旗取りゲーム〜光輝燦然〜
タンジー大将とのバトル展開!
バトルの行方は!?
クローバーとストックを退け、タンジー大将は再びデイジーに攻撃を仕掛けようとしていた。
タンジー大将の短剣がデイジーに迫り来る。
デイジーは距離が取れず、弓矢は不利と判断し、短剣を取り出して応戦する。
「短剣も使えたのか。悪くはないが俺には勝てない。」
タンジー大将の剣速が上がるにつれて、デイジーの身体に切り傷が増えて行く。
「……速い。」
デイジーは何とか距離を取りたいが、タンジー大将を引き離すことが出来ず、打開策を思い付かないでいた。
「終わりだ! “突風突き”」
タンジー大将が風属性を短剣に付与して、デイジーを突き飛ばす瞬間。
「やらせないアル! “雷光の投擲”」
ボタンが雷と光属性を付与したチャクラムを、横から投げ付けていたのである。
タンジー大将は攻撃を中止して、ボタンの攻撃を回避して距離を取る。
「喰らえ! “輝く矢”」
距離が取れたデイジーは、空かさず矢に光属性を付与して、光り輝く矢を何本もタンジー大将へと射る。
「矢を放てても、当たらなければ意味が無い。“闇短剣”」
タンジー大将は短剣を巧みに操り、デイジーの矢をはたき落とし、狙いをボタンへと変更した。
ボタンはチャクラムを両手に持ち、タンジー大将の双短剣と接近戦で一進一退の攻防を繰り広げる。
「中々やりますね。」
「そっちこそやるアルね。」
二人の高速での攻防は、周りから見ると踊りを舞うようにも見える。
「動きが速すぎる。狙いが定まらない。」
デイジーは弓を構えて狙いを定めようと必死だったが、デイジーとタンジー大将の動きの速さに矢を射つことが出来ない。
「ならば、“当たる矢”」
デイジーは操作属性を矢に付与して、タンジー大将に狙いを付けて矢を射る。
「はぁ! 矢なら見えている。」
タンジー大将は、短剣を強く当ててボタンを少し遠ざけ、矢に対処しようと考えた。
「甘いアル! “忘却”」
距離を取られたボタンだったが、直ぐに掌をタンジー大将に向け、忘却魔法を放った。
忘却魔法は、過去を記憶を殆ど消す程になると今のボタンでは魔力が圧倒的に足りないが、少し前の記憶であれば、少しの魔力で発動が可能である。
「……ん? チッ!?」
矢に気を取られていた為、ボタンの忘却魔法を受けてしまったタンジー大将は、身体に怪我を受けなかったことを不思議に思ったと同時に、何をしようとしていたのかを忘れていたのだ。
そのため、デイジーの矢に対処することが出来ず、矢を身体に受けたのである。
ボタンは、一旦後退してデイジーの横へ立つ。
「ナイスアシストだよボタン。」
「でも直前で身体を捻られたアルよ。」
ボタンの言うように、タンジー大将に致命傷を与えられる状況だったのだが、タンジー大将はギリギリで矢の存在に気が付き、身体を捻ることで致命傷を避けたのだ。
「やっぱり強いアルね。」
「流石に一筋縄ではいかないな。」
ボタンとデイジーは、タンジー大将の強さを改めて感じていた。
「二人ともやるね。うちの部隊に欲しいくらいだよ。」
タンジー大将は、双短剣を構えながら、風と闇属性を身体に纏う。
「“雷光の鎧”!」
「“雷光の鎧”!」
デイジーとボタンは、共に雷と光属性を身に纏う。
「行くぞ!」
タンジー大将は短剣に闇属性を付与して、デイジーへと投擲する。
「そんな直線的な攻撃が効くとでも、はっ!?」
デイジーはタンジー大将の短剣を軽々避け、違和感に気付く、タンジー大将がそんな簡単に避けられる攻撃をする筈が無いと。
デイジーとボタンは、短剣を目で追っていたため、一瞬タンジー大将から目を離していた。
直ぐに身の危険を感じてタンジー大将へと目を戻すと、目の前からタンジー大将が消えていたのである。
「何処に?」
「消えたアル?」
デイジーとボタンがタンジー大将を見失い、背後に気配を感じ取り振り返る。
タンジー大将は投擲した短剣に闇属性による影移動を付与しており、短剣がデイジーを通り過ぎて、直ぐに短剣の場所へと移動していたである。
「終わりだ! “終の風”!」
タンジー大将は、左右の短剣に風と闇属性を付与し、黒い風の斬撃がデイジーとボタンを切り裂いた。
「がぁ!?」
「くぅ〜!?」
デイジーとボタンは、瞬間的に発動している雷光の鎧に更に魔力を上乗せし、防御力を強化したため、致命傷を避けたのだ。
「ん〜アレを凌ぐとは大したもんだ。」
「大丈夫かボタン?」
「危なかったアルよ。」
タンジー大将とデイジー達は再び向かい合い、次の一手を考えていた。
「次で本当に最後だ。“黒風の大砲”!」
タンジー大将は、両の掌をデイジーとボタンに向けて、大量の魔力を注ぎ込んだ一撃を放ったのである。
「やるぞボタン!」
「分かったアル!」
「“光輝燦然”!」
デイジーの雷光の矢と、ボタンの雷光のチャクラムが混じり合い、強く鮮やかな光と激しい雷が鳴り響き、雷光の合体魔法、光輝燦然が放たれた。
タンジー大将とデイジー達の合体魔法がぶつかり合い、合体魔法《光輝燦然》は《黒風の大砲》を飲み込み、そのままタンジー大将へと直撃した。
タンジー大将はボロボロで戦闘不能となり、ボタンとデイジーが見事勝利し、リベンジを果たしたのである。
「やったねデイジー!」
「おっと!? ああそうだね。」
デイジーは、ボタンに抱きつかれて顔を赤くしながらも勝利をかみしめていた。
「みんな無事で良かった。」
「勝ったんだね!」
サクラとアイリスが、デイジーとボタンに声を掛け、他のメンバーも集まり始めた。
「光輝燦然で何とかね。」
「成る程ね。お疲れさん。」
サクラ達の合体魔法は、殆どサクラが命名しており、技のイメージに合った技名をつけるようにしている。
みんなもサクラが命名した技名を気に入り、そのまま採用される形となったのだ。
今回の戦闘結果は、タンジー大将部隊全滅、サクラ達チームは戦闘不能者0で、奪われた旗を取り返すことに成功し、完全勝利である。
戦闘不能者は出さなかったものの、中度の負傷をした仲間が10人いた為、負傷者は旗を回収し、自軍の本陣へと帰還させた。
そして、サクラ達は軽症の者を回復魔法で治癒し、若干の休憩を挟んでから敵本陣へ向けて歩き始めたのだった。
いよいよ敵本陣を残すのみとなりました!
やっとアカンサス編に終わりが見えて来た(^◇^;)




