魔人の部下
一か月不在となり、すいませんでした(>人<;)
今後はスローペースでも更新して行きますm(_ _)m
「……助かったのか?」
ユリウス家当主は、自分の命があることを認識し、大きく空気を吸い込み言葉を発した。
「……。貴様の助けなどいらん!」
スナップは、ストックに助けられたと知り、怒りを露わにした。
「助けてやるんだから、グダグダ言うな。」
ストックは、それ以上言葉を交わすことはせずにヒドラへと駆け出す。
ストックのその姿を二人は見ていることしか出来なかった。
スナップは口ではああ言ったが、既に体力も魔力も限界だったのである。
「ストックは戦いながらもあんた達のことを気にしていたわよ。この戦いが終わったら、ちゃんと話しをすることね。」
そんなスナップ達へとアカンサスは言葉を送り、ストックの後を追う。
「……ストック。」
「……くそっ。」
二人は近付いて来た部下達に支えられ、後方で手当てを受けるよう勧められるも、その場から動くことなく、ストックの姿を見つめるのだった。
「ちっ。格好つけたものの、コイツは一筋縄じゃいかないな。」
ヒドラの猛攻撃に、ストックも手を焼いていた。
「あっ、やべ!?」
ストックが地面に足を取られた隙を、ヒドラは見逃す事なく追撃する。
「なぁに一人で頑張ってるのよ。」
ストックへと追い付いたアカンサスが、ヒドラの追撃を弾き飛ばす。
「悪りぃ、助かったよアカンサス。」
ストックは、一度体勢を立て直して、アカンサスの横へと並ぶ。
「貸し一つよ。格好良く助けに入って負けたんじゃ情け無いわよ。」
アカンサスの言葉を受けて、ストックは後方でストックの戦いを見ている二人に目を向けた。
「……だな。アカンサス一気に決めるぞ。」
「ええ。」
「「“太陽の波動”!!」」
ストックとアカンサスは魔力を一気に高まると、合体技を放つ。
二人のシンクロ率は日を増すごとに高まり、スムーズに合体技が放てるようになっていた。
ヒドラは、放たれた太陽の波動により炎に飲み込まれ、瞬く間にその姿をこの世から消したのであった。
「よし!」
「やったわね。」
ストックとアカンサスは互いに喜び合う。
「なんて魔法だ。」
「……。」
ユリウス家当主とスナップは、ストックとアカンサスの実力を目の当たりにして、驚愕していたのだった。
一方、サクラ達も順調に敵の主力を倒し、人間側が優勢になり始めていた。
そんな時、サクラの直ぐ横を人影が通り過ぎる。
「ん?」
サクラが人影へと目を向けると、実力的にはSSランクに近い実力を有する総司令が吹き飛ばされていたのである。
「中々やりますね。」
サクラの耳が冷徹そうな声を捉える。
(こいつは危険だな。)
サクラは、目の前のモノが放つ雰囲気から危険と判断したのである。
「……くぅ。そ、そいつは危険だ。」
総司令は、何とか痛みに耐えながらも立ち上がる。
「まだ立てるとは、人間にしては頑丈ですね。ですが、私の敵では無い。」
緑の身体をしたモノは、左右の腕を真っ赤な棘へと変え、総司令へと素早く接近して突き殺そうとしていた。
「ぐぅ。」
総司令も反撃しようと試みるも、痛みで反応が遅れていた。
「はぁーー!!」
サクラは一瞬で総司令の前に割って入り、攻撃を防ぐ。
(やっぱりコイツは危険だ。恐らくSSランクはある。)
サクラはそのまま敵を弾き飛ばし、間合いを確保する。
「私の攻撃を防ぐとはやりますね。」
敵はサクラの実力に感心していた。
「お前こそやるだろ。……魔人なのか?」
サクラは、敵の実力から魔人の可能性があると思い至ったのである。
「魔人? 私は魔人ジキタリス様の部下、アリドオシ。私の力は魔人クラスではありませんよ。」
アリドオシは、魔人の部下であると口にする。
「……ジキタリスだと!?」
サクラは、出会ってから一度も忘れたことのない宿敵の名を口にする。
「なんだ? ジキタリス様のことを知っているのか?」
アリドオシは、サクラの反応から自身の使える魔人ジキタリスを知る者と察した。
「一度も忘れた事は無い! ジキタリスの居場所を吐いてもらうぞ!」
サクラは闘志を燃やし、一気にアリドオシへと駆け出したのだった。




