ノイシュバンシュタイン城〜燎原之火〜
吸血鬼シャガとのバトル回です!
オロチ達が四凶と戦闘を開始した頃、サクラ達は吸血鬼シャガと対峙していた。
「俺様は吸血鬼シャガ! 俺様に出会ったことを後悔するがいい!」
「後悔するのはそっちの方だ! やるぞみんな!」
「うん!」
「やるわよ!」
「お前はここで倒す!」
「アンタなんか怖くないわよ!」
吸血鬼シャガとサクラ達は、言葉を交わし終えると戦闘へと移行した。
「喰らうがいい! “蝙蝠爆撃”!」
吸血鬼シャガはサクラ達へ向けて、闇属性による黒い蝙蝠型の魔法を大量に飛ばしたのである。
「なんて数を撃ちやがる!? 」
サクラは悪態を吐きながらも、吸血鬼シャガの攻撃を回避し、他のメンバーもそれぞれ魔法衣を纏い、蝙蝠爆撃を回避していた。
「これは!? みんな武器で弾くな!」
地面に着弾した蝙蝠が爆発したのを目にして、武器で迎撃しようとしていた仲間に注意を促す。
「え? きゃ!?」
「うおっ!?」
「くぅ〜。」
カトレア、ストック、アカンサスはサクラの注意が間に合わず、武器を使って蝙蝠爆撃を弾いてしまい、直近で爆発を喰らってしまう。
「くくくくく。まだまだいくぞ!」
吸血鬼シャガは追加の蝙蝠爆撃を放ち、更にサクラ達を追い込む。
「くそっ!? 包囲されてる! アイリス!」
「分かってる!」
「“輝く盾”」
「“光盾”」
サクラとアイリスは直ぐに光属性の盾を展開する。
「俺様の蝙蝠爆撃を防ぎきれるかな? 行け!」
吸血鬼シャガは、全ての蝙蝠爆撃をサクラとアイリスの展開した光属性の盾へとぶつける。
一斉に黒い蝙蝠が光の盾に群がり、光の盾は一瞬にして黒く覆われてしまい、その瞬間に大爆発が発生した。
「ふっ、あっけなかったな。」
吸血鬼シャガは、サクラ達が大爆発に巻き込まれ、既に死亡したと判断し、オロチ達へと向かおうとする。
「“戦闘曲”」
「“閃光弾”」
吸血鬼シャガの後方から声が響き渡る。
サクラは盾が破壊されるのを見越し、次元属性による転移を発動して吸血鬼シャガの背後に全員で移動していたのである。
そして、空かさずアイリスが音属性で全員の能力を高め、声に気付いてサクラ達へと目を向けた吸血鬼シャガに向かって閃光弾を放ったのである。
「グァーー!? 目がーー目がーー!?」
「“炎の衝撃”!」
「“炎壊”!」
ストックとアカンサスは、吸血鬼シャガが怯んだ瞬間に、一気に加速して攻撃を繰り出す。
「がぁ!? くそっ!?」
吸血鬼シャガは、咄嗟に魔法衣を強化して防御力を高めてダメージを軽減する。
「まだよ! “炎の一閃”」
更に間を置かずにカトレアが攻撃を仕掛け、吸血鬼シャガに反撃の隙や回復を阻止する。
「「行くぞ! “太陽の波動”!!」」
ストックとアカンサスは、カトレアが攻撃を繋いでいる間に魔力を高め、旗取りゲームの際にグズマニア大将へと放った合体技を吸血鬼シャガへと放つ。
「むっ!? “巨大な髑髏”!」
吸血鬼シャガは、高まる魔力に身の危険を感じ、即座に闇属性と土属性により巨大な髑髏を声が聞こえた方へと作り出した。
「今のは危なかったぞ! お返しだ! “暗黒キマイラ”」
吸血鬼シャガは自身の必殺技である闇属性、雷属性、火属性によってキマイラを作り出し、ストックとアカンサスへと放つ。
吸血鬼シャガの放った暗黒キマイラは、黒い体に炎と雷を迸らせてストックとアカンサスへと突き進む。
「うわぁーーーー!」
「あーーーー!」
ストックとアカンサス倒れる。
「俺様の暗黒キマイラの前には、貴様らの攻撃など取るに足らん。」
吸血鬼シャガは、吹き飛ばされたストックとアカンサスへと目を向けて言葉を発した。
「ストック! アカンサス!」
サクラが吸血鬼シャガの攻撃を受けた二人に目を向けると、二人は大ダメージを負っていたが、何とか立ち上がろとしていた。
「つぅーー、アカンサス大丈夫か?」
「う〜、何とかね。ストックは?」
「まだまだやれるさ!」
「だね。」
ストックはアカンサスに手を差し伸べ、アカンサスはストックの手を借りて立ち上がり、二人は呼吸を整える。
「少し休んでてくれ。アイリス、カトレア、やるぞ!」
サクラ、アイリス、カトレアは横一列に並ぶと、それぞれ武器に魔力を注ぎ込む。
「「「“快刀乱麻”!!!」」」
サクラは草薙剣から風の刃を、アイリスはアレスの剣から光の刃を、カトレアはマリアの薙刀から火の刃を放ち、風と光と火の三つの魔法刃が一つとなり、地面を削りながら吸血鬼シャガへと迫る。
「三人になろうが変わらん! “暗黒キマイラ”!」
吸血鬼シャガは先程ストックとアカンサスの合体技を破った、自身の必殺技を放つ。
両者の技がぶつかり合い、激しい音と衝撃が辺りを埋め尽くし、両者の技は共に消滅した。
「……三人がかりでやっとかよ。」
サクラは、改めて吸血鬼の強さを思い知る。
しかし、サクラはこのまま行けば吸血鬼シャガの魔力が底を尽き、勝利出来ると考えていたのである。
「俺様の魔力切れを期待しているのか?」
「……何れ魔力は無くなる。そうなれば俺達の勝利だ。」
「くくくくく。甘いな。俺様は吸血鬼なんだよ!」
そう言うと、吸血鬼シャガは懐から小瓶を取り出す。
「……。何だそれは?」
「これは貴様らの人間から抜いた血を凝縮したものだ。ゴクゴクゴクゴク。」
吸血鬼シャガが一気に小瓶を飲み干すと、吸血鬼シャガからとてつもない魔力が溢れ出す。
「これで魔力は回復したぞ。さぁ続きと行こうか?」
その後は、吸血鬼シャガの全快した魔力の前に、サクラ達は徐々に押され始める。
「みんな、諦めるな!」
「勿論!」
「こんなところで終われませんわ!」
「負けてたまるかーー!」
「絶対勝つ!」
サクラの言葉に、各々自分を鼓舞して戦意を高める。
「人間にしては楽しませて貰ったぞ。そろそろ終わりにしてやろう。」
吸血鬼シャガが両手をサクラ達へと翳し、魔力を高める。
「終わりだ。 “黒天”」
吸血鬼シャガの奥義黒天は、自身の魔力の大半を闇属性へと変換し、小さく凝縮した丸い球である。
吸血鬼シャガの手元では、黒天は掌に収まるサイズであったが、サクラ達へと進むにつれて、その大きさは巨大さを増して突き進む。
「ここで全てを出し切るぞ!」
「一人では敵わなくても!」
「仲間が一緒なら!」
「どんな奴にも!」
「絶対負けない!」
サクラ、アイリス、カトレア、ストック、アカンサスは、自身の魔力全てを最後の一撃に注ぎ込む。
「「「「「“燎原之火”!」」」」」
サクラ達五人の合体技燎原之火は、地面を燃やすと言うよりも、溶かしながら突き進み、遂に吸血鬼シャガの放った黒天とぶつかり合う。
「俺様の黒天か押されているだと!? 人間如きがーー!」
吸血鬼シャガの粘りにより、再び燎原之火が押し戻され、拮抗した後、徐々にサクラ達側へと押され始める。
「なんて奴!?」
「ちくしょーー! これ以上魔力なんかねぇぞ!」
「気持ちで負けちゃダメ! 絶対押し返す!」
「負けないわよ!」
「俺達が勝ーーつ!」
アカンサス、ストック、アイリス、カトレアはそれぞれ魔力を使い果たしているが、諦めてはいなかった。
そして、サクラは自身のスキル魔力変換を発動し、生命エネルギーと引き換えに魔力を回復し、回復した分の魔力を上乗せしたのである。
サクラの上乗せした魔力により、燎原之火は吸血鬼シャガの黒天を飲み込み、そのまま術者である吸血鬼シャガをも飲み込んで大爆発を巻き起こした。
大爆発が収まった後には、吸血鬼シャガの姿は何処にも無く、跡形もなく吹き飛んでいたのである。
「俺達の勝ちだ!」
サクラ達は、吸血鬼シャガを討伐した喜びを分かち合ったのだった。
次回は、ノイシュバンシュタイン城編の最後を予定してます(^^)




