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娘はやらんぞ!

サクラとパキラとマルベリーのお話です!


お父さんも登場!?

 主従契約を交わしたパキラとマルベリーは、お茶菓子を食べながら親睦を深めるために話し込んでいた。


 サクラもその横に座って、コーヒーとお菓子を味わっている。


「マルベリーさんって、今までなにをしていたの?」


「私は大半をノイシュバンシュタイン城という城の中で過ごしていてから、外の世界に出たのは何十年か何百年振りになるわね。」

 マルベリーは、サラッと自分の歳に関わる爆弾発言をした。


「え!? そんなに外に出ていなかったの?」


(見た目は20歳くらいなのになぁ。めっちゃ歳!?)

 サクラが心の中で、マルベリーの歳について考えていると只ならぬ殺気がサクラへ向けられた。


「……今、何か良からぬ事を考えていましたね?」


「す、すいませんでした!」

(こ、こぇぇ〜、マルベリーさんに歳のことは触れちゃ駄目だな。)

 サクラは目にも止まらぬ速さで、頭を床に擦り付け、マルベリーに会心の土下座を放つ!


「……分かればいいのです。」

 マルベリーの目は、見たものを射殺す程の冷たいモノが宿っていたが、サクラの会心の土下座により、何とかサクラは射殺されずに済んだ。


「私は商人として世界各地を飛び回りますので、これからは色んな所を一緒に見て回れますね。」


「はい! とても楽しみです!」

 パキラは自分が今までに世界を飛び回り、目にしたものや感じたことを、事細かにマルベリーへと話、マルベリーの目は、パキラの話を聞いてキラキラと輝いていたのだった。


「これから楽しみですね。吸血鬼のマルベリーさんが一緒なら旅も一安心ですね。」


「とても楽しみです。私は戦闘が苦手ですけど、パキラさんは私が守ります。」

 パキラとマルベリーは手を取り合い、盛り上がっている。


「いえいえ、絶対マルベリーさん強いですよ。」


「そうでしょうか? まぁいざとなれば転移が出来ますから大丈夫ですよ。」

 マルベリーは自身の力を謙遜しているが、サクラは先程の殺気から、大抵の者は敵わないだろうと考えていた。


「そうですね。転移がありますもんね。」


「ええ。パキラさんは私が居ればいつでもサクラに会えますね。」


「はっ!? お、お姉様!」

 パキラは、マルベリーの言葉を受けて身体に稲妻が走り、マルベリーへと抱き着いた。


 サクラの目には、二人の豊満な胸が押しつぶされている光景が飛び込む。


(……煩悩退散!)

 サクラはその光景に目を奪われたが、直ぐにアイリスとカトレアが頭に浮かび、自分の頭を壁に打ち付けていた。



 しばらくすると、部屋をノックする音が鳴り響く。


「パキラ少しいいか?」


「どうしたの?」

 膨よかな身体つきをした、パキラの父親が部屋を訪ねて来た。


「その二人は我が家に転移で来たのか?」


「そうよ。紹介するね。こちらがサクラ様で、この女性はマルベリーさんです。」


「パキラの父親のカイエンだ。……君は娘とどういう関係かな?」


「ちょ、ちょっとパパ!?」


「パキラは黙っていなさい! どうなんだね?」

 カイエンは大事な一人娘を、何処の馬の骨とも分からない男に奪われてなるものかと目を血走らせていた。


「関係と聞かれましたので、お答えします。俺とパキラさんの関係は、()()()の商人です。」


「……()()()()だと!? 貴様ーー!」

 どうやらカイエンには、商人と言う文言は聞き取れなかったようで、専属と言う単語のみを聞き取ったのである。


「へ?」

 カイエンに掴み掛かられたサクラは困惑していた。


(ど、どうしてこうなった!? 専属の商人ってそんなに怒られることなのか?)


「貴様のような何処の馬の骨とも分からん奴に、大事な娘はやらんぞーー!」

 カイエンは力強くサクラの両肩を持ち、身体を前後に揺さぶり続ける。


「落ち着きなさーーい!」


「ゲフゥン!?」

 パキラのチョップがカイエンの脳天に直撃した。


「何するんだパキラ!? お前を思ってだな!」


「サクラ様を困らせないで!」

 カイエンは、叩かれてジンジンする頭を抑えながら、パキラに文句を言う。


「なぁにがサクラ()だ! こんな奴に様付けなんかしてんじゃねぇ!」


「何よ! パパだって、サクラが小さい頃に将来有望だと思ったからクリスタルソードをサクラに激安価格で売ったじゃない!」


「……なんの話だ? クリスタルソードは、ヤマトと言う男に売ったんだ! そこの男ではない!」

 カイエンはサクラを指差して、力強く否定した。


「サクラ様は、ヤマト様よ! 変化していたのよ。」


「……何?」

 パキラがヤマトのネタばらしをし、サクラへ目を向けると、カイエンもサクラへと目を向けた。


 サクラはヤマトの姿へと変化し、クリスタルソードを取り出して見せる。


「こ、これは!? 確かにヤマト選手だ。それにそのクリスタルソードは間違いなく私が売ったものだ。」

 カイエンは、サクラの変化した容姿とクリスタルソードを見て、パキラの言葉に納得せざるを得なくなる。


「それとサクラ様は倭国の王子よ。亡くなられた倭国国王リュウオウ様とキク様の子供よ。」


「な、なんだと!? ……これは大変失礼致しました!」


「いえ、カイエン様から買わせていただいたクリスタルソードには、何度も助けられました。ありがとうございます。」


「そう言って頂けると、商人として嬉しいものです。貴方なら娘を預けられます。」


「ちょっとパパ!?」


 部屋の中は和やかな雰囲気となり、その後はサクラが倭国で魔人襲撃を受けてからの話をしたり、パキラやカイエンから世界情勢や魔人の動き等について情報を交換したのだった。




「そうだ。防具の素材渡すわね。」


「忘れるところだった。」

 サクラはパキラに倉庫まで案内され、頼んでいた防具の素材を受け取る。


「それと、役立ちそうなアイテムも手に入ったから渡しておくわね。」

 そう言ってパキラがサクラへ渡した物は、飲むタイプの体力回復薬と魔力回復薬、塗るタイプの傷薬だった。


「助かるよ。回復アイテムなんてあったんだな。」


「昔からあったらしいんだけど、回復量が少なくて殆ど出回ってなかったのよ。最近開発が進んで実戦でも実用可能レベルになったそうよ。」


「また何かあったら連絡する。」

 サクラは受け取ったアイテムの山をネペンテスに収納する。


「何か無くても連絡してあげなよ。」


「そうだな。」

 マルベリーの突っ込みに、サクラは頷いて応える。


「またな。」

 サクラは転移して、パキラとマルベリーの前から姿を消したのだった。


次回は、ストック達のお話です!

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