アカンサスの実家〜寝れると思うなよ〜
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アカンサスの祖父の悪戯により、布団が敷き詰められた一室。
東側に5組、西側に6組の布団が並べられている。
そこで寝ることを女性陣が同意した為、寝ることになったのだが、ボタンの一言で、場が戦場となる。
「……女性と男性に別れるのも味気ないアルね。」
「え? 寝る場所は、男女で別れていいんじゃない!」
ボタンの言葉に、動揺したアカンサスが応えた。
「でも旅の途中は、野宿でも宿屋でも別々だし、たまにはいいんじゃないかアル?」
「そ、それはそうかも知れないけど。どうやって決めるの?」
ボタンの説明に、アカンサスも折れかけていた。
「そんなのないアル! 困った時は、サクラアル!」
ボタンはアイデアも無く言い出した為、サクラに丸投げしたのだ。
「はぁ? ……丸投げかよ。ん〜じゃあトランプで決めるか。」
サクラがネペンテスから取り出したのは、前の世界と同じ作りのトランプである。
勿論この世界にトランプなんて物は、存在していなかったが、サクラがトランプとルールをこの世界に広めたのだ。
トランプはこの世界で大ヒット商品となり、安価で購入出来る為、市民にも多く知れ渡っている。
「1からKのカード、一セットを裏返して出すから、みんな一枚ずつ引いて、引いた数字の大きい人から寝る場所を決めるってのでどうだ? Kが一番大きくて、1が一番低いからな。」
サクラの説明に、みんなが賛成を示すように頷いて応えた。
サクラは1からKのトランプを一セット作り出し、シャッフルして裏返しで前に差し出したのである。
何だかんだみんなノリノリだったようで、念じながらトランプを引いている感じであった。
「じゃぁ、俺は残ってる中から一枚選ぶよ。」
サクラはみんなが引いた後の、残されたトランプの中から一枚を選択した。
「クロは、Kなので一番です。」
クローバーは一番最初なので、あまり考えることも無く、西側の一番奥を選択した。
「次はQだから俺だな。」
ストックは、本当はど真ん中に行って女の子に囲まれたい願望があったのだが、流石にど真ん中に行きにくかった為、クローバーの隣である、西側奥から二番目を選択した。
「……次はJだから私ね。」
アイリスは、サクラの後に決めたかった為、少し不満そうな表情を浮かべながらも東側の一番手前を選択した。
「……10番。」
ウメは、少し考えてから東側の一番奥を選択した。
「オイラ9番ッス。……ここッス。」
リンドウは意を決して、ウメの隣を選択した。
リンドウが東側奥から二番目のウメの隣を選択したことで、ウメは頬を赤く染めて嬉しそうにしていたのだった。
「俺様が8だな。」
オロチは西側の手間から二番目、ストックから一つ間を空けた場所を選択した。
ラッキーセブンと6を引いた者はいなかったので、次は5を引いたものとなる。
「私、5番だ。」
アカンサスはストックの方を見て、少し迷いながらもストックとオロチの間を選択した。
「俺の隣が良かったのか?」
「ば、馬鹿なこと言わないでよね。 オロチ姉の隣が良かったのよ。」
ストックの発言にアカンサスは、顔を真っ赤にしながら反論していたのだが、それを聞いていたストック以外のメンバーは、西側一番手前てもオロチの隣になれることに気が付いていた。
「……4よ。」
カトレアは、サクラに目を向けた後にアイリスにも目を向け、東側手前から三番目、アイリスと一つ間を空けた場所を選択した。
「俺が3だな。」
サクラは迷うことなく、アイリスとカトレアの間を選択した。
「宜しくね。」
「寝られるかしらね。」
アイリスとカトレアは、頬を赤く染め、嬉しそうな表情を浮かべていた。
「僕が2だ。」
デイジーも迷うことなく、西側の一番手前を選択した。
「1アル!」
ボタンは一番低い数字を引いた為、落胆していたのだが、結果的にデイジーの隣の布団をゲット出来た為、喜んでいた。
「言い出しっぺは1だったんだね。」
デイジーが笑いながら、ボタンに話し掛けた。
「そうアルね。……私が隣で嬉しいアルか?」
「勿論嬉しいよ。」
ボタンはデイジーをからかうつもりが、デイジーに笑顔で返されてしまい、不意を突かれた為、頬を赤く染め黙り込んでしまった。
「……ボタン照れてる。」
「ち、違うアルよ。」
妹のウメに指摘され、ボタンは慌てて否定したが、周りのみんなは笑顔でボタンを見ていたのだった。
「このまますぐ寝るのも何だし、なんかみんなで出来る遊びとかないかな?」
アカンサスの言葉に、みんなの目線が一斉にサクラへと注がれた。
こうして、寝る配置が決まったのだが、アカンサスの一言により、サクラにはみんなで遊ぶゲームを求められたのだ。
「なら枕投げやらないか?」
サクラはこの一室に爆弾を投下した。
合計年齢40半ばのいい歳した奴が何を言ってるんだと思うかもしれないが、見た目は10代半ばなので、許して欲しい。
「枕投げ?」
みんなは枕投げという言葉を知らず、首を傾げていたため、サクラは枕投げの説明をした。
枕投げは公式ルールに則って、大将1、リベロ1、選手3にし、サポートは今回無しとした。
大将は一番重要な役割で、大将エリアからは残り30秒まで出ることが出来ず、大将を当てられたチームは負けとなる。
リベロは掛け布団を持ってリベロラインという、一番前で盾役となって枕を防ぎ、残り30秒になったら、掛け布団を放棄して、他の選手と同様に枕を投げて攻撃する。
一試合は、2分として三セット行い、先に二セット先取した方の勝ちとなる。
また、枕をキャッチするのはアウト判定となり、避けるのみである。
アウトになった選手は、布団に戻って寝ることになる。
今回は、先生がきたぞぉーー! ルールは無しとした。
「俺様が横で時間数えてやるよ。」
オロチは参加せずに、審判を務めることになった。
「なら、クロが西側に行けば5対5です。」
クローバーが西側の陣地に移動した。
サクラ達の枕投げ大会は、大いに盛り上がり、盛り上がり過ぎたため、アカンサスの母スピノサスに怒鳴られてしまい、試合終了となった。
「はしゃぎ過ぎちゃったね。」
「楽しかったな。」
アカンサスは母親に怒られたが、枕投げに満足しており、返事をしたストックだけでなく、みんな楽しめたようだった。
この後、各々好意を寄せるもの通しが隣で寝ていた為、暫くの間談笑し、部屋の明かりが消された。
しかし、部屋の明かりを消しても隣が気になってしまい、翌朝目の下に隈が出来ていた者が多かったのだった。
寝ている時の談笑のお話は、秘密です。




