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メロヴィング王国〜隠れ里レイア〜

旅行を再開します!

「倭国では、ゆっくり出来なかったね。」

 走りながらアイリスが俺に話し掛けて来た。


「そうだな。でも、ザクロが国王として国に残ってくれたから、これからの倭国は大丈夫だろう。」

 倭国では、お国騒動のゴタゴタがあり落ち着いた旅行にはならなかったが、これで倭国は何とか落ち着きを取り戻せるだろう。


 因みにだが、俺の髪や瞳は桜色に戻すことになった。

 国王の問題も解決し、これで心置きなく魔人討伐に集中出来るようになったので、変身魔法を解除し、クラスメイトに説明したのだ。


 みんなからは、「あ〜、雰囲気出てたね。」とあまり驚かれることは無かったな。


 俺達は、次の旅行先であるメロヴィング王国へ向かっている途中である。


 倭国の時と同様に、チーム毎にメロヴィング王国を目指している。


 メロヴィング王国はアイリスの母国である。


 10年くらい前の魔人襲撃により、王都は壊滅的な被害を受けたが、前国王であるアイリスの父、クロヴィス・アポロの妻と、前国王の娘であるクロヴィス・イリスは魔人襲撃から生き延びていた。


 そして、現在のメロヴィング王国は、アイリスの腹違いの姉妹に当たるクロヴィス・イリスが女王として国を治めている。


「そろそろ日も暮れる頃だろう。近くに村なんかあればいいけど、無ければ何処か雨風凌げる場所を探そう。」

 デイジーがみんなに声を掛けた。


「アイリスはここら辺のこと分かる?」

 俺はアイリスがこの辺に詳しいか確認して見た。


「ごめんねサクラ。私も小さい頃に国を出てるし、王都しか分からないの。」

 アイリスは、申し訳なさそうな表情を浮かべていた。


「そうだよね!? ごめんアイリス。後、メロヴィング王国の出身者は誰だっけ?」

 俺はアイリスに謝罪して、他に出身者がいないか確認した。


「クロがそうです。この近くに生まれ育った隠れ里があるので、そこで一泊しましょう。」

 そう言えば、クロもメロヴィング王国出身だと言っていたな。


「クロの育った場所なら見ておきたいけど、隠れ里なんだろ? 俺達が行っても大丈夫なのか?」

 隠れ里って言うくらいだから、他所者はあまり入れたくないのではと考えて、俺はクロに問題無いのか確認した。


「大丈夫です。クロは里長の息子ですし、皆さんは信頼してますので。」

 ここでクロが里長の息子である発言をした為、アカンサスは、「このチームは、王子やら王女やらだけじゃなくて、里長の息子まで居るのね。」と呟き、俺もクロの家柄に驚いた。


「それじゃ、お言葉に甘えてクロの育った隠れ里で休ませて貰おう! クロ案内頼めるか?」

 まだ、メロヴィング王国まで距離がある為、しっかり休める時に休むことは大事だ。


「分かりました。隠れ里レイアへ案内します。付いて来てください。」

 クロに先導されて、俺達は隠れ里レイアを目指した。


「なぁクロ、レイアってどんな所なんだ?」

 着いてからのお楽しみでも良いのだが、隠れ里レイアがどんな所か気になってしまったので、俺はクロに聞くことにした。


「隠れ里レイアは、唯一レイア神を信仰している場所です。里の名物は大衆浴場になりますかね? 温泉の効果は疲労回復と美肌効果です。」

 レイア神の名を知っているのは、隠れ里の関係者だけらしい。


「温泉ッスか!」

「温泉だと!?」

「温泉!? 入りたい!」

 リンドウ、ストック、アカンサスがクロの言った、大衆浴場の温泉に即座に反応した。


「クロ、勿論混浴だよな!?」

 ストックはクロに詰め寄って、鼻息を荒くしながら混浴かどうか確認している。


「か、顔が近いよ!? 大衆浴場は、勿論男女別だよ! 男女一緒の混浴風呂もありますが……。」

 クロは手でストックを引き剥がして、浴場の説明をしたが、最後に混浴もあるとストックに答えてしまった為、再びストックに詰め寄られていた。


「こ、混浴があるんだな!? 混浴に入るぞ!」

 ストックは、混浴があると知るとテンションを上げて、クロの背中を押して急かしていた。


「……混浴してるのは、じー、ばーしかいないんだけどな。」

 クロの呟きは、テンションの上がったストックには聞こえることは無かった。


「ふ〜ん。サクラ一緒に混浴入るアルか?」

 ボタンはアイリスとカトレアに目を向けた後に、サクラの横に来て、耳元で囁いた。


「はぁ!? お、お前、何言ってんだよ!」

 俺は急に変なことを言われてボタンとの混浴を妄想してしまったことと、耳元で色っぽく囁かれた為、動転してしまった。


「サクラはエッチアルね。今、考えたアルね。」

 ボタンはクスクスと笑って、再びアイリスとカトレアへ目を向けた。


「「サクラは私と入る(わ!)のよ!」」

 アイリスとカトレアが同時に声を上げた。


 二人は両サイドからサクラの腕にしがみ付いて離そうとはせず、その様を見て、ボタンは悪戯が成功したという表情を浮かべていた。


「……破廉恥。」

 ウメは横目でやり取りを見ながら呟く。


「みんなで入れば良いアルよ。裸の付き合いでチーム力も上がるアル。」

 ボタンはニヤニヤしながら提案し、ボタンの提案にストックは瞬時に反応を示し、「乗ったーー!」と叫んでいた。


 その後も温泉話が長々と続き、最終的に男女別なのか混浴なのかはっきり決まることは無かった。


「……。」

 デイジーは、話の結末が無かったことに若干の不安を覚えつつも、混浴になることはないだろうと思った。


「混浴はダメだよ〜。」

 言葉とは裏腹に、アカンサスは楽しそうな表情をしていた。


 そして、目的地である隠れ里レイアへ一向は到着したのだった。

隠れ里レイアのレイアは、ギリシャ神話の大地の女神の名前です。


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