誘拐された!?②
俺の見張りに付けられたのは若く体格のいい男だ。
顔は……悪そうな面してる。
禿げオヤジは、俺が魔法を使えることは知らないから縄を切ることや扉は何とかなると思うが見張りがいるし、ここが何処だか分からないと部屋から出て直ぐに捕まってしまうかも知れないし、かと言ってこのままここに居たら奴隷にされてしまう。
考えを巡らせている内に再び扉が開いて、別の男が入ってきた。
「……兵達が王子が居なくなったことに気が付いて探し始めた。どうやらゲッケイジュ様を疑っている様子で、ゲッケイジュ様の邸宅周辺には兵達が多数配置されている。」
と見張りの男に伝えた。
「……城から急に居なくなったんだ。城に簡単に出入り出来て、王子が居なくなって得をする奴が疑われるのは当然か。」
と整然としている。
……なんで兵達が探しているのにこんなに落ち着いていられるんだ?
「ゲッケイジュの邸宅をいくら探してもいないのにな! ここは倭国内の貧民街の外れにあるんだ。まさか、こんな所にいるとは気付くまい。」
と笑っている。
……まずい状況だな。
こいつの話が本当なら助けが来るのは期待出来そうにないな。
「この件が上手くいけばゲッケイジュから美味い地位をもらえるんだ。安い仕事だぜ。」
「全くだ! 奴に聞かれると困るから様付けで呼んでやってるが、地位さえ貰えればこっちのもんだ。」
と二人してゲラゲラ笑っている。
……誘拐されるのがもっと遅ければ、成長した俺がコテンパンにしてやれたのに……今の体じゃ勝てそうにないな。
「……しかし、こいつは生かしといていいのかね? 殺しておけば今後の心配がなくなると言うのに……まぁ奴隷商には倭国と仲の悪い他国で売るよう話は付いているが、万が一後からこいつが見つかると厄介だし。」
と後から来た男が呆れた口調で見張りと話している。
「仕方ないさ。雇い主のゲッケイジュが決めたことだ。死体が見つかれば国王は悲しむだろうが一時のことだろう。また子供を生まれたら奴の計画が狂ってしまう。死体が出て来なければ、子供を探し続けるだろう。それと国王の苦しむ姿を長く見ていたいんだとよ。悪趣味な奴だ。」
と嫌な笑みを浮かべていた。
……あの糞禿げオヤジ! 俺にこんなことして、父さんと母さんを苦しめようとするなんて! 絶対許さない!
次回は国王サイドです。




