我が子は何処に 〜国王サイド〜
今日も国王として、国の発展や治安維持等のことで頭を悩ませていた。
「国王様〜!!」
と侍従の者が慌てた様子で現れた。
「朝から騒々しいな。どうしたと言うのだ。」
侍従を落ち着かせる為、俺はゆっくり言葉を投げかけた。
「……サクラ王子が見当たりません!!」
「? いつものように中庭で昼寝でもしているのだろ。」
と俺は笑って答えた。
このやり取りは過去にも何度か行われており、その都度、中庭で発見されていた。
今回もそうだろうと思った。
「既に確認済みです! キク様の所にもおらず、現在城の者が手分けして探していますが朝から一度も姿を見た者はいません!」
侍従の言葉に俺は一瞬反応出来なかった。
「……!? どう言うことだ!」
俺は動揺を隠せない。
「昨日の夜には就寝しているのを確認した者がおりましたが……。」
「……何か現場に残された物はなかったのか?」
何か手がかりは……。
「……何も残されておりません。」
侍従は俯きながら答えた。
「連れ去られたということか!」
俺は怒りを露わにした。
「倭国の者か他国の者か知らんが、絶対に許さん。皆を集めよ!」
絶対にサクラを見つけ出す。
無事でいてくれ。
「はい!」
侍従は返事をするなり、直ぐに立ち去った。
侍従により集められた者達が俺の前に立っている。
「サクラが居なくなった。状況から連れ去られた可能性が高い。皆の力を貸してもらいたい。」
俺は皆に頭を下げた。
「!? 国王様頭を上げて下さい。サクラ王子は我々が必ず見つけます!」
と皆を代表して、シャクヤクが俺を励ましてくれた。
「倭国内を隈なく探すのだ!」
ゲッケイジュが俺に背を向け、皆に言葉を投げかけた。
「「はっ!」」
皆は急いでサクラを探しに出て行ったのを見届け、俺は椅子に腰を下ろし俯いていた。
「リュウオウよ。気をしっかり持て! きっと直ぐ見つかる。」
兄のゲッケイジュが俺に声を掛けてくれた。
「……兄上。ありがとう。」
兄上に感謝の言葉を返した俺だが、正直一番疑っているのは兄上だ。
兄上は、俺が国王になったことをよく思っていない。
サクラを誘拐するなんて馬鹿なことをするとは思いたくないが……誰かに調べさせるしかないな。
無事でいてくれ、サクラ……。
次回は王妃サイドです。




