お墓参り〜両親〜
今回は、両親の墓参り編です。
俺が墓参りに行く為に部屋から出よると、ドアの前にアイリスとカトレアが立っていた。
「サク、ラ……お邪魔だった?」
アイリスは、急に暗い表情になり、俺の後ろに居たサザンカさんを見て、声を発した。
「……二人っきりで何していたのよ?」
カトレアは、ジト目で俺とサザンカさんを見て来た。
「今迄の経緯を説明していただけだよ。」
俺は、やましいことがないので普通に答えた。
「激しかったなサクラ。今からデートだしな。」
サザンカさんが後ろから手を伸ばし、俺の頭をサザンカさんの胸に引き寄せた。
「「なっ!?」」
アイリスとカトレアは、顔を真っ赤にして、涙目になっていた。
「……二人の反応を楽しんでませんか?」
俺はサザンカさんにジト目を向けた。
「この子達、可愛いな! いや〜冗談だよ冗談。これからサクラの両親と師匠のお墓参りに行くんだよ。」
サザンカさんは豪快に笑いながら答えた。
「「……ビックリした。」」
アイリスとカトレアは安堵の表情を浮かべていた。
「私も一緒に墓参りに行ってもいい?」
アイリスも両親や師匠と付き合いがあるからな。
「勿論。みんなも喜ぶと思う。」
俺は快く受け入れた。
「……私もいいかしら?」
カトレアも墓参りに行きたいと言ってきた。
「いいけど、カトレアは面識無いよね?」
面識も無いのに墓参りに行きたいものだろうか?
「魔人と戦った英雄の墓参りに面識は不要じゃないかしら? それに、サクラの両親や師匠なんだから、今迄のサクラのこととか、サクラがやらかしたエピソードなんかを報告をするのよ。」
カトレアは笑いながら答えた。
「成る程。……余計なことを報告しないでくれよ。俺があの世に逝った時に笑い者になるだろ!」
俺はカトレアに笑いながら答えて、みんなで宿泊施設を後にした。
俺達は、墓参りに行く前に、花屋さんに寄り、お墓に供える花を見繕って貰った。
花屋さんから出ると、肉屋で巨大な肉の丸焼きに噛り付いているオロチを見かけたが、余りにも豪快に食べていたので、他人のフリして素通りした。
俺達が城の裏にあるスサノオ神が祀られている神社の前に来ると、警備兵から声を掛けられた。
「サザンカ様、お疲れ様です!」
警備兵は、背筋を伸ばして元気よく挨拶した。
「おう。お疲れさん。ちょっと、コイツらが前国王様達のお墓参りをしたいと言うんでな、通してもらうぞ。」
サザンカさんが挨拶を返して、用件を伝えた。
暫く会わないうちに立派になったんだな。
「分かりました! ごゆっくりして下さい!」
警備兵は、敬礼して再び職務に専念した。
「……ここだよ。」
サザンカさんに案内されたのは、立派なお墓だった。
「……ここに眠っているんだね。」
俺は屈んで、持っていた花を手向け、手を合わせて目を閉じた。
《……父さん、母さん、久しぶりだね。父さんと母さんのお陰で元気に生きているよ。父さんと母さんには、本当に感謝してる。父さんと母さんと過ごした時間は楽しかった。……もっと一緒に過ごしたかったよ。みんなで食事したり、遊びに行ったり、笑い合ったり、喧嘩したり、馬鹿なことやったり、一緒にお酒を飲んだり。父さんに試合で勝ちたかったな。……今やったら俺が絶対勝つからね。俺、強くなったんだぜ。父さんと母さんの大好きなこの国を絶対守ってみせるからね。……俺には、いっぱい仲間も出来たんだぜ。みんなが居れば、きっと魔神の復活を防げる。だから、安心して眠ってくれ。》
俺が目を開けて横を見ると、アイリスとカトレアは、まだ目を閉じていた。
暫くして、二人は目を開けた。
「……随分二人は長かったね。」
俺は二人に声を掛けた。
「いっぱい伝えたいことがあったからね。」
「私もよ。」
アイリスとカトレアが微笑んで答えた。
「じゃあ、次へ行くか?」
サザンカさんが声を掛けてきたので、俺達は神社を後にした。
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サクラ達の後ろ姿を見つめている者がいた。
《サクラ立派になったな。》
《ええ、本当に。》
《アイリスちゃんも大きくなったな。》
《……貴方は、何処を見て言ってるのかしら?》
《!? 勿論背丈の話だよ!》
《ふ〜ん。アイリスちゃん可愛くなったわね。》
《そうだな。サクラの妻になってもらいたいな。》
《横の子も気になるわね。》
《あの子も可愛かったな。三人でお揃いの指輪をしていたが……あの歳であんな可愛い子を二人も抱え込んでいるとは、流石俺の子だ。》
《似なくていい所が似てしまいましたね。》
《ぐっ!? それにしても、サクラの奴、俺より強くなっただと? まだまだ俺の方が強いぞ!》
《貴方は本当に戦闘馬鹿ね。》
《戦闘ば、か……。酷いよキク。》
《事実ですよ。》
《《サクラ、頑張れ。》》
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俺は、誰かに呼ばれた気がしてお墓の方へ振り返った。
「どうしたのサクラ?」
アイリスが俺と同じように振り返り、声を掛けて来た。
「何でもない。……また来るね。」
俺は笑顔を浮かべて、歩き出した。
本日もありがとうございました(*⁰▿⁰*)




