サクラ爆発?
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俺達は、訓練場での見学を終えて、大広間へと案内された。
大広間には所狭しと、大量の郷土料理が並べられていた。
「倭国の郷土料理です。存分にお楽しみ下さい。」
ローリエ国王の言葉を受けて、各々食事を食べ始めた。
「懐かしいな。……美味い。」
俺は、久しぶりに食べた倭国の料理を噛み締めていた。
クラスメイト達も、倭国の料理に舌鼓を打っていた。
「やっぱり倭国の料理が一番好きだな。」
「倭国の料理美味しいわね。」
アイリスとカトレアも料理を食べていた。
……あれ? めっちゃ食べてないか?
二人ともこんな大食いだったっけ?
思い思いに、食事を食べながら会話する時間が続いていた。
「……成る程。今回現れた魔人は、今迄で一番弱かったと。」
ローリエ国王は、ハルジオン先生から魔人襲撃時の話を聞いていた。
「そうです。これからも油断は禁物です。」
ハルジオン先生は、真剣な表情でローリエ国王に答えた。
「分かりました。……ところで、ここにいる生徒さんが先程Sランクの魔物と戦ったと聞きましたが、どの子ですかな?」
ローリエ国王は、ハルジオン先生から生徒達の活躍を聞いたため、優秀な人材なら手を付けておこうと考えていた。
「それなら、あそこにいるサクラという者のチームです。」
ハルジオン先生がローリエ国王に分かるようにサクラを指差して答えた。
「……? まさかな。」
ローリエ国王は、サクラを見て疑問を抱いたが直ぐに考えを打ち消した。
しかし、ローリエ国王はサクラへと近付くにつれて不安が募って行った。
《やはり似ている。髪や瞳の色が違うが面影がある。名前も一緒で、年齢も恐らく生きていればこのくらいな筈だ。まさか、あのクソ餓鬼が生きていたのか? 確かめねば。》
「君が、サクラ君かな?」
ローリエ国王は冷静さを装って、サクラへと声を掛けた。
「……はい。私がサクラです。」
何で国王が俺に声を? 名前も変えておけば良かったかな。
「君達の担任から、君のチームがSランクの魔物と戦ったと聞いてね。」
俺は、ローリエ国王の言葉を受けて、ハルジオン先生へ目線を動かしたら、ハルジオン先生はニコニコして見ていた。
一応、俺達がSランクと戦ったのは大勢に見られている事実である。
但し、各国へは俺達が魔人と戦ったことは伏せてある。
魔人討伐は、あくまでデルフィニウム学校長と寮母のペチュニアさん、ダリア生徒会長が倒したことにしてある。
魔人討伐に俺達が関わっていたと知れると、世界的に魔人に対する危険意識が低下してしまうと考えたためである。
「そうでしたか。Sランクの魔物は強敵でした。みんなの力があったから勝てたのです。」
俺の答えに満足したのか、ローリエ国王は笑顔を浮かべていた。
「そうだな。一人の力など微々たるものだ。……ところで、君は倭国の出身かな? サクラという名は、前国王の息子の名前と同じだが。」
ローリエ国王は、鋭い目を向けて来た。
「……はい。私の名前は、私が生まれる前にサクラ王子がお生まれになり、両親が王子と同じ名前を付けたためです。お恥ずかしい限りです。……ローリエ国王様は、魔人襲撃まで公の場に姿や存在が隠されていたそうですが、どちらにいらしたのですか?」
俺は当たり障りないことを答え、ローリエ国王のことを尋ねた。
「そうだったのか。私はこの国の滅亡を防ぐために、いざという時の為に、秘匿にされていたのでな。倭国の辺境の地で過ごしていたのだよ。」
ローリエ国王は、サクラの答えに一応納得した上で、質問に答えた。
《今の答えでは、真実かどうか見極めるのが難しいか。……少し揺さぶってみるか。》
「全く、前国王のリュウオウさえ殺されなければ、私が国王をやる必要が無かったんだがな。国のトップが魔人と戦って殺されるなんて、馬鹿な奴だ。」
ローリエ国王は、サクラがリュウオウの息子と仮定して、煽るような発言をした。
「……。」
《こいつは、今何て言ったんだ。国の為に戦った父さんを馬鹿にしたのか? こんなのうのうと生きて来た奴に! こんな奴に馬鹿にされたのか!》
サクラは、ローリエ国王の発言に答えず、体からは膨大な魔力、威圧感、殺気が溢れていた。
「!?」
ローリエ国王は後退り、大量の冷や汗を流していた。
「「「「「!?」」」」」
大広間内の空気が変わった事に気付いたのは、ハルジオン先生、ネモフィラ先生、国王親衛隊、兵隊長クラス、アイリス達だった。
「国の為に命を懸けて戦ってくれた、前国王を馬鹿にすることは許さない!」
サクラから放たれるプレッシャーが更に強くなった。
《な、なんだ、このプレッシャーは!? これだけのプレッシャーを放つとは、やはりこいつはリュウオウの息子のサクラなのか?》
「サクラって、こんなに強かったのかよ!?」
「サクラ君落ち着いて!」
ハルジオン先生とネモフィラ先生が声を発した。
「国王様に害を成すつもりか!」
「今すぐ奴を拘束しろ!」
国王親衛隊が直ぐ様、動き始めた。
「生徒が放つプレッシャーかよ?」
「これは、かなりの腕だな。」
「前国王を馬鹿にするのは許せないな。」
「同感だ。」
「……やっちまえ。」
兵隊長クラスは動くことなく、サクラに感心していた。
危険と判断したアイリスとカトレアは、直ぐにサクラの手を握り締め、落ち着かせようとした。
「はっ!? ……ローリエ国王、失礼しました。……前国王様には命を救っていただいたことがあるので、頭に血が上ってしまいました。」
俺は、直ぐに頭を下げて謝罪した。
「貴様! 国王様に危害を加える気だな!」
「貴様を拘束する!」
国王親衛隊は、サクラを拘束しようと動き始めた。
「よいよい。私の失言だ。先程の件は不問だ。」
ローリエ国王は、サクラを拘束しようとしていた国王親衛隊に止めるよう命令した。
《こいつには何かある筈だ。暗部に監視させよう。》
こうして、食事会は若干のゴタゴタがあったが幕を閉じた。




