中間試験 開始
俺達みんなでトレーニングを開始して2週間が経ち、試験当日を迎えた。
「おはよう。」
みんなで朝の挨拶を交わして、食堂へ向かった。
「調子はどう? ……その顔見たら大丈夫そうだね。」
俺がみんなの体調を聞くと、みんなやる気に満ち溢れた表情をしていた。
「サクラッチのトレーニングは、きつかったッスけど、この短時間でかなりレベルアップしたッスからね。自信持って試験を受けられるッス!」
リンドウは、きつかったトレーニングを思い出して自分を鼓舞していた。
「まだまだ弱っちいけどな。」
オロチが、肉の丸焼きを豪快に喰いちぎりながら発言した。
「悔しいッス! オロチの姉御は強すぎるッス!」
リンドウは、このトレーニングを通じてオロチのことを姉御呼びするようになっていた。
オロチを姉御呼びするのは、リンドウとストックの二人だ。
アイリスとカトレアとデイジーとクローバーは、オロチのことをオロチさんと呼び、ウメとボタンとアカンサスは、オロチのことをオロチ姉と呼んでいた。
オロチは、最初は取っ付き難かったが、今ではかなりフレンドリーな関係になっていた。
特に驚きだったのが、いつの間にか寮母のペチュニアさんと呑み友達になっていたことだ。
ペチュニアさんは、見た目と違ってかなりの酒豪らしく、オロチと呑み比べて勝つそうだ。
謎の多い寮母さんだ。
「そうよね。オロチ姉強すぎよ。」
アカンサスに褒められたオロチは嬉しそうにしていた。
「そろそろ行くか。」
俺達は食器を片付けて、教室へ向かった。
「みんな来てるな? 時間が勿体無いから、どんどん試験を始めるぞ。うちのクラスは、魔法の発射速度からだな。おーーし、移動するぞ!」
ハルジオン先生を先頭にして俺達は移動を開始した。
試験官は公平を期すために、他のクラスの担任が受け持つことになっていた。
こうして、俺達のクラスは順番に試験を受け始めた。
この時間は、試験官の始めの言葉に反応して、魔法球を的に発射して的を破壊するまでの時間で採点される。
勿論、始めの合図から破壊までの時間が短い方が高得点となる。
……
そして、いよいよ俺の出番が回って来た。
「準備はいいか、……始め!」
試験官の始めの言葉と共に魔法を放った。
この試験は基本的に、普通に立った状態で、始めと共に手を的に向け、魔法を放つらしい。
しかし、俺は始め共に、お腹に集中して魔法を発動させ、魔法球を作り出して放ったのだ。
手を挙げる分の時間短縮になるが、掌から放つよりもかなり難易度が高くなる。
また、みんなは手から魔法を放つのが当たり前になっているため、この考えに至らないようだ。
俺の放った魔法は、合図の後に一瞬で的を破壊していた。
「……。」
俺の試験を見ていた試験官や生徒達は、口を開けて固まっていた。
「これでいいんですよね?」
俺の声に、試験官は反応して「問題ない。」と答えた。
「ありがとうございました。」
俺は試験官に御礼を言って、みんなの所へ戻った。
「あれ有りッスか?」
みんなの所へ戻るとリンドウが声を掛けて来た。
「試験官も問題無いって言ってたぞ?」
魔法の発射速度の試験ってだけなんだから、何の問題も無いだろう。
「まぁ、有りだとしてもアイラには難しいッス。」
リンドウは納得した様だが、試験では掌から魔法球を放っていた。
一緒にトレーニングしていたメンバーは、他の生徒達より段違いに魔法の発射速度が速かった。
その後も順調に試験を受け、最後のゴーレム戦闘を迎えた。
この試験はゴーレムを早く倒すのも評価になるが、剣術等の採点にもなるので、最初の5分は魔法無しで戦うそうだ。
仮に魔法無しで5分以内に倒した場合は、もう一体のゴーレムと魔法有りで戦うそうだ。
「お願いします。」
俺の目の前には、土の体をしたゴーレムが立っていた。
「準備はいいか?……始め!」
草薙剣・改を刀形態にして構え、ゴーレムのパンチをかい潜り懐へ一閃を繰り出した。
「……硬いな。」
ゴーレムは、少し傷が付いた程度で大きなダメージにはならなかった。
その後も攻撃を何度も繰り出して気が付いたが、ゴーレムの傷が回復していたのだ。
……もっと協力な一撃がいるのか? それとも弱点でもあるのか?
俺は疑問に感じて、神眼を発動した。
「ん?」
俺の目には、ゴーレムの右眼に魔力が流れているのが見えた。
……もしかしてゴーレムの核なのか? 可能性が高いな。
俺は一気にゴーレムへ駆け出し、再びゴーレムの攻撃をかい潜り、右眼に突きを繰り出した。
ゴオォォォォーー
ゴーレムは、叫び声を上げながら崩れ去った。
その後の魔法有りでのゴーレム戦は、ゴーレムの核を狙わなくても魔法衣と奥義で瞬殺してしまった。
こうして、中間試験は終わった。
学校イベント多いので、試験は短めに終えさせていただきました。




