中間試験 結果
今回は、試験結果と2回目の学校長登場です!
中間試験の結果は、俺がトップでアイリス、カトレアと続き、一緒にトレーニングしていたメンバーが上位を独占していた。
「このクラスは、学年の上位を独占していたな! 先生達も鼻が高いぞ! 他のみんなも入学当初より確実にレベルアップしている。学校にいる間にやれるだけのことを精一杯やるように! ここでの頑張りが今後の人生の生死を分けると言っても過言じゃ無いからな!」
ハルジオン先生が試験結果と今後について話をしていた。
ハルジオン先生の言葉に、みんなやる気に満ち溢れた表情をしていた。
「今後の大きな行事は、文化祭、スポーツ祭、クラス対抗試合、年度末試験となります。文化祭が直ぐにありますから、クラスでやることを考えておくように! 演奏の参加も出来ますので、参加者は早めに言って下さい。」
ハルジオン先生に続いて、ネモフィラ先生から今後の学校行事について説明された。
冒険者や騎士を目指す学校なのに、意外と催しが多いんだな。
まぁ、息抜きも大事だよな。
「おっと、忘れるところだった、サクラは学校長室へ向かうように! 学校長がお呼びだ。」
ハルジオン先生の一言で、みんなの顔が俺の方に向けられた。
……なんで? 学校長に呼び出しなんて悪いことしたみたいじゃないか。
こうして本日の授業も終わり、クラスメイト達は教室から出て行き始めた。
「サクラ何かやったの?」
アイリスが俺に近づき、呼び出しの件について聞いて来た。
「心当たりないよ。」
俺は頭を横に振り、アイリスに答えた。
「試験一位だったからじゃないかな?」
クローバーが横から会話に参加して来た。
「その可能性が高いだろうね。」
デイジーもクローバーの意見に賛成していた。
「そうなのかな? 取り敢えず学校長室に行ってみるから、みんなはいつものメニュー始めてて。」
俺は、みんなにトレーニングを先に始めているように言い、学校長室へ向かった。
コンコン
「一年のサクラです。」
俺はノックして、室内に向かって声を掛けた。
「入って下さい。」
直ぐに室内から返事が来た為、扉を開けて学校長室へ入った。
「急な呼び出しでごめんなさいね。学校長って立場だからみんなと触れ合う機会が少ないから名乗っておくわね。学校長のデルフィニウムよ。よろしくねサクラ君。」
入学式で一度目にしただけだったが、やっぱり若くて綺麗な人だった。
デルフィニウム学校長は、20歳くらいのスレンダーな女性で、瞳と髪は白銀に輝いており、髪はポニーテールにしている。
「サクラです。……それで本日の御用件を伺っても?」
俺は呼び出された用件を伺った。
「ちょっと待ってね。」
学校長は、そういうととコーヒーを淹れて、クッキーと一緒に出してくれた。
「ありがとうございます。戴きます。」
出されたコーヒーは良い香りがしており、クッキーも美味しかった。
「美味しいです。」
俺の感想に、学校長は満面の笑みを浮かべた。
「それは良かったわ。用件は、あなたの見た目よ。」
学校長は、笑顔から真剣な表情に変わり、俺を見据えていた。
「……見た目とは?」
俺の変身と隠蔽が効いているので、本来の桜色の髪はバレていない筈だが。
「あなたはリュウオウにそっくりですよ。」
学校長は、俺の目から視線を逸らさずにそう言った。
「……倭国の亡き国王様とですか?」
俺は動揺しながらも、当たり障りのない言葉を返した。
「ええ。私は、リュウオウとキクとは仲間だったのよ。私が見間違える訳ないわ。私の眼でもサクラ君の本来の姿が見えないけどね。」
学校長の瞳が一瞬だけ輝き、直ぐに元に戻った。
俺は、学校長に元王子とバレても問題は無さそうだと判断し、変身を解いた。
「! ……やっぱり桜色の髪なのね。どうして姿を偽っていたの?」
学校長は、俺の姿に納得したが、次の質問を投げかけて来た。
「俺の両親を殺した魔人を倒すためです。まぁ最終的には、魔神の復活を阻止することですが。王子として倭国復興も考えましたが、倭国の王子に戻ったら、自分を鍛える時間や魔人と戦いに行け無くなるので、倭国に戻らずに姿を変えていました。」
俺は、自分の目的と姿を変えていた理由を伝えた。
「そういう事ね。分かったわ。……ただ、魔人と一人で戦っては駄目よ。奴らは強い。」
学校長の言いたいことは、俺にはよく分かる。
「分かってます。十年くらい前に一度戦いましたが全く歯が立ちませんでしたから。一緒に戦ってくれる仲間もいます。」
俺はみんなの事を頭に描いて答えた。
「十年前って……よく生きてたわね。」
学校長が驚きと呆れた表情を浮かべた。
「俺が生きてるのは、運が良かったんです。」
生かされたに等しいのだから。
「今は、魔人の活動に伴って冒険者や騎士、学生の育成に力を入れているけれど、魔物相手は何とかなりそうだけど、魔人相手となると戦える人間は少ないのが
現状ね。魔人相手に中途半端な戦力じゃ無駄死にするだけになってしまう。」
学校長は、この世界の人間の戦力強化に力を入れていたようだ。
「学校長って、ランクSS何ですよね?」
学校長は、現在たった一人のSSランクと聞いたことがある。
「ええそうよ。私と今は亡きSS持ちの二人で魔人と戦い、何とか私は生き延びたわ。」
学校長は、過去での魔人との戦いを思い出したのか、悔しげな表情を浮かべた。
「俺も、みんなも、強くなります! この世界を魔人の好きにはさせません!」
俺は力強く言葉を放った。
「うふふ。頼もしい限りです。私ももっと強くならなくちゃいけませんね。」
学校長は、悔しげな表情から一転、俺の言葉に元気を取り戻したようだ。
「そうそう、寮母のペチュニアさんは、かなりの実力者だから鍛えてもらうと良いわよ。」
学校長の言葉に耳を疑った。
「えっ? ペチュニアさんってそんなに強い人なんですか? 何者なんですか!?」
只者じゃないと思っていたが、学校長にそこまで言わせるなんて!
「私も学生の頃は、よく鍛えてもらっていたわ。懐かしいわね。」
学校長は、学生時代の訓練を思い出していた。
「ペチュニアさんって、見た目と年齢が謎ですね。」
あの見た目で一体何歳なんだ?
「女性の歳を詮索しちゃ駄目よ。……特にペチュニアさんにはね。」
学校長は、昔ペチュニアと何かあったのか、体を抱きしめて震わせていた。
おーーい! ペチュニアさん何やったの!? 怖くて聞けないよ!
「わ、分かりました!」
俺は、変身を掛け直して寮に戻り、みんなと合流したのだった。
ストックから、学校長と何があったのかと執拗に聞かれたが、世間話しただけと答えた。
一体何を期待していたのやら。
こうして、試験結果と学校長からの呼び出しを終え、学校は次の行事である、文化祭の準備へと向かっていったのだった。
次回:文化祭準備!




