ボタンVSウメ〜姉妹対決〜
4回目の全試合が終わり、5回目の10試合会場での試合が始まろうとしていた。
俺達の見つめる先には、赤チャイナドレスのボタンと青チャイナドレスのウメが同じ会場に立っている。
「いきなり、ウメと試合アルね。」
「……私が勝つ。」
「ブロッサム! 麒麟!」
ボタンは、白銀の輝きを放つチャクラムを片手に一つずつ取り出した。
「ブロッサム! 黄竜!」
ウメは、片方の先端が矛先となっている白銀の輝きを放つ鎖を取り出した。
俺とデイジーとリンドウはお互いを見合った。
……間違いない。
ボタンとウメの武器も神様から贈られたものだ。
「行くアルよ。ウメ!」
「……勝つ!」
ボタンは、ウメに片方のチャクラムを投げつけた。
ボタンの投げたチャクラムは、高速で回転しながらウメに迫った。
「はぁ!」
ウメは、鎖を振り回し、ボタンの投げつけたチャクラムを弾き返した。
弾かれたチャクラムは、素早くボタンの手に戻った。
……ボタンが魔法を使った様子がなかった? 武器の能力なのか?
ウメが鎖を振り回して、矛先をボタンに投げつけた。
ウメの放った鎖は、蛇のようにクネクネと波打ちながら、ボタンに迫っていた。
ボタンがチャクラムで鎖を取り出し弾いたことで、ウメはすぐに鎖を引き戻した。
「“火鎧”」
ボタンは、火属性を身に纏った。
「“水鎧”」
ウメは、水属性を身に纏った。
「“火の円盤”」
ボタンは、更にチャクラムに火属性を付与してウメに駆け出した。
「“水の鎖”」
ウメは、水属性を鎖に付与して右腕に巻き付けた。
火の円盤と水の鎖がぶつかり合い、攻防が続いた。
お互いに、バックステップで距離を取り、魔法衣を解除した。
「やるアルね。」
「……そっちもね。」
お互いに息を整え、再び動き出した。
「“闇矢”!」
ボタンは、闇属性の矢を放った。
「“光線”!」
ウメは、光属性の光線を放った。
試合会場では、激しい撃ち合いが繰り広げられていた。
お互いに躱しては魔法を放ち、時にはお互いに放った魔法がぶつかり合い、試合会場は光と闇で彩られていた。
キリがないとボタンは判断して、チャクラムに切り替えた。
「“雷投”」
ボタンは、チャクラムに雷属性を付与し、チャクラムを投げつけた。
「“土盾”」
ウメは、土の盾を正面に作り出した。
ボタンはニヤリと笑みを浮かべた。
ボタンの投げたチャクラムは、ウメの作り出した土盾に迂回し、側面からウメにヒットした。
「アァーー!」
ウメは、チャクラムの刃に切られ、更に電撃のダメージを受けた。
チャクラムと雷により、ウメのチャイナドレスは、際どい状態になり、見えそうで見えない絶妙な状態になっていた。
「決めるアル! “落雷”!」
ボタンは、魔力を多めに練り出して、落雷を放った。
「くっ! 負けない!“反射”!」
ウメも多くの魔力を消費して、光属性の反射を発動した。
ウメは、絶妙な角度で落雷を反射し、ボタンの方へ落雷を跳ね返した。
「えっ!?」
ボタンは、魔力を多めに練り出して落雷を発動したため、反射された落雷の回避が遅れ、落雷を直撃し、あまりのダメージに声を上げることも出来なかった。
ボタンは、自身の放った落雷により、着ていたチャイナドレスは、所々破れてしまった。
「……やった?」
ウメは、警戒を怠らずにボタンの様子を観察していた。
「くっ。やってくれるアルね。」
フラフラしながらもボタンは立ち上がった。
「……しぶとい。“毒の鎖”これで決める!」
ウメは、鎖に毒属性を付与してボタンに攻撃した。
「“雷光鎧”!“雷光回転”!」
ボタンは、残りの魔力を練り上げて、雷と光の二属性を体に纏い、更に雷と光の二属性をチャクラムに付与した。
ボタンは、雷光状態で毒の鎖を素早く回避し、一瞬でウメに詰め寄り、雷光を付与したチャクラムで回転攻撃を繰り出した。
「くっ!」
ウメは、残りの鎖を両手で持って、チャクラムを防ごうとしたが、ボタンの高速での高威力の攻撃により、場外に吹き飛ばされた。
「はぁはぁはぁ。私の勝ちアル。」
ボタンは両膝に手を置き、呼吸を荒くしていた。
「……負けちゃったか。」
ウメは、なんとか起き上がり、負傷箇所を回復魔法で回復した。
「ウメも、また強くなったアルね。」
「……次こそ勝つ。」
二人は、やりきったとわかる表情をしていた。
「お疲れ様。」
みんなで二人に労いの言葉を送った。
「キャーー!」
その直後、近くから悲鳴が上がったのだった。
次回はトラブル!?




