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山賊退治へ

 サクラ達一行は、キャトレイ辺境伯からドクダミ山賊団の根城として伝えられた、裏山へと向かっていた。


「ドクダミ山賊団って、結構有名は山賊よね?」

 アカンサスが不安そうな顔で、周りに声を掛けた。


「そうアルね。うちの国でもちょいちょい悪さしてるアルよ。」

 ボタンの国にもドクダミ山賊団の者が悪さをしていたようだ。


「僕の国でも、商隊が襲われたと言う報告を何度か耳にしたことがあるね。」

 ドクダミ山賊団は、デイジーの国にも手を出しているそうだ。


「山賊の規模って、100名なんスよね?」

 リンドウは、敵の戦力を確認した。


「一応100名とは聞いてるけど、しっかり数えた訳じゃないだろうから、誤差はあるだろうけどな。その内、何人強敵がいるかも分かってない。」

 リンドウの問いに補足してサクラが答えた。


「そろそろ目的地に着くのかな?」

 アイリスは、周囲を見回してアジトを探していた。





「きゃーー!」

 女性の悲鳴が聞こえて来たのである。


「行くぞ!」

 サクラ達は瞬時に悲鳴がした方へ駆け出した。




 時は、悲鳴の少し前に遡る。


「グヘヘへへ。その積荷は、俺達ドクダミ山賊団が戴く!」

 薄汚い衣服に悪そうな人相をしている10名の山賊達が馬車を囲んでいる。


 馬車の近くでは、馬車を引く御者と思われる者が血を流して横たわっていた。


「こ、これは、お客様から頼まれた大事な品です! 渡す訳には行きません!」

 20歳くらいの綺麗な女性が山賊に怯えながらも必死に訴えた。


「ほおぉーー。いいねぇ、俺は強気な女をいたぶって屈服させるのが大好きなんだよ。」

 山賊の一人が舌舐めずりをしながら、女性へと近付き始めた。


「い、いや、来ないで!」

 女性は目に涙を浮かべながら後退りしていた。


「逃げられる訳ねぇだろ。オラ、さっきみたいに強気に来いよ。まだ、何もしてねぇだろ?」

 山賊は、ゲスな笑みを浮かべていた。


「誰か、誰か助けて。」

 女性は尻餅をついて、助けを求めた。


「積荷持って帰る前に、ここでやってから行こうぜ!」

 山賊は女性の服へ手を伸ばすと、衣服を破りさった。




 ビリビリビリ




「嫌、あ、や、やめて。」

 女性は片腕で山賊に抵抗し、もう片方の腕で身体を隠していた。




「いいねぇ〜!」


「次俺の番!」


「早くやれよ!」


「アジト連れ帰ってからにしようぜ。」


「馬鹿、アジト連れ帰ったら、俺らの番は最後の方だぞ!」


「ここで楽しんでからでもいいだろ?」


「こんな山奥に助けに来るような奴なんかいねぇだろ。楽しもうぜ。」




「お願い、誰か。」

 女性は涙を流しながら、必死に助けを求め続けた。


「残念だったなぁ〜。」

 山賊が女性の首筋を舐め回した。





「んぐがっ!?」


「残念だったな。」

 サクラは片手で山賊の首を絞め付けて、ゴミを見るかの様な冷たい目をしていた。


「ふぇ?」

 山賊に襲われていた女性は、突然現れたサクラに目を奪われた。


「“落雷(サンダーボルト)”」

 山賊を女性から引き剥がしたサクラは、山賊に落雷を喰らわせた。


「アババババババババババババババ……。」

 山賊の身体からは黒い煙が上がり、ピクピクと痙攣していた。


「これで暫くは起きて来ないだろう。大丈夫でしたか?」

 サクラは山賊が気絶しているのを確かめ、襲われていた女性に声を掛けた。


 サクラが女性に目を向けると、女性はいきなりサクラに抱きついてきたのである。


「へ?」

 女性は衣服を剥がされて、上半身には何も身につけていないため、女性の膨よかなものが身体に当たっており、サクラは動かなくなっていた。


「怖かったです。……助けてくれてありがとうございます。」

 女性の身体が震えていることに気が付いたサクラは、女性の頭を撫で、「もう大丈夫ですよ。」と優しく声を掛けたのである。



 その瞬間に、サクラは一瞬自分が殺されるかと感じた。



 勿論、そんなサクラが死を感じるほどの殺気を放ったのは、アイリスとカトレアである。


 このままの状態は、男としてかなり嬉しい状況だったが、確実に後で殺されると思い、サクラはネペンテスから女性が着られる衣類を取り出して、女性に差し出した。


「これを使って下さい。」

 サクラが取り出して手渡した衣類を見た女性は、自分が裸だったことを思い出して、顔を真っ赤に染めて衣類を受け取って、素早く身に纏った。


「あ、ありがとうございます。私はパキラと言います

 。」

 パキラは、顔を赤くしたままサクラを見上げていた。


「俺はサクラと言います。」

 サクラはパキラが名乗ったので、笑顔で自分の名前を口にした。


「サクラ様ですね。危ないところを助けていただき本当にありがとうございます。サクラ様はどうしてこんな所に?」

 パキラは裏山の道を進んでおり、それ程人通りは多くない上に、今は山賊の根城があると噂されているため、滅多に通る人はいない。


「山賊討伐に向かう途中なんです。パキラさんはどうしてこの道を?」

 サクラは簡潔にパキラの質問に答え、何故パキラが危険な道を通っていたのか疑問だった。


「山賊討伐ですか!? 凄いですね! 私はグラナダ王国の王都に住んでいるのですが、作物や不足している地域からの依頼の品を買い付けた帰りだったんです。早く物資を届けてあげたくてこの道を通ったんですが、この有様です。」

 パキラは、自分の判断の甘さを悔やんでいた。


「そうだったんですね。う〜ん、王都まで転移してあげたいのですが、王都までとなると距離がありますね。魔力消費が多いので、山賊討伐を考えると厳しいですね。申し訳ありません。」

 俺としては、転移してあげたい気持ちはあるのだが、山賊達に腕利きがいると不味いので、あまり多くの魔力を消費したくないのが本音だ。


「そんな!? 助けていただけただけでも感謝しています! 大丈夫です。自分でなんとかしますから。」

 パキラは、両手を前に出してブンブン振っていた。


「シルビア村までこの山賊達を一旦転移させようと考えているので、パキラさんもシルビア村で少し待ってて頂ければ、山賊討伐後にグラナダ王国まで転移で送りますよ。俺達もこの後にグラナダ王国に向かう予定なので、今から馬車で向かうのとそれ程変わらないと思いますよ。」

 こいつらをこのままにしておいても仕方ないので、一度転移する予定だったので、パキラさんが増えても問題ないだろう。


「サクラ! 増援が来たわよ!」

 アイリスの声がサクラへと届いた。


 周りを見ると、最初に居た山賊は全て倒し終えていた。


 サクラが周りをそれほど気にしていなかったのは、みんなの力を信頼していることと、信頼の絆を全員が装着しており、念話で戦況が分かっていたためでもある。


「さっさと片付けるか。パキラさんは馬車のところで、身を隠していて下さい。」

 サクラはそう言うと、ネペンテスからクリスタルソードを取り出した。


「え? そのクリスタルソード……。」

 パキラは、サクラが取り出したクリスタルソードに目を奪われた。


「ん? このクリスタルソードがなにか? これは十数年前に倭国の武闘会で買ったやつですよ。」

 サクラはそれだけ答え、増援として到着した山賊達を蹴散らしに向かった。




「あれって、父さんが100万コインで売ったクリスタルソード!? 何でサクラ様が? あれはヤマト様に売ったものなのにどうして?」

 パキラは、サクラが3歳の頃に出場した武闘会の際に、クリスタルソードを売った商人の娘だったのだ。







48話目に登場している女の子の再登場回でした。


パキラ→発財樹といわれる商売繁盛の木だそうです。《観葉植物》

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