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ノイシュバンシュタイン城〜新たな仲間〜

吸血鬼シャガを倒したサクラ達、遂にノイシュバンシュタイン城の中へと足を踏み入れる。

 サクラ達はハプスブルク王国軍と共に、ノイシュバンシュタイン城へと足を踏み入れる。


「そっちはどうだ?」


「敵は無し。死体が転がってるくらいだよ。」


「こっちも同じだ。」

 ハプスブルク王国兵は、言葉を交わしながら城の中の散策を続ける。


 ハプスブルク王国兵が言うように、ノイシュバンシュタイン城の中は、物静かであり、兵達の足音と報告の声しか聞こえて来ない。


 城の至る所に、スナップが突撃させたユリウス家の兵が死体で転がっており、ゾンビの亡骸もそこら中に散らばっている。


「生存者無しか。」

 サクラ達も城の中を歩き回り、生存者や隠れている敵を探していた。


 暫くするとサクラ達は、城の地下へ至る階段を見つけたのだった。


「……地下にうじゃうじゃゾンビがいたりして。」


「ちょっと止めてよ!」


「お、おう。」

 ストックの言葉に、アカンサスは顔を強張らせ、ストックの後ろに隠れる。


 ストックはアカンサスに密着されて、赤を赤らめて動揺していた。


「仲良いねぇ。」

「ラブラブですね。」

「……こういうのに男性は弱いのね。」

 サクラ、アイリスは二人を揶揄い、カトレアはその様子を見て、自分も甘えてみようと考えていた。


 地下へ通じる階段を降り始めたサクラ達、階段脇には明かりが灯されており、サクラ達の影がゆらゆらと映し出される。


 サクラ達の目の前には、牢屋が数部屋設けられている。


 房の中には、骨が落ちている部屋ばかりであった。


 そして、地下牢最奥の扉の前にサクラ達が辿り着く。


「ここが最後だな。」

 サクラがドアノブに手を掛けて扉を開く。


 サクラが扉を開いた先には、一人の美しい女性の姿があった。


 その姿は、人間で例えるなら20歳程であり、銀髪を靡かせ、血のような真っ赤な瞳に薄紫の皮膚をしている。


「吸血鬼!?」

 一番最初に吸血鬼の女性の姿を目にしたサクラが叫ぶ。


「嘘!?」

「まだいたのね!」

 アイリスとカトレアが声を上げ、更に後ろにいたストックとアカンサスは後退して、間合いを確保する。


「人間が来ましたか。……シャガはやられたのですね。」

 吸血鬼の女性は椅子から立ち上がると、悲しげな表情を浮かべていた。


 サクラは、この吸血鬼の女性から戦意や殺気を感じないことに違和感を感じる。


「私は抵抗しません。好きにして下さい。」

 吸血鬼の女性は、サクラ達と戦うつもりは無かった。


「……俺はサクラと言います。あなたの名前は?」


「? マルベリーです。」

 サクラは吸血鬼の女性には、敵意が無いと判断し、近付いて相手と会話することを選ぶ。


「マルベリーさん。あなたからは敵意などを感じません。何故ですか?」


「……私は争いが好きではありません。長年私の次元魔法により、外の世界と隔離していました。数日前、吸血鬼シャガが城中の者達を纏め上げ、自由に暴れ回る道を選び、私を地下牢に閉じ込めたのです。この部屋からでは完全な隔離魔法が維持出来ず、城の中からは出れませんが、外から開けられてしまい、隔離魔法が解除されてしまったのです。」

 サクラの問い掛けに、マルベリーは素直に答える。


「そうだったんですか。この城全体に魔法を掛けるなんて凄いですね。」


「これでも吸血鬼ですので。」

 サクラはマルベリーの力に只々関心していた。


「ねぇ、サクラどうするの?」

「やりづらいわね。」


 アイリスとカトレアは、様子を見守っていたが、マルベリーと戦い難いと感じ、サクラへ声を掛ける。


「マルベリーさんとは戦わないよ。」


「なら、どうするの?」

 サクラがマルベリーとは戦わないと宣言したため、アイリスは方針を確認する。


「マルベリーさんの知り合いこ吸血鬼やゾンビ達を倒して言うのもなんだけど、もし良かったら仲間にならないか?」

 サクラは、マルベリーへと真剣な眼差しを向けて仲間に誘う。


「……吸血鬼の私を?」


「吸血鬼のマルベリーさんを。別に変じゃないだろ? 俺達には仲間が必要なんだ。」

 サクラの横にオロチが並ぶ。


「コイツは見た目は人の姿をしているけど、八岐大蛇だ。今は一緒に戦ってくれる大事な仲間だよ。」


「ふん。」

 サクラの言葉に、オロチは照れたようにソッポを向く。


「……大事にされていますね。それでは、お言葉に甘えてお仲間に入れて頂けますか?」

 マルベリーは、二人の様子から温かいものを感じたり、自分もその輪に加わりたいと感じた。


「勿論。宜しくねマルベリーさん。」


「宜しくお願いします。私は、戦闘が苦手ですが、次元属性の封印系や転移などが得意です。」


「戦闘が苦手と言っても、SS指定されていますからね。マルベリーさんが思っているより、強いと思いますよ。転移が得意なんですね。……出来ればマルベリーさんには、俺達の仲間の商人であるパキラという女性と一緒に居て欲しいと考えています。」

 サクラは、商人であるパキラに危険は付き物であり、誰かに側にいて欲しいと考えていた。


 その点、マルベリーは吸血鬼なので戦闘力も十分で付き人にピッタリであり、更に転移が得意なので、物資の搬送も短縮出来ると考えていた。


「商人のパキラさんですか?」


「彼女は、商人なので世界中を飛び回りますので、一緒に居れば、マルベリーさんも色々なところを見に行けると思いますよ。」


「……なんだか楽しそうですね。」

 マルベリーは、世界中を見て回る自分を想像して、胸を高鳴らせる。


 マルベリーが了承してくれたことで、サクラ達は安堵の表情を浮かべる。


 マルベリーは、笑顔でゆっくりとサクラへ近付き、頬へと口付けした。


「よろしくね。」

 マルベリーの満面の笑みにサクラは頬を赤くし、見ていたアイリスとカトレアは、新たな恋敵の登場に闘志を燃やしていたのだった。



新しい仲間を加えたサクラ達。


次回は、パキラとマルベリーのお話予定です。

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