みんなで戦う!
魔人襲撃編ラストです!
ブクマ新しく頂いたので、少しテンション上がって、いつもより長めです!
魔人コルチカムが放った、種子爆弾が戦場のあちこちで爆発を起こしていた。
デルフィニウムは、爆発箇所を先読みして回避を続けていた。
「何て威力の爆発だ。 近づくどころか避けるので精一杯か。」
デルフィニウムは、先読みでの回避の他にも、自ら反撃して、魔人コルチカムの攻撃を逸らして、何とか致命傷を受けずにいた。
「俺の攻撃に耐えるとは、見た目だけじゃないようだな。ぐふふふふふふ。」
魔人コルチカムと学園長デルフィニウムの戦いは、激しさを増して行った。
お互いに攻撃を繰り出すが、どちらも致命傷には至らず、徐々にデルフィニウムが押され始めて来た。
「よく粘った方だろう。“溶解液”」
魔人コルチカムは、動きの鈍って来たデルフィニウムには避けられないと判断して、再び溶解液を放った。
デルフィニウムは、避けようと足に力を入れたが、膝から崩れてしまい、回避するタイミングを逃してしまった。
「くっ!? しまった!」
デルフィニウムは回避出来ないと瞬時に判断して、手で大事なところを隠した。
「ぐふ。ぐふふ。ぐふふふふふふふふ。全裸にはならなかったようですが、これはこれで興奮するじゃねぇか。」
魔人コルチカムは、いやらしい笑みを浮かべてデルフィニウムを凝視していた。
デルフィニウムの身に纏っていた衣服は、両腕とお腹、太股から下は全て溶解液で溶かされ、残った箇所も所々肌が露出していた。
しかし、デルフィニウムは怯むことなく再び戦闘の構えを取った。
「ゲスが! “雷神脚”!」
デルフィニウムは、鬼の形相をして、一瞬で魔人コルチカムに接近し、魔力を大量に使用した雷を脚に纏い、腹部を蹴り飛ばした。
「ぐえぇ?」
魔人コルチカムの体はくの字に曲がり、吹き飛ばされた。
「まだだ。 “雷落とし”!」
デルフィニウムは、吹き飛ばした魔人コルチカムの頭上に移動し、かかと落としを喰らわせた。
「ぐべぇーー!?」
デルフィニウムのかかと落としは、魔人コルチカムの脳天に直撃し、地面に叩き落とした。
「はぁはぁはぁはぁ。」
デルフィニウムは、呼吸を整えながらも魔人コルチカムを落とした場所から目を離さなかった。
「……これで終わりではあるまい。」
デルフィニウムは、立ち上がらない魔人コルチカムに声を掛けた。
「アアーー! イテェじゃねぇか! このアマ! 手足を千切って、顔と胴体残して、犯して犯して犯して犯して犯しまくってやるよ!」
魔人コルチカムは、血を流しながらも立ち上がり、かなりダメージを受けたようだが、怒りにより痛みが分からないのか目が血走っていた。
「“暗黒刃”!」
魔人コルチカムは、大量の黒い刃を生み出してデルフィニウムに撃ち出した。
「くぅ。まだ魔力は尽きないのか。」
デルフィニウムは、Sランクとの連戦に加えて、五属性を身に纏っての長時間の戦闘により、魔力を殆ど消費していた。
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俺達が中央部へ近づくたびに、激しい音と衝撃が鳴り響いていた。
そして俺達の目の前で、デルフィニウム学校長に無数の黒い刃が迫っていた。
「“雷炎突き”!」
「“水龍刃”!」
「“重力砲”!」
「“大爆発”!」
「“風車ふりけん”!」
「“流星群”!」
俺、オロチ、アイリス、カトレア、寮母さん、ダリア生徒会長の一斉攻撃により、無数の黒い刃は消滅した。
「!? 誰だ!?」
魔人コルチカムは、自身の攻撃が確実に決まると思っていたため、先程より更に苛立っていた。
「この威圧感は、間違いなく魔人だな。」
俺達は武器を構えて、各々魔法衣を纏った。
「ペチュニアさん、みんなも、助かったわ。」
デルフィニウムは、サクラ達に近付いた。
「大丈夫ですかデル?」
寮母さんがデルフィニウム学校長に声を掛けた。
「危ないところでしたが。……魔人の放つ液に気を付けてください。害はありませんが服が溶かされます。」
デルフィニウム学校長の言葉に、全員の視線がデルフィニウム学校長に向いた。
「あれ? 視界が真っ暗だ? なんで?」
俺も目線をデルフィニウム学校長に向けた筈なのだが、いきなり真っ暗になった。
「……サクラは見なくていい。魔人見てなさい。」
凄味のあるアイリスの声が聞こえた。
「……はい。」
俺の返事と共に視界が開けた。
「これは、女の敵ね。」
「この世から一刻も早く消し去りましょう。」
「あらあら。」
女性陣は、魔人コルチカムに強い殺意を覚えた。
「俺様の邪魔をするだけでなく、無視するとは……。“黒の世界”!」
魔人コルチカムから、闇属性が溢れ出して戦場を覆い尽くした。
「攻撃に備えろ!」
俺は、声を上げたがみんなからの返事は無かった。
「視界だけでなく、音も遮断されるのな! “雷光場”」
俺は雷と光の混合属性を、自身を中心に広範囲に広げた。
「男は即死ね! “暗黒鎌”!」
魔人コルチカムが禍々しい鎌を手に、切り掛かってきた。
「“五属性形態”! 奥義“染井吉野・廻”!」
俺は、生命エネルギーを魔力へと変換して、五属性を身に纏い、五連撃を放った。
両者の動きが止まった。
「くっ!」
俺は腹部を切り裂かれて、うつ伏せに倒れた。
魔人コルチカムの黒の世界が解除され、おれが周りを見回すと、オロチと寮母さん以外は地に伏していた。
オロチと寮母さんは怪我が増えた様子は無いが、他のみんなは所々血を流している状況だった。
ただ、致命傷を受けた者はいなそうだった。
「ぎゃはははははは。雑魚共が! ……そこの2人は中々だな。」
魔人コルチカムは、俺の斬撃を受けていたようで、俺の放った染井吉野・廻の五連撃の内、4振り分の切り傷が体に付いていた。
「まとめて身ぐるみ剥いでやるぜ。“溶解……グハァァァ。」
魔人コルチカムが溶解液を放とうとした瞬間、俺が先程斬りつけた場所から、大量の血を吹き出して倒れた。
「「「「「「え?」」」」」」
女性陣は、魔人コルチカムの体から急に大量の血が吹き出したことに驚いていた。
「……ぁ、ぁ、が、ど、う、なっ、て……。」
魔人コルチカムは、自分の体に起きた現象を理解出来なかった。
油断していたため、かなりのダメージとなったようだ。
「はぁはぁはぁ。斬撃に時属性を付与した。俺の斬撃を受けた場所に再び斬撃のダメージが入るようにな。」
俺は立ち上がって、何が起きたのか説明した。
俺が放った奥義は、ただの染井吉野では無く、染井吉野・廻。
俺が父さんの奥義を改良したものだ。
俺はオロチにアイコンタクトを送った。
「“水龍穿”!」
オロチは水龍を上空に放ってから、一気に魔人コルチカム目掛けて降下させた。
「ち、ちく、し……。」
オロチの水龍が魔人コルチカムの体を穿ち、魔人コルチカムを仕留めた。
「……何とか勝てたな。」
俺は安堵して腰を下ろした。
「そうだな。やっと魔人一体を人類が仕留めたんだ。……まぁ、以前退けた魔人の方が今回の奴より強かったがな。」
デルフィニウム学校長は、魔人コルチカムの死体を見ながら、複雑な表情をしていた。
「……デル。みんなを供養してあげよう。」
寮母さんがデルフィニウム学校長の背中に声を掛けた。
「……そうだな。今回の被害は非常に大きい。しかし、皆の力を合わせれば、今後も魔人と渡り合えるだろう。」
その後は、被害確認や各国への魔人襲撃及び撃破の報告、破損箇所の修復や亡くなった者達の埋葬などに追われて、暫く学校は休みとなった。
そろそろ遠出しますよーー!




