グラナダ王国〜魔法サッカー〜
昨日で、投稿5ヶ月を迎えました。
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サクラ達は、無事にグラナダ王国に辿り着き、パキラと別れ、先生達と合流を果たした。
ハルジオン先生とネモフィラ先生に、シルビア村での出来事を説明したのだ。
ドクダミ山賊団を討伐した話をしたら、先生達に、そんな危ない連中と戦ったのかと驚かれた。
まだ、ドクダミ山賊団だけでなく、冒険者の中に、魔神崇拝教団の者が居たことも伝えた。
「大変だったな。よく無事にここまで辿り着けたな。流石俺の教え子だ。」
ハルジオン先生は、サクラの肩を叩きながら豪快に笑った。
「ハルジオン先生、笑い事ではないですよ。みなさん、あまり無理はしちゃダメですよ。」
ネモフィラ先生は、そんなハルジオン先生を注意し、サクラ達にも気をつけるように注意した。
「分かりました。でも、目の前で助けを求められて、俺に救う力があるなら全力で助けたいです。」
サクラは、力強い目でネモフィラ先生に応えると、他のみんなもサクラと同じ気持ちだったため、頭を上下させ、それを見たネモフィラ先生は、目に涙を浮かべながら感心していたのである。
「国王様との面会は、明日の朝だ。今日はゆっくり休むといい。」
ハルジオン先生の言葉を受けて、サクラ達は宿屋で一夜を明かしたのだった。
翌日、グラナダ王国の王城にて、グラン国王の前にサクラ達は整列していた。
「おおーー! そこにいるのは、サクラ、アイリス、カトレアではないか! 懐かしいのぉ!」
グラン国王は、見た目は威厳たっぶりなのだが、見た目と性格はマッチしておらず、フレンドリーな性格をしている。
「ご無沙汰してます。グラン国王様。」
サクラ、アイリス、カトレアは、各々グラン国王に挨拶を交わした。
「サクラの発案した制度や商品のおかげで、我が国の経済情勢は鰻登りじゃ!」
グラン国王の言葉通り、サクラはシルビア村で数々の制度や商品、アイデアを提供し、グラナダ王国もシルビア村に習って、サクラの発案を取り入れたおかげで、貧民街が無くなり、移住者の波が押し寄せて国民の数もかなり膨れ上がったのである。
「それは良かったです。」
サクラは、自分の力と言うよりも、神様から戴いた力なので、みんなの為に使っただけなのである。
「積もる話は、また後でじゃな。まずは、先生方の話を聞こうかの。」
やっと話を振って貰えたハルジオン先生は、学校長からの言伝や、サクラ達がドクダミ山賊団を討伐したことなどを真剣に説明した。
「成る程の。我が国の民を救ってくれたこと、感謝する。分かった。我が国も全力を挙げて魔人を討伐するのじゃ。」
グラン国王は、ハルジオン先生の話を聞き入れ、力強く魔人討伐を宣言した。
「それでは、この後は我が国の兵達と合同の訓練となります。皆さまは、10人で1チーム組んでいると伺っていますので、10対10の試合を行いたいと思っています。宜しいでしょうか?」
グラン国王の脇に控えていた大臣が、合同訓練の説明を行った。
「分かりました。よろしくお願いします。」
ハルジオン先生が了承したため、俺達は訓練場へと移動を開始することとなった。
訓練場は、広大な範囲であり、白線により大型の長方形の形をしたコートが10個設けられていた。
「……来たな。私はグラナダ王国の総司令官のブバルディアだ。本日の合同訓練だが……10対10の魔法サッカーを行う!」
30歳くらいの赤髪短髪の屈強な身体付きをした男、ブバルディアが、サッカーをやると口にした。
「……? サッカーって何?」
クラスメイトの大半がサッカーを知らなかったようで、皆首を傾げていた。
それもそのはずで、元々この世界にサッカーは無かったのだ。
サッカーを広めたのは、勿論サクラだ。
この世界にはちゃんとしたスポーツが無かったため、地域のみんなで交流したり、身体を動かすためや、子供の遊びに良いと思い、サクラがシルビア村で説明したところ、爆発的に火が付き、グラナダ王国中で大人気となり、今では年に一回の地域対抗戦まで行われるようになっているのだ。
そして、これを更に発展させたのが魔法サッカーである。
転移魔法をボールに付与してのゴール禁止など、いくつか縛りはあるが、魔法を使ってのサッカーである。
敵のボールをゴール前に土の壁を作り上げて塞いでもいいし、ボールを操作して、ゴールに入れてもいいのである。
魔法サッカーは、楽しみながら魔法の訓練が出来、且つ、戦局の見極める力を高められると、軍部で好評となり、度々魔法サッカーが行われているのだ。
「本当は11対11なんだが、今日は特別に10対10でやる。」
ブバルディアは、やる気満々な顔をしていた。
この後、細かいルール説明を受け、10対10の試合が開始されることとなった。
オロチは、ザクロが抜けたチームにちゃっかり入って参加しようとしていたのをサクラは気が付かなかった。
次回
キックオフ!




