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シルビア村の攻防〜サクラ対ゲウム〜

 カトレアとオオバコが戦闘を開始した頃、サクラとゲウムの戦闘も開始された。


「懐かしいな。あれからお前がどれ程強くなったのか楽しみだ。」

 ゲウムは、二本の短剣を素早く振り、サクラへ反撃の隙を与えなかった。


「あの時、俺を仕留めなかった事を後悔させてやるよ!」

 サクラは、ゲウムの素早い短剣の動きに対応していた。


「速度を上げるぞ! “黒風の衣(ノワール・ヴァン)”!」

 ゲウムは、身体に闇属性と風属性を纏い、更に攻撃の速度が上昇し、サクラを押し始めたのである。


「まだまだ! “雷光形態(ライトニングフォーム)”!」

 サクラも、身体に雷属性と光属性を纏い、更に速度を上げて、ゲウムの攻撃に対応してみせたのである。


「やるじゃないか! “死の風(モールヴァン)”!」

 ゲウムは短剣で攻撃しながら魔法を唱え、短剣に闇属性と風属性の混合魔法を付与して、短剣を振り、短剣の威力が上昇しただけでなく、間合いを取っていたサクラに対して、黒い風の斬撃が何発も襲いかかったのである。


「奥義“御衣黄(ぎょいこう)”」

 サクラが草薙剣に、風属性と光属性を付与して高速で一回転すると、サクラの周りに淡緑色の光を放つ防御壁が展開され、ゲウムの放った死の風を全て弾いた。


「ほぉ。これだけやっても破れないか。」

 その後も、ゲウムは死の風を何度も放つが、サクラの御衣黄は破れることは無かった。


 サクラは、落ち着いてゲウムの様子を観察し、反撃の隙を窺っていた。


「これも防げるかな? “黒の隕石(ノワールメテオリット)”!」

 ゲウムは、大量の魔力を込めて空中に闇属性の巨大な塊を作り出し、サクラ目掛けて落としたのだ。


 サクラ目掛けて落とされた黒の隕石は、サクラの展開した御衣黄に衝突し、轟音と衝撃を辺りに撒き散らし、一瞬の拮抗の末、御衣黄が黒の隕石に押し潰されたのである。


「ふっ。こんなものか。」

 ゲウムは、サクラを防御壁ごと押し潰したと思った。


「貰った! “雷炎突き(サンダーブレイズ)”!」

 転移魔法により、ゲウムの背後から現れたサクラは、雷属性と火属性を付与した草薙剣を突き刺した。


 ゲウムは叫び声も上げずに、草薙剣に身体を貫かれた。


「ん? これは!?」

 サクラは手応えの無さを感じ、冷や汗を流していた。


「残念。“死の舞(モール ダンス)”!」

 ゲウムは、闇属性の私の影(モン オンブル)を発動し、サクラの攻撃を回避し、サクラが油断したところで、双短剣による、流れるような連続攻撃を繰り出したのである。


「くぅ!? “鋼鉄の体(スチールボディ)”」

 サクラは何とかダメージを減らそうと、金属属性を身体に纏い、銀色の鋼鉄の体となった。


 この金属属性は、サクラが長年の修行により身に付けた属性の一つであり、この他にもまだ多数の属性を操ることが出来る。


「何だその身体は!?」

 ゲウムの短剣がサクラの身体に当たる度に、金属同士がぶつかり合う、甲高い音が鳴り響いていた。


「離れろーー! “衝撃波(ショックウェーブ)”」

 サクラはゲウムの攻撃を防ぎつつ、衝撃属性と風属性を発動し、身体から衝撃波を発し、ゲウムを吹き飛ばすことに成功したのである。


「ぐっ!? このガキがぁーー!」

 ゲウムは、吹き飛ばされながらも空中で態勢を立て直し、直ぐにサクラへ駆け出した。


「くたばれ! “絶対的な(アブソリュ)(オプスキュリテ)”!」

 ゲウムの発動した魔法により、ゲウムとサクラは、闇のドームの中へと姿を消したのである。


「……何も見えない。」

 サクラは目を凝らすが、目には暗い闇以外何も見えなかった。



 ゲウムはその中でも不自由なく動くことが出来、サクラへとヒットアンドアウェイを繰り返したのである。


 ゲウムの猛攻が続くが、サクラは鋼鉄の体を維持していた為、致命傷を負うことは無かった。


 サクラは見えない状況で身体に次々と短剣で斬り付けられ、精神的にはかなり焦っていた。


 しかし、焦っていたのはサクラだけでは無かった。


 絶対的な闇を発動したゲウムではあったが、サクラの高い防御を突破出来ず、焦りが出始めていたのである。


「手数を増やしてもダメならこうするまでだ! “風の鋸(ヴァンシー)”!」

 ゲウムは双短剣に風属性で作り上げた鋸を付与して、サクラの鋼鉄の身体を削るように双短剣を使用し始めた。


 すると、今まで弾いていたサクラの鋼鉄の身体が徐々に削られ始めたのである。


「くぅ!? “閃光弾(フラッシュボム) ”」

 サクラは、これ以上攻撃を受け続けるのは危険と判断し、光属性の宣告弾を発動したのである。


「がぁ!?」

 ゲウムは、暗闇に慣れ始めて来たところであり、サクラへ攻撃を仕掛ける直前であったことから、サクラを良く見ていた為、サクラの放った閃光弾をモロに見てしまったのである。


「終わりだ! 奥義"染井吉野“!」

 サクラは瞬時に鋼鉄化を解除し、火、風、雷、光の属性を身に纏い、高威力の五連撃を繰り出した。


「ぐはぁ!」

 サクラの染井吉野がゲウムに直撃し、ゲウムは仰向けに倒れ、絶対的な闇が解除された。


「はぁはぁ、ふぅ〜、よし。」

 サクラは呼吸を整え、ゲウムが起き上がれないことを確認し、息を吐き出した。


 サクラがゲウムを倒して周りを見ると、丁度カトレアがオオバコを倒したところだった。


 サクラはカトレアへ近付こうとしたところで、南地区、西地区、東地区から信頼の絆で連絡が入った。


 どこの地区も無事に山賊達を退治出来たというものであり、今後の対応についての連絡だった。


 サクラが声を発しようとしたところで、山賊頭ドクダミと戦っていたギルドマスターのクフェアが、サクラの下へ血だらけで吹き飛ばされて来たのだった。


 《手が空いて動けるようなら、北地区に来てくれ!》

 サクラは、皆んなに応援を求めると、カトレアにクフェアの回復を支持して山賊頭ドクダミと対峙したのだった。


御衣黄は、サトザクラ群のサクラだそうです。


いよいよ、山賊頭との戦いへと移行します!

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