく。


「やれやれ。私も本気を出した方がよさそうですね。」

 アリドオシは、禍々しい魔力を身に纏う。


「……来い!」

 サクラはアリドオシの魔力に怯むことなく、アリドオシを見据える。


 サクラとアリドオシの激しいぶつかり合いが繰り広げられ、一対一の戦いが続く。


 サクラは、幾度となく剣技を放つがアリドオシを倒す決定打にはならなかった。


「……ここまでの力を持っているとはな。やはり貴様はこの場で殺さなければやらない。」

 アリドオシは、サクラの力がこれ以上成長すればジキタリスにも及ぶ恐れがあると判断したのである。


「はぁはぁはぁ。(強い。魔人並みの強さだ。)」

 サクラは、肩を上下させるも集中力を切らさなかった。


「死ね!」

 アリドオシは、手を前にかざし、自身の魔力を圧縮して巨大なエネルギー玉を作り上げる。


「速い!?」

 サクラの想像の遥か上を行く、アリドオシの魔法の発動に、サクラの体は追い付いていなかった。


 爆音が鳴り響き、巻き上がった砂煙が晴れた先には、無傷のサクラの姿があった。


「何だと!?」

 アリドオシは、自身の技が塞がれていたことに驚愕する。


「サクラ大丈夫!?」


「何とか間に合ったわね。」


「後はそいつを倒せば終わりだね。」


「一気にやっつけるッスよ。」

 周りで戦っていた、アイリス達が間一髪でアリドオシの魔法からサクラを助けたのだった。


「ありがとうみんな。一気に行くぞ!」

 サクラ達は、連携してアリドオシを追い詰める。


「チッ……くっ!」

 サクラ達の連携攻撃により、アリドオシの身体に傷が増えて行く。


「死ぬ前にジキタリスの居場所を吐け。」

 サクラは傷だらけのアリドオシから、ジキタリスの居場所を聞き出そうと試みる。


「ふっ。言うわけがないだろう。……貴様ら程度ではジキタリス様を倒すことは不可能だ。」

 アリドオシは、ふらふらと立ち上がり、そう宣言する。


「ふぅーー。仕方ないか。留めだ!」

 サクラ達は一斉にアリドオシへ向かって魔法を放つ。


「やったか?」

 デイジーや仲間達が険しい表情で砂煙が晴れるのを待つ。


「……人間にしては、大したものだな。」

 砂煙が晴れた先には、アリドオシの他にもう一人の姿があった。


 サクラ達の目の前に突如現れたのは、サクラの両親や師匠の命を奪った、魔人ジキタリスだった。


「!? ジ、キ、タ、リ、スぅーー!」

 サクラはその姿を見た瞬間に、全開の魔力を身に纏い、切り掛かっていた。


「ん?」

 ジキタリスは自身に迫る刀を魔力を纏った手で受け止める。


「殺す!」

 サクラは直ぐに刀から手を離し、クリスタルソードを取り出して間髪いれずに攻撃を繰り出す。


「……。」

 ジキタリスは、そんなサクラの猛撃を物ともせずにやり過ごす。


「サクラ落ち着いて!」

 デイジー達は、サクラとジキタリスが離れた瞬間を狙って、遠距離攻撃を放ち、更にジキタリスを後退させ、アイリスはサクラに抱き付いて動きを止めた。


「わ、悪い。暴走しちまった。」

 サクラは冷静さを取り戻し、再びジキタリスを見据える。


「誰かと思ったら、あの時のガキじゃねぇか!? ここまで成長するとはな。まだ俺とやるには早そうだがな。」

 ジキタリスは、ニヤニヤと笑みを浮かべながらサクラ達を見渡す。


「……引くぞアリドオシ。今度会う時までに更に腕を上げておけ。」

 ジキタリスは、アリドオシを連れて姿を消した。



「あの魔人はヤバいッスね。」


「前に倒した魔人とは比べ物にならないアルね。」

 リンドウやボタン達は、魔人ジキタリスの力を目にして、退散してくれて助かったと冷や汗を流していた。


「……次こそ必ず、倒す。」

 サクラは更なる高みを目指すと強く決意したのであった。


 こうしてハプスブルク王国での戦闘は幕を下ろした。

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