八岐大蛇との戦い! No.2
よし! 何とかダメージを与えられたぞ! 鱗で覆われている部分は硬いけど、それ以外なら何とかなりそうだ。
《コロスコロスコロスコロスコロス!“氷尾”!》
八岐大蛇は、尻尾の先端に氷を纏い、鋭利な尻尾を素早く振り回して攻撃して来た。
「“灼熱刀”!」
俺は、火属性のによる灼熱を刀に纏い、八岐大蛇の氷尾と渡り合った。
幾度となく打ち合い、俺と八岐大蛇の周りには、炎と氷が舞っている状況だった。
……何とか凌げているが、一撃一撃が重たい。
……長引くと不利か。
《噛み砕いてくれる! “氷牙”!》
八岐大蛇は、鋭い牙に氷を纏い大口を開いて迫って来た。
「ヤバイ! “変形・大盾」
俺は急いで刀を巨大な盾に変化させ横に構えた。
「うぉーーーー!」
八岐大蛇の勢いは凄まじく、氷牙の餌食にならずに済んだが、足を踏ん張ったままかなり後退させられた。
「これでも食ってろ! “炎槍” “氷槍” “雷槍” “岩槍 ” “風槍” “光槍” “闇槍”」
俺は、盾に食らいついている八岐大蛇の口の中目掛けて、魔法を連発した。
《ギャーーーー!!》
目と同様に鱗に守られていない体内への攻撃に、八岐大蛇は堪らず後退した。
《調子に乗るなーー! “水裂斬”》
八岐大蛇は、尾に水を纏い、高速で尾を振り回して水の斬撃を飛ばした。
俺は武器を盾から刀の状態に戻した。
「ふぅーー。“瞬間移動” 」
俺は、八岐大蛇の水裂斬を瞬間移動で回避し、八岐大蛇の真後ろに移動した。
八岐大蛇は、自分自身の攻撃で完全に俺の姿を見失っていた。
「終わりだ! “風雷炎形態”奥義“芝桜”」
俺は、自分自身と刀に風雷炎を纏い、刀を地面に突き刺した。
八岐大蛇の直下から、風雷炎を帯びた巨刀が飛び出し、八岐大蛇の体を貫いた。
「終わった。何とか勝ちましたよ初代様。」
俺は刀を下げて、初代様に声を掛けた。
《馬鹿野郎! 油断するな!》
初代は、慌てた声を上げた。
グサッ!
俺の背中から腹部に掛けて、八岐大蛇の尾が突き刺さり、俺の体に風穴を空けて、生暖かい血が大量に飛び散った。
「え!?」
何が起きた!? 何で俺がやられている?
俺の体を貫いていた尾が振られ、尾が体から抜けたため、そのまま俺の体はゴロゴロと転がっていった。
《今のは危なかったぞ。直前で脱皮していなかったら殺られていた。》
八岐大蛇の鱗は、脱皮した直後のため、滑りのある光沢を放っていた。
……俺はやられたのか? 血が出過ぎた……目が霞む……手足に力が入らない。
《立つんだ! 諦めるな!》
俺は、ここで負けるのか?
……こんな奴を倒せないようじゃ、魔人なんて倒せる筈が無い!……俺は……勝つ!
「“超回復”」
俺は、光属性の回復魔法を使用して、傷口を応急処置して、立ち上がった。
《まだやるのか小僧?》
「……これが俺の全力全開だ! “五行形態” 奥義“山高神代桜!」
俺は、体と刀に火、水、風、土、雷の五属性を纏い、更に、刀を超巨大化させて、上段から振り下ろした。
《何だと!? グギャーーーーーー!》
五属性を纏った体から超高速で振り下ろされた、五属性を纏った超巨大化した刀による、超破壊力を有した攻撃により、八岐大蛇は叩きつけられ体の活動を停止させた。
「……はぁはぁはぁはぁ。勝ったぞーー!」
俺は勝鬨を上げた後、極度の疲労から片膝をついて呼吸を整えていた。
《流石、俺の子孫だ! よくやった!》
「ふぅーー。初代様が他の7首7尾を抑えてくれたお陰です。」
本当に初代様が居なかったら、負けていたと俺は感じていた。
《そう謙遜するな。八岐大蛇は、出現した1首にかなりの力を移していたようだな。あの力だと1首で全体の7割程度の力があったろうから、ランクで言えばS相当だろう。まぁ、8首8尾有った場合は、技や手数が段違いに増えて厄介だったろうがな。》
「今よりもっと強くなります。強くならないと、魔人に勝つことなんて出来ませんからね。」
俺は、自分の成長を噛み締め、更なる高みを目指す決意を固めた。
《……八岐大蛇はまだ生きてるみたいだな。これだけ弱っていればアレが使えるか。》
「アレって何ですか?」
《今から、俺のスキル継承を使って、お前に俺の契約属性を継承する。契約属性の魔法を使用すれば、八岐大蛇をお前の使い魔に出来る。どうだ? 八岐大蛇なら相棒にするのに申し分無いと思うが?》
「……お願いします。」
初代様の言う通り、八岐大蛇を使い魔に出来れば、かなりの戦力アップに繋がる筈だ。
《良し!……我、倭建命の属性“契約”を、サクラへ継承する!》
初代様が言葉を言い終えると、草薙剣が発光し、草薙剣から発した光が俺の体に入り込んだ。
《これで完了だ。ついでに、俺がスサノオ神様から授かった、信頼の絆も餞別しといたぞ!》
俺の左手中指には、金色のクロスリボンのデザインの指輪がはまっていた。
《これから、契約のやり方を説明する。》
山高神代桜→山梨県にある日本三大桜の一つ。
エドヒガンザクラで、樹齢2000年。
倭建命が自らの手で植えたという伝説があるそうです。




