悪いのはコイツだ!
サクラに判決が言い渡されます!
サザンカとアイリス、カトレアの三人は、現在の筆頭魔法使いであるオダマキの下を訪ねていた。
「成る程。では君達の友達のサクラ君が、ローリエ国王がゲッケイジュであり、更にザクロ王子に精神操作の状態異常があったと、これでよろしいですね?」
30歳になる長髪根暗の男性であるオダマキは、話を要約した。
「そうだ。ゲッケイジュの前で変化魔法の解除をしてもらいたい。そうすれば何を企んでいるのか知らないが、ゲッケイジュを捕縛することが出来る。」
サザンカがオダマキに説明した。
「ならば総司令官キブシにも立ち会ってもらいましょう。万が一、ゲッケイジュが逃走を企てた際に、取り逃がさないためにも必要でしょう。」
オダマキは案を提示した。
「そうだな。」
サザンカも同意した。
「後は、どのタイミングで仕掛けるからですね。……明日の正午に、牢屋にいる罪人に処分を言い渡すそうなので、明日の正午に仕掛けましょう。」
オダマキが提案して来た。
「そのタイミングなら、サクラも牢から出ているから、丁度いいかもな。よし、それで行こう。」
サザンカもそのタイミングがベストと判断した。
「後は、その罪人の言うことを間に受けても大丈夫なのか、判断が出来ないことですね。会ったことも話したこともありませんから。」
オダマキは、サクラのことを信用していなかった。
ゲッケイジュの捕縛とサクラ救出の話を終えたサザンカ達は、オダマキの下から立ち去った。
そして翌日の正午を迎え、王の間には、ローリエ国王、スミレ王妃、ザクロ王子、国王親衛隊、総司令官キブシ、筆頭魔法使いオダマキ、各大臣や有力貴族、サザンカ、アイリス、カトレア、ハルジオン先生、ネモフィラ先生、オロチが揃っていた。
「罪人を入れろ!」
声と共に、王の間の扉が開かれ、拘束された状態のサクラが連行されて来た。
サクラを拘束する手枷は、魔法防止の効果が付与されているため、拘束した者を魔法不可の状態異常にするため、魔法を使っての脱出は困難となっている。
サクラは、部屋にいるアイリス、カトレア、オロチ、サザンカへと視線を向けるが言葉は発しなかった。
「……サクラ。」
アイリスは、信頼の絆を使った念話を試みようと考えたが、直ぐにサクラを救出出来ると考えて、交信をしなかった。
「学校側から発言する機会をもらいたいとのことです。」
進行役の大臣がローリエ国王に進言した。
「許可しよう。」
サクラがローリエ国王に対して、能力の眼で見てしまった経緯等をハルジオン先生が懸命に説明し、処分を軽くして貰えるようお願いした。
「……。」
ローリエ国王は、無言だった。
しかし、周りにいた親衛隊や大臣らは、ハルジオン先生の発言に対し、「謝罪は無いのか?」「見苦しい言い訳をするな!」などと罵声を浴びせて来た。
ハルジオン先生とネモフィラ先生は、言い返せず悔しそうな表情を浮かべていた。
「それでは罪人に処分を言い渡す。罪人は……死刑!」
大臣がサクラの処分を発表した。
「なっ!?」
ハルジオン先生は、余りの処分の重さに言葉が出なかった。
「いくらなんでもあんまりです! 死刑だなんて。」
ネモフィラ先生は抗議の声を上げた。
「「……。」」
アイリスとカトレアは、歯を食いしばって耐えていた。
サザンカは、オダマキに視線を送った。
オダマキは、サザンカの視線に気が付き頷いて応えた。
「お待ち下さい!」
オダマキは声を張り上げた。
その場に居合わせ者達は、一斉にオダマキへ視線を向けた。
「……ご報告があります。」
オダマキは、ローリエ国王の前まで進んだ。
アイリス、カトレア、サザンカの三人は緊張しながら、成り行きを見守った。
「……オダマキか。申してみよ。」
ローリエ国王は、オダマキに発言の許可をした。
「感謝します。そこにいる罪人以外で、この場にこの国を滅亡させようと目論んでいる者がいます!」
オダマキは、声を張り上げて進言した。
「何だと!?」
「そんな奴が!?」
「本当なのかオダマキ様!?」
その場にいた者達が口々に驚きの声を上げた。
「……ふむ。その者は誰だ?」
ローリエ国王は、オダマキへ目を向けたまま離さなかった。
オダマキは、アイリス、カトレア、サザンカへと視線を向けて、頷いた後にローリエ国王へ視線を戻した。
「それは……そこにいる三人です!」
オダマキは、アイリスとカトレアとサザンカを指差して、ローリエ国王に答えた。
「「……え?」」
アイリスとカトレアは、オダマキの言葉と行動が理解出来なかった。
「……やられたね。」
サザンカは、オダマキの言動から今の状況を理解した。
そう、オダマキはローリエ国王、つまりゲッケイジュの手下だったのだ。
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