シルビア村の攻防〜西地区1〜
更新ボタン押す前に、寝落ちしてしまいました(>人<;)
オロチ、ストック、アカンサスは、受け持ち区の配置箇所を探しながら、村人の避難誘導を行っていた。
「早く中央へ避難しろ。」
「おねぇちゃん怖くて動けないよ。」
オロチも避難誘導をしており、小さな女の子が一人で居るのを見つけて声を掛けたのだ。
女の子は泣きそうな顔をしている。
「一人か?」
オロチは女の子の目線まで腰を落とし、話し掛けた。
「うん。ママにおつかい頼まれてたの。」
女の子は、いきなりのことに恐怖し、一人で動けなくなってしまったのだ。
「ここに居たら危ねぇから、早く行きな。」
オロチは、女の子の頭に手を乗せて早く行くよう促したが、女の子は動こうとはしなかった。
「……怖くて動けないの。」
女の子は足を恐怖で震わせていたのである。
「……チッ。これだからガキは。」
オロチはグズグズしている女の子にイラついていた。
「オロチの姉御こっちは避難完了だ。」
「オロチ姉こっちも終わったよ。」
分担して避難誘導していたストックとアカンサスがオロチの下へ戻って来た。
「ん〜。アカンサス。コイツを連れてけ。」
オロチは、アカンサスに女の子を連れて行くよう命じたのである。
「逃げ遅れていたんですね。ねぇ君、お母さんは近くにいるの?」
アカンサスは優しく微笑みかけて、女の子を安心させようとしていた。
「ママは近くに居ないです。」
女の子はアカンサスの顔を見て、少し落ち着きを取り戻していた。
「お姉ちゃんが安全なところまで連れて行ってあげるね。」
アカンサスは女の子へ手を差し伸べた。
「!? 伏せろ!」
オロチの声に、ストックとアカンサスは直ぐに反応し、アカンサスは女の子を抱き抱えるようにして身を屈めた。
その瞬間、頭上を雷の魔法が通り過ぎたのである。
「きゃーー!?」
「うぉっ!?」
「きゃっ!?」
女の子、ストック、アカンサスは驚きの声を上げた。
「さっさと立て。敵だ。」
オロチは立ち上がって、敵を見据えていた。
オロチ達の前には、20名程の山賊が向かって来ていたのである。
「避けやがったな。」
黄色と白色の短髪に黄色の瞳をした長身細身の男が呟いた。
「ノゲシの雷を避けるとはやるな。あの美女は俺が絶対やる!」
紫色の長髪を一つに結んだ、長身細身の男が答えた。
「イヌタデ抜け駆けすんなよ! 俺もあの女がいい!」
黄色のキノコヘッドに緑の瞳をした小柄な男がイヌタデの横っ腹を小突いた。
「ふざけんなツワブキ。あれは俺がいただく!」
ノゲシもオロチのことが気に入っていた。
「……逃す暇が無くなったな。あの三人は中々強そうだ。」
オロチは、ノゲシ、イヌタデ、ツワブキしか眼中に無かった。
「走れる?」
アカンサスは女の子に声を掛けた。
「無理だよぉ。」
女の子は泣きながら首を振っていた。
アカンサスは困った顔でストックに目線を送った。
「戻って来るまでなんとかするから、その子を頼む。」
ストックの言葉にアカンサスは頷き、直ぐに中央部へ走り出した。
「雑魚は任せていいか?」
オロチは敵から目を逸らさず、ストックへ声を掛けた。
「オロチの姉御の頼みなら、漢ストックやってやります!」
ストックは親指を立てて応えた。
「女一人とガキが逃げたけどどうするよ?」
「ほっとけ。この女が残ってりゃ文句はねぇ。」
「お前らはそっちの男を殺したら好きに暴れていいぞ。」
ノゲシ、イヌタデ、ツワブキが言葉を発し、残りの山賊達はストックを相手にする為に、ストック側へと移動した。
「やってやるぜ。“点火”!」
ストックは火属性を身に纏い、トンファーを両手に装備して構えた。
「奴の装備は超近接武器だ! 遠距離から攻撃しろ!」
ストックに向けて、遠距離から弓矢や魔法が降り注いだ。
「ふ〜ん。狙いは悪くないけど。」
ストックはステップを刻み始めた。
ストックは、降り注ぐ弓矢や魔法を目で捉え切り、ステップやトンファーで迎撃を繰り返し、降り注ぐ攻撃を全てを潜り抜けたのである。
「何だと!?」
山賊達は、ストックが攻撃を潜り抜けられると思っていなかったため、驚愕していた。
「当たらなきゃ意味ないよな。“炎の猛威”!」
左右のトンファーの先端に炎を集中させると共に、打ち出す際に、ぶつかる側と反対の先端を爆発させて、威力を増幅させて攻撃を繰り出した。
ストックの入校当初の技は、先端に炎を纏うだけであったが、日々の訓練により、技のレベルが数段階上昇したのである。
「ぐぁ!?」
「がぁ!」
「んぎゃっ。」
ストックの怒涛の攻撃に、ストックに狙われた者は成すすべなく、撃沈して行った。
「まだまだ! “火・回転”!」
ストックは足に火を纒い、回転蹴りを喰らわせたのである。
「うわぁ!?」
「は、離れろ!」
ストックの回転蹴りにより、数名が吹き飛んだのである。
「さっさとかっかってこい!」
ストックの言葉に、山賊達は迂闊に近付けないでいたのだった。
西地区の攻防の始まりです!




