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修業の合間〜おしゃべり〜

ちょっとほのぼの回です。

 今は、母さんと二人きりでおやつタイムだ。


 修業で疲れた体に甘いものは効くねぇー。


 せっかく母さんと二人きりになったんだから少し話をしようかな。


 最近は、「ママ」と呼ぶ様にしていたが、母さんがよく言葉を教えようとしてくれているから少しくらい言葉を話しても大丈夫だろう。


「お・か・あ・さ・ん。」


 俺が言葉を発すると母さんは目を丸くしてびっくりしていた。


「おかあさん。」


「サクラ凄い。お母さんって言えるようになったのね。」

と目に涙を浮かべていた。


 本当は普通に話せるから罪悪感が……


「お・か・し・おい・しい・ね。」

 なんかカタコトで話す外国人みたいになってる気がする。


 その後も母さんと言葉足らずな感じでおやつタイムを過ごした。


 その日の夕飯時に、

「あなた、今日サクラがお母さんって呼んでくれたのよ。」

とニコニコしながら父さんにドヤ顔で自慢していた。


「……なっ!?」

 父さんが驚いて固まっていたかと思うと崩れ落ちた。


「私の勝ちですね!」

 母さんが満面の笑みを浮かべている。


「……なんでなんだ!? サクラと仕事で日中は居られないから、風呂に入っている時にあんなに“お父さんだよー。お父さんって言ってごらん”と練習させていたのに。」

 父さんは崩れた姿勢のまま泣いていた。


 ……大の大人がそんなことで、泣くなよ……まぁ父さんと母さんがどっちが先に呼んでもらえるか競っていたのは知ってたけどね。


 俺は母さんの味方だ。


 ごめんよ父さん。


 父さんも好きだけど、母さんの方が好きだから。


 そんなことを考えていたら父さんが俺を抱っこしてきた。


「……サクラ〜お父さんだよ〜。」


 ……仕方ないなぁ。


「おとう・さん?」


「……!やった。キク聞いたか! 今サクラがお父さんって言ってくれたぞ! サクラ凄いぞ!」

もの凄い喜んでいる。


 ……うちの両親は親バカだな。


「同じ日にサクラが呼んでくれたから引き分けだな!」

 父さんがよく分からない自論を言い出した。


 母さんも目をパチクリしている。


「……私が先におかあさんって呼んでもらったの!」


「いいや! 引き分けみたいなもんだろ!」

と言い合いを始め、終いにはお互い魔法を撃ち合っていた。


 ……子供みたいな喧嘩して! 子供の前での夫婦喧嘩は子供に悪影響ですよ〜児童虐待になりますよ〜まぁ前の世界の話ですが! てか、この世界の夫婦喧嘩こぇ〜な!


 こんなことでそこまで揉めなくてもいいのにと感じたが、いつまでもやめないので最終手段を使うことにした。


「おとうさん、お母さん、ケンカ、ダメ、キライ。」

と泣きそうな顔と声を出した。


「「……!?」」


「「ケンカなんかしてないよ。パパとママは仲良しだ(よ)。嫌いにならないで!」」

と直ぐに肩を組んで仲良しアピールをしている。


 ふっ! チョロいな。


「なかよしさん?」

と首を傾げて尋ねてみた。


「「もちろん!」」


即答!!


「よかったぁ。」

と俺は笑みを浮かべた。


 父さんと母さんはお互いを見合って苦笑いしていた。


 これにて一件落着かな?



現実でも異世界でも、親バカは共通ですね。

あれ?うちの一番下の子は、まだパパと言ってくれてないな?

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