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黒幕は誰だ?

外せない私用と仕事のバタバタで更新遅れて申し訳ありません。

 アイリスは対戦相手のユウガオ隊長が、昨日の襲撃者と知り驚いていた。


(この人との面識は今日が初めての筈。誰かに命令されて私を襲って来たのかしら? それなら、この試合も仕組まれたものの可能性が高いわね。)


 アイリスは、ユウガオ隊長との間合いを確保したまま油断なく構えていた。


 私は、取り敢えずユウガオ隊長以外の人が試合に乱入してくる可能性もあると考え、外のことはサクラに任せようと思い、信頼の絆による念話を使用したのだ。


 《サクラ聞こえる?》


 《ん? 戦闘中にアイリスが念話なんて何かあったのか?》


 《ユウガオさんが、昨日私を襲撃した犯人だよ。》


 《何だって!? どうして分かったんだ?》


 《私の音属性で、ユウガオさんの心臓音と昨日の襲撃者の心臓音が同じって分かったの。》


 《成る程ね。心当たりは?》


 《全然無いよ。》


 《了解。指示を出している奴がいる可能性が高いな。》


 《私も同じ考え。》


 《取り敢えず、戦闘中は相手の動きに気をつけるんだぞ。》


 《分かってる。外のことはお願いね。》


 アイリスは、念話を打ち切って戦闘に集中した。


「ちょこまかと! これでも喰らえ“切り刻む風(メランジュール)”!」

 ユウガオ隊長は、渦を巻いた風をいくつも作り出して、アイリスへと放った。


「はぁーー! “反射の盾(レフレクシオン)”」

 アイリスは、盾を構えて反射魔法を発動した。


 ユウガオ隊長の放った切り刻む風がアイリスの盾に次々と衝突し、アイリスを押し込むが、アイリスの盾が眩い光を放った瞬間、ユウガオ隊長の放った切り刻む風を跳ね返したのだ。


「なんだと!?」

 ユウガオ隊長は、ギリギリの所で回避して直撃を免れたのである。


 間をおかずに、アイリスはユウガオ隊長へと斬りかかり、次々と攻撃を繰り出し、アイリスが優勢な状況となった。


 ユウガオ隊長の身体には、徐々に傷が増え始め、見学していた者達は、直ぐに試合終了になるだろうと思っており、アイリス自身もそう思っていたのである。


 一瞬ユウガオ隊長の視線が、イリス女王の方へと向いたのをサクラは見逃さなかった。


「殺せ。」

 アイリスを殺そうと企んでいる者が、小さくつぶやいた。


「……くだばれ。“死の風(モールヴァン)”!」

 ユウガオ隊長の身体から膨大な魔力が溢れ出し、魔法が放たれた。


 その直後にアイリスは、苦し気な表情を浮かべ、盾と剣を手から離し、両手で喉を抑えながら地面に倒れた。


「アイリス!?」

 俺はアイリスが盾と剣を手から離して喉を抑えた瞬間に、アイリスの下へと駆け出していた。


 《カトレア、オロチ、周りの警戒をしていてくれ!》


 《分かったわ!?》


 《あいよ。》


「おい、アイリス! アイリス返事をしろ! アイリス!」

 アイリスの下へ辿り着いた俺は、地面に倒れたアイリスの肩を叩きながら、名前を呼ぶが反応はなかった。


「……ふっ。」

 ユウガオ隊長は、サクラがアイリスに着く直前に、風属性魔法、死の風を解除していた。


 サクラは、アイリスが目を閉じたままで、意識が無く、胸の上下運動も無いことから、呼吸もしていないと判断した。


「死ぬなアイリス!」

 俺は直ぐにアイリスの気道確保をして、アイリスの口に自分の口を付けた。


 俺自身、前の世界でも今の世界でも心肺蘇生法なんてやったことはないが、知識だけはあるので、知識を引っ張り出して、アイリスの救命活動を行った。


 俺が行なった心肺蘇生法は、酸素を送るイメージを持ち、風属性の魔法を使用しての人工呼吸だ。


 更に、雷属性を掌から発動して、何度も電気ショックを行なったのだ。


「戻って来いアイリス!」

 中々電気ショックの効果が現れず、俺は精一杯アイリスの名前を叫んで、電気ショックを行なった。


「コホッコホッ……あれ、わ、たし。」

 アイリスは、無事に意識を取り戻してくれた。


「アイリス!? 良かった。」

 サクラは無事に生還したアイリスを抱き締めたのである。


「……ごめんね。心配掛けて。」

 アイリスもサクラを抱きしめ返した。


 サクラとアイリスが抱擁を終えて立ち上がると、ハルジオン先生とネモフィラ先生が近付いて来た。


「大丈夫かアイリス?」

「何処か具合の悪いところはある?」

 先生達は、アイリスの負傷具合を確認した。


「大丈夫です。御心配お掛けしてすいません。」

 アイリスが深く頭を下げると、先生達はアイリスは悪く無いと言ってくれた。


 そして、先生達は総司令官のルドベキアと対戦相手のユウガオ隊長へと鬼の形相で向かって行った。


「これは訓練です! 明らかにやり過ぎですよ!」

「うちの生徒が殺され掛けたんだ。しっかり説明してもらいますよ。」

 ネモフィラ先生とハルジオン先生は、語気強く言い放った。


「うちの訓練はこれくらいが当たり前です。」

「敵が先程のような魔法を放つ場合もあるかも知れません。臨機応変な対応が出来なければ命を落とすだけです。」

 総司令官のルドベキアとユウガオ隊長は、全く悪びれた様子も無く、飄々とした態度で応えたのだ。


「何だと!?」

「納得出来ません!」

 ハルジオン先生とネモフィラ先生は、相手の言い分が納得出来るものでは無かった為、更に言い返すが相手にされていない様子であった。


「先生。私は大丈夫ですから。」

 被害者であるアイリスの言葉に、ハルジオン先生とネモフィラ先生は怒りを抑えた。


「念の為、アイリスさんは医務室へ行きましょう。」

 ネモフィラ先生がアイリスを医務室へと連れて行こうとしたので、俺とカトレアとオロチも付いていくことにした。


 合同訓練については総司令官のルドベキアに、ハルジオン先生が生徒達に危険な事はさせないよう注意し、生徒達には無理と判断したら見学させることで合意し、合同訓練が行われることとなった。



 サクラは、アイリスに肩を貸して医務室へと向かった。


 医務室へ着いて直ぐに部屋がノックされた為、サクラが扉を開けるとイリス女王が立っていたのである。


「イリス? どうしたんだ?」

 俺はなぜイリスが来たのか理解できずに、理由を問いただした。


「……アイリスに謝罪を。あの様な事は、許されるものではありません。本当に申し訳ありません。」

 イリスは、暗い顔をしてアイリスへと謝罪した。


「……イリスに聞いてもらいたい話があるの。入って。」

 アイリスは、イリス女王を部屋に招き入れた。


「あ、あの。聞いてもらいたい話って?」

 イリス女王は、アイリスが何を言ってくるのか見当もつかないでいた。


「私は、昨日何者かに襲撃されました。」

「え?」

「何ですって!?」

 アイリスの告白に、イリス女王だけで無く、同行していたネモフィラ先生も驚いていた。


「先程の対戦相手のユウガオ隊長と言う方が、私を襲った人です。」

 アイリスが襲撃者の名前を口にして、更に驚きの声が上がった。


「な、何故分かったのですか?」

 イリス女王は、アイリスが襲撃者をユウガオ隊長と決め付けた理由を問いただした。


「私の音属性で、襲撃者の心臓の鼓動音などを一度耳にしています。ユウガオ隊長は、その襲撃者の音と一致しています。それに、先程の魔法の件もあるので間違いないでしょう。」

 イリス女王とネモフィラ先生は、開いた口が塞がらなかった。


「それと先程の試合中に、()()と小さくですが口にしていた者がいます。」

「ユウガオがアイリスに魔法を放つ前に、目配せした奴を俺も見ているぞ。」

 俺とアイリスは、黒幕と思われるものを見つけていたのである。


「だ、誰なんですか?」

 イリスは、誰が黒幕なのか全く見当もつかないでいた。


「「クロヴィス・ニベア!」」

 俺とアイリスの声が重なった。

黒幕と思われる者が判明!?

どうやって黒幕を追い詰めるのか?

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