襲撃者判明?
前回のお話
アイリスが何者かに襲われました
サクラ達は宿屋で、アイリスから何者かから襲撃されたことを聞かされた。
「一体誰なんだ?」
アイリスが襲われた時の状況を細かく聞く限りでは、確実にアイリスを狙ってのものと思われる。
「心当たりは無いのかしら?」
カトレアもアイリスに思い当たることは無いのか確認するが、アイリスは首を横に振って応えた。
「物盗りって言うより、殺しに来ている感じだから怨恨かな? この辺に住んでた頃に誰かに恨みを買っていたとか?」
デイジーも可能性は低いと分かっているが、アイリスに確かめた。
「恨みを買うようなことはしてなかったと思うし、ここに来てから昔の知り合いには会っていないよ。」
アイリスは怨恨の線を否定した。
「イリス女王に似てるから間違われたアルか?」
ボタンも可能性の一つとして意見を上げた。
「似てるけど、髪の色が違いすぎるだろ。」
ストックの言う通り、一目見ただけで髪の色の違いは分かる。
「……髪の色を変えたと思われたらあり得る。」
ウメは髪色が違うだけなら可能性があると発言した。
「そう言われると、そうも考えられるッスね。」
リンドウは、ウメの発言に賛成した。
「でも、女王様が一人で街中を歩くとは思わないんじゃ無いかな。」
クローバーの言葉に、一同声を唸らせた。
「私的には、イリス女王様の母親が怪しいと思う。」
アカンサスは、イリス女王様の母親を疑っていた。
「う〜ん。根拠は?」
俺はあまり怪しいとは感じなかったんだが、アカンサスは何処が怪しいと思ったんだろうか。
「そんなよ勘よ!」
アカンサスの言葉に、一同はため息を漏らした。
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ここは王城のとある一室。
「すみません。襲撃は失敗に終わりました。」
アイリス襲撃の犯人が黒幕へと報告していた。
「あなたが失敗するなんて珍しいわね。」
黒幕は、失敗を怒るのことは無かった。
「予測以上の手練れのようでして、此方の居場所を直ぐに割り出された為、止むを得ず襲撃を切り上げました。」
襲撃者は、アイリスの実力を低く見ていた為、撤退を余儀なくされたのだ。
「全く目障りな女。まだチャンスはあるわ。」
黒幕は不敵な笑みを浮かべていたのだった。
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襲撃翌日は、倭国同様、メロヴィング王国の兵士との訓練時間が設けられていた。
俺達は、メロヴィング王国の訓練場へと通されたのである。
「引率のハルジオンとネモフィラです。本日はうちの生徒達に厳しい指導をよろしくお願いします。」
ハルジオン先生とネモフィラ先生がメロヴィング王国の兵士へ挨拶していた。
「こちらこそ、よろしくお願いします。私はメロヴィング王国総司令官のルドベキアです。」
総司令官のルドベキアは、40代の女性で黄色のロングヘアーにブラウンの瞳をした女性だ。
「訓練方法はそちらにお任せします。」
ネモフィラ先生がルドベキア総司令官に訓練を一任すると口にした。
「分かりました。それでは最初にお互いに一名候補を出し合って、模擬戦闘を行いましょう。ユウガオ隊長!」
ルドベキア総司令官に呼ばれて前に出て来たのは、緑色のボブカットヘアに緑色の瞳をした女性だった。
「こちらは誰を出しましょうか?」
ネモフィラ先生とハルジオン先生は、模擬戦闘をしてもらう一名を話し合おうとしていた。
「それでしたら、あそこにいる我が国の女王様と似ている方とやらせて頂けますか?」
ユウガオ隊長は、アイリスを指名したのである。
「アイリスさんなら実力的にも問題ないですね。」
ネモフィラ先生の言葉に、ハルジオン先生も頷いて応えた。
「アイリスさん。メロヴィング王国との訓練に先立ちまして、模擬戦闘を行うそうです。学校の代表として出て貰えますか?」
ネモフィラ先生は、念の為アイリスに模擬戦闘する意思があるのか確認した。
「分かりました。私で良ければ。」
アイリスは模擬戦闘を了承した。
「遅くなりました。」
イリス女王様は、自国の兵と学生の力を見極める為に、訓練場に設けられた観客席に座り、その横にイリス女王様の母親であるニベアが座った。
アイリスとユウガオは、お互いに間合いを取って向かい合っていた。
「アイリスが出るんだ! 頑張って。」
イリス女王様は、誰にも聞こえない程の小声で応援していた。
「これより模擬戦闘を開始する。試合、始め!」
審判役の兵士が、手を上から振り下ろし試合開始の合図を送った。
「喰らえ! “突風” ……“透明な風刃”!」
ユウガオ隊長は、開始直後から風魔法をアイリスへと放った。
ユウガオ隊長の放った突風は広範囲に強い風を巻き起こしていた。
「“雷光鎧”!」
私は雷光を身に纏い、相手の放った風の中を突き進んだ。
「ん!? つぅ〜、これは見えない風で切られてる?」
アイリスは雷光属性を身に纏っていたが、それでも身体のあちこちに切り傷が出来ていた。
「見えない風に切り刻まれなさい!」
ユウガオ隊長は、更に透明な風の刃を放ち、次々とアイリスにダメージを与えていった。
「これならどう、“集音”」
アイリスは音属性を使用して、周りの音を掻き集めたのである。
(風を切る音が聴こえる。音で距離や大きさが分かる。)
アイリスは、次々と見えない風の刃を回避していった。
「くそ、何故当たらない!?」
ユウガオ隊長もこれ以上放っても無駄と判断して、魔法を放つことをやめた。
ドクン、ドクン、ドクン
「!? この音。」
アイリスは襲撃された時に、集音魔法を発動していた為、犯人の鼓動の音を覚えていた。
この人が私を襲った人に間違いない。




