旗取りゲーム〜奪われた〜
本陣へと凱旋した、サクラ達とアイリス達の部隊が目にしたものとは?
リンドウとウメが力を合わせてブルースター大将を撃破し、アイリス達の部隊は勝利を掴んだ。
アイリス達は、自軍の大旗含めて10本と敵の旗5本を持ち、本陣へと凱旋した。
アイリス達が本陣へと辿り着くと、既にサクラ達が本陣に戻っていたのだが、活気に満ち溢れている事はなく、暗い雰囲気が漂っていたのである。
「サクラ戻ったよ。何かあったの?」
アイリスは、直ぐにサクラの下へ駆け寄った。
「アイリスお帰り。無事で良かった。……本陣がやられた。」
サクラはアイリスに労いの言葉を送り、この暗い雰囲気の原因を伝えた。
「すまない。タンジー大将の部隊に襲撃を受けた。仲間は100人居たのが、残ってるのは10人だけだ。……旗も全て奪われた。くそっ!」
デイジーの握り締めた拳からは、ミシミシと音が鳴り響く。
デイジーも精一杯応戦したと見て分かるほど、身体は傷だらけで、服もボロボロになっていた。
「デイジーが居なかったら、全滅するところだったアルよ。」
ボタンもボロボロの状態で立っており、その横にいるクローバーもボロボロだった。
アイリス達の旗とサクラ達が手に入れた旗5本を合わせて、やっとスタートに戻った状況である
しかし、グズマニア大将とブルースター大将の部隊、合わせて100人を戦闘不能にし、残りは100人。
こちらは本陣残存の10人、アイリス達の部隊は10人減って30人、サクラの部隊は40人、残りの人数は80人と下回っていた。
数で負けている上に、100対50の戦力差がありながら、タンジー大将の部隊は犠牲者を出さずに90人を戦闘不能にし、本陣にあった旗10本を奪ってみせたのだ。
「旗の数は同じだけど、残り人数では負けている状況か。敵本陣の場所は把握しているが、タンジー大将の拠点が分からない以上、敵本陣を狙うしかないか。」
サクラは自分の考えを口にして、みんなの意見を求めた。
「それより、ストックはどうしたのよ!? まさかやられちゃったの?」
アカンサスは本陣に戻ってから、ずっと周囲を気にしていたのである。
しかし、いつまで経ってもストックが現れない為、不安になったのだ。
「あれ? やられてない筈なんだけど?」
「私は見てないアル。」
「クロも分からないです。」
デイジー、ボタン、クローバーの返事を聞いてアカンサスの表情は見る見る内に暗くなっていく。
「ま、まさか!?」
「おーーい!」
アカンサスが声を上げた時に、遠くからストックの叫び声が聞こえて来た。
サクラ達がストックの声がした方を向くと、ボロボロの姿をしたストックが手を上げながら走って来たのである。
「ストックどこ行ってたのよ!? やられたのかと思ったじゃない!」
「ごめんごめっ!? ぐへぇ!」
アカンサスは目に涙を浮かべながら、ストックの腹をど突いた。
ど突かれたストックは、身体をくの字に曲げて地面に膝を落とした。
「……大丈夫かストック?」
「俺はもうダメ、だ。」
サクラがストックの身を案じて声を掛けるも、ストックはそのままうつ伏せに倒れてしまった。
「え? そんなに強くやってないよ!? ストック大丈夫!?」
「なんてな!」
「……死ね。」
アカンサスはストックにやり過ぎたと反省して、ストックを抱き起こし、自身の膝にストックの頭を乗せて
、膝枕をしてあげたのだが、ストックが急に目を開けて舌を出してふざけたことから、アカンサスはストックの頭を持ち上げて、地面に投げ落とした。
「イッテェーー!? 投げ落とすなよ! 馬鹿になったらどうすんだよ!」
「あんたもう馬鹿何だから変わらないわよ!」
ストックとアカンサスの夫婦漫才が終わらないことから、サクラとアイリスで仲裁に入る羽目になった。
「で、ストックはどこに行ってたんだ?」
「おおそうだった! タンジー大将の部隊に襲撃されて、旗を持って行かれたから、取り返す為に追い掛けて、拠点を突き止めて来たぜ!」
サクラの問いかけに、ストックは俺凄いだろ張りのドヤ顔を決めて答えた。
「……ストック。」
「なんだ? 俺の凄さに今更気付いたのか?」
「夫婦漫才してねぇで、そういう事はさっさと言えや!」
ストックの頭を思いっ切りサクラは叩き、早く報告しなかった事を怒った。
「す、すいません。」
「で、拠点の場所は?」
「岩山の中央部にある、洞窟が拠点だ。敵の本陣の少し手前辺りだな。」
サクラは。ストックからの報告を聞いて、今後敵本陣を攻めるか、タンジー大将を攻めるか、守りを固めるかの検討を始めた。
「……タンジー大将の部隊は。旗を隠して全員で行動していたってことか。よし。決めたぞ! 俺達は本陣に全ての旗を残して全員で出撃する! 狙うはタンジー大将の拠点! 奪われた旗を取り返すぞ!」
「それだと旗の守りがいなくなるぞ!?」
「タンジー大将は強い。下手に人数を分散して負けるくらいなら、全力で戦った方がいいだろ?」
「……だな。よし、やるか!」
サクラの話にデイジーが納得し、他のメンバー達も同意したため、本陣に旗のみ残し、サクラ達80人はタンジー大将の拠点へと攻め込むのだった。
次回はタンジー大将部隊への反撃です!




